101通目のメール ~葉桜と魔笛~

YO-SUKE

第4話 神様の存在(脚本)

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〇女性の部屋
  血眼になってネットで「M・T」を検索
  している奈々子。
北澤奈々子「せめて・・・名前だけでもわかれば探しやすいのに・・・!」
北澤奈々子「妹を・・・凛を・・・あんな形で裏切るなんて、絶対に赦せない!」

〇黒
北澤奈々子「あの頃の私は、ただただ必死だった。 目の前にある現実を受け入れたくなくて」
北澤奈々子「不憫な妹を、 そのまま天国に逝かせたくなくて」
北澤奈々子「けれど、病院の入院患者にも、その家族にも、M・Tなんていうイニシャルの若者はどこにも見当たらなかった」

〇新緑
  第四話「神様の存在」

〇病院の診察室
医師「正直・・・申し上げにくいのですが、 凛さんの病状はあまりよくありません」
北澤奈々子「それは・・・ こないだの発熱が原因でしょうか?」
医師「いえ、 病気の進行が想定よりも早かったのです」
北澤英二「凛は・・・ もう長くはないということですね?」
北澤奈々子「でも以前、余命は三か月だって! あれからまだ一ケ月半しか経っていません」
北澤英二「奈々子。もういい」
医師「・・・これからは、できるだけ凛ちゃんの傍にいてあげてください」
北澤奈々子「そんな──」
北澤英二「先生。最期まで・・・ 引き続きよろしくお願いします」

〇病院の廊下
  険しい顔で歩く英二。
北澤奈々子「待ってよ! お父さん! 凛に会っていかないの?」
北澤英二「さっき様子を見に行ったが寝てたよ。 わざわざ起こす必要もないだろう」
北澤奈々子「先生の話、聞いたでしょ? もういつ何があってもおかしくないんだよ? 凛の傍にいてあげて」
北澤英二「辛いんだ・・・父親なのに、 何もできないのが」
北澤奈々子「・・・・・・」
北澤英二「俺は帰る」
北澤奈々子「お父さん・・・!」
北澤凛「お姉ちゃん」
  奈々子が振り返ると、
  背後に凛が立っている。
北澤凛「ちょっと外の空気吸いに行きたいんだけど、いいかな・・・?」

〇学校の屋上
  きれいな青空が広がっている。
北澤凛「うーん。やっぱり外は気持ちいいね!」
北澤奈々子「身体は大丈夫なの?」
北澤凛「今日は調子いいかな~。たくさん寝たし」
北澤奈々子「ねえ、凛・・・ さっきのお父さんとの話だけど・・・」
北澤凛「ん? なんのこと?」
北澤奈々子「ううん。聞いてなかったらいいの。 ごめん。なんでもない」
北澤凛「あはは、お姉ちゃんてば変なの」
  ケラケラと笑いながら、空を見上げる凛。
北澤凛「ねえ、お姉ちゃんは神様の存在を信じる?」
北澤奈々子「あれ? 前にもそんなようなこと言ってなかった?」
北澤凛「いいから! どう?」
北澤奈々子「どんな姿形かもわからないけど・・・ いたらいいわよね」
北澤凛「なんか中途半端な言い方~」
北澤奈々子「いると思えばいるし、 いないと思えばいないのよ、神様なんて。 だから私は、いると思うようにしてる」
北澤凛「そっか・・・うん。お姉ちゃんらしい」
北澤奈々子「凛は? 神様がいると思う?」
北澤凛「うーん。まだわかんない。 でももし神様がいるとしたら・・・ お姉ちゃんみたいな神様だといいなぁ」
北澤奈々子「・・・は?」
北澤凛「へへ。私を甘やかしてくれそうだしさ」

〇病室

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