エピソード3(脚本)
〇アパートのダイニング
あれから、一週間がたった。
あのクソジジイは毎日私の家に来ている。ふざけんな。
犯罪しないのって、こんなにもつまんないとは思ってもみなかった。
今じゃアルコールやタバコを止めようとしている人の気持ちがよくわかる。
つらい。とてもじゃないが、つらい。
ピンポーン
「今日も来たぞ~」
チッ。もう来やがった。なんか、日に日に来る時間早くなってきてないか?
〇シックな玄関
木島 拓也「お~っす。やってるか?」
半座 衣流「ここ、居酒屋じゃないから・・・・・・・・・・・・とりあえず、上がって・・・・・・・・・」
〇アパートのダイニング
木島 拓也「よし、今日も犯罪、してないんだろうな」
半座 衣流「はいはい。やってませんよ・・・・・・・・・」
コイツは私の父さんかよ。まぁ、あのクソ親父よりは、まだマシだけど・・・・・・。
木島 拓也「ほい、差し入れ。廃棄品だけど、カップ麺3つ。まだ賞味期限ギリ過ぎてねぇから食えるぞ」
半座 衣流「ん。ども」
木島 拓也「じゃあ、俺はこの後仕事あるからこれで。じゃーな」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あーーー。盗みたい。
こんな廃棄品より、新品の方が絶対うまいでしょ。・・・・・・多分。
半座 衣流「まぁ、もらったんだし、あんまり偉そうなことは言えないか・・・・・・」
〇アパートのダイニング
そこで、私はふと考えた。
人間、誰しも欲望には抗えないと。
そう。アイツとタッグを組むのだ。
本当は組みたくないけど、自分の願いをかなえるため、私は立ち上がる!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・恥ず。
〇シックな玄関
ピンポーン
「おーい、来たぞ~」
ようやく来た。いつもは嫌だけど、今日は仕方ない。
〇一軒家の玄関扉
半座 衣流「ん。上がって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今日は、大事な話があるの・・・・・・・・・」
木島 拓也「え?お、おう、わかった・・・・・・・・・・・・・・・」
木島 拓也「(なんだコイツ、いきなり深刻そうな顔して・・・・・・)」
〇アパートのダイニング
半座 衣流「まず、単刀直入に言うけど、もう我慢するのは止めたわ」
半座 衣流「その、普通に、犯罪・・・・・・・・・・・・やりたい」
木島 拓也「はぁ!?急に深刻そうに話始めたと思ったらそれかよ!」
木島 拓也「ダメに決まってるわ!バカ!」
何度も思うが、こいつは私のお父さんかよ・・・・・・・・・・・・・・・。
半座 衣流「もちろん、無条件にとは言わない。私たち二人で、タッグを組むの」
半座 衣流「うまくいけば、銀行の金なんて簡単に盗めるかもしれない」
半座 衣流「あなただってこころの中で一度や二度、思ったことあるでしょう?何十億円の大金で、裕福に遊んで暮らしたいと」
半座 衣流「それが今、実現できるのよ。やりたくないの?やりたいでしょう?」
うぅ、しかし、それは・・・・・・・・・・・・でも・・・・・・・・・・・・と、必死に頭を抱えて悩んでいる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・実に滑稽だ。
よし、このまま追い討ちをかけて、コイツを洗脳しよう。そうすれば、私の願いが・・・・・・。
木島 拓也「よし。わかった」
木島 拓也「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お前に犯罪はやらせない!!」
半座 衣流「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
半座 衣流「な、なんでよ、一生遊んで暮らせるのよ!なにがそんなに嫌なのよ!」
木島 拓也「まぁ、落ち着け。お前に『犯罪は』やらせない」
半座 衣流「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つまり?」
木島 拓也「こういうことだ。まず、俺たち二人で殺し屋ならぬ、懲らしめ屋を運営する」
半座 衣流「なにそれ・・・・・・。ていうか、ネーミングセンス無さすぎ」
木島 拓也「あ、後から考えればいいんだよ、後から!」
木島 拓也「それより、まず、懲らしめ屋は依頼人から頼まれた人を依頼内容にもよるが、怪我をさせたりして、懲らしめる」
木島 拓也「そして、依頼人から、相応の金額をもらう、というわけだ」
半座 衣流「おぉ・・・・・・!じゃあ、粉砕骨折とか、大量出血とかさせてもいいの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?」
木島 拓也「ま、まぁ、依頼内容によればな・・・・・・・・・。(こいつ、サラッと怖いこと言うな・・・・・・・・・。)」
半座 衣流「じゃあ、万引きも?」
木島 拓也「それはだめ」
ちぇっ。と、口をとがらせつつも、少し楽しみな私だった。