読切(脚本)
〇SHIBUYA109
如月俊「僕がファミマに入ろうとしたときだった。 ファミマから出て来た女の子のポケットから何か落ちた」
如月俊「あの、すみません。何か落ちましたよ」
Suicaだった。
太田弥生「あ、すみません。ありがとうございます」
如月俊「あっ!!」
太田弥生「あっ!!」
太田弥生「(心の中で)・・・さっきしつこく喋ってきた奴だ・・・」
如月俊「(心の中で)・・・さっきせっかく喋ったのに無視し続けた奴だ・・・」
先程のクリスマスお見合いパーティーでカップルになれず、あぶれた男女である。
駅まで一緒に向かった。弥生は最近彼氏と別れたばかりという。
太田弥生「彼氏に麻雀屋のバイトがバレたのよ。大反対されて・・クリスマス前なのに・・.」
「Suicaありがとう。バイトに行けなくなるとこだった」
如月俊「雀荘で働いているんですか。僕も最近ネットの麻雀ゲームにハマっているんですよ」
太田弥生「あ、そうなんだ?」
話していると彼女が5歳年上だっていうことと、雀荘店員だってことが分かった。
太田弥生「今度私の店に来ない?麻雀は人間相手にした方が面白いわよ。私の紹介って言ってくれれば、ボーナス出るかもだし、私に」
太田弥生「(心の中で)年下だしイケメンじゃないし名前負けしてるしタイプじゃないけど、いいヤツそう・・」
如月俊「(心の中で)パーティーで無視しやがるし、第一印象最悪だったけど実はいい人だったりして」
彼女が働いている店を教えてもらい、僕達は別れた。
〇雀荘
太田弥生「いらっしゃいませ」
翌日さっそく行くと彼女が出迎えてくれた。当たり前だけど、きちんと制服着て見違えた。
実際に人間と麻雀を打つのは初めてで、彼女の言うように僕はすっかり麻雀の虜になったんだ。
で、毎日通うようになりいつのまにか常連に。
彼女はプロを目指しているようで、相当強い。店が暇だと僕に麻雀を教えてくれる。スパルタで。
そうこうしてるうちに段々と勝てるようになった。
太田弥生「今度クリスマス麻雀大会があるんだけど出てみない?」
僕は勇気を振りしぼって・・・
如月俊「優勝したら僕と付き合ってくれる?」
太田弥生「いいわよ、優勝したら、ね」
更に彼女にスパルタされ、いざ大会へ。
大会の結果は・・
最下位!!!!
如月俊「・・・・・・・」
太田弥生「最下位?私の方がへこむよ。あんなに教えたのに」
太田弥生「いいわ。アンタんとこに住み込みで麻雀のコーチしてあげる。授業料は、家賃アンタ持ちってことで」
如月俊「はぁ???」
太田弥生「は?じゃないわよ。一緒に住んであげるんだから、ありがたく思いなさい。あ、私ベッドで寝るから、アンタ床で寝てね」
〇田舎の一人部屋
その日から突然のルームシェアを開始した。
彼女はつい先日からネカフェ暮しをしていたらしく、ちょうどいい仮住まいってヤツだ。僕はいいカモにされたようだ。
家では彼女にスパルタされて店で本番、という地獄が始まった。
一応女の子と一緒に住んでいるんだよな。羨ましがられるような状況なんだよな。まるで王女と奴隷だけど。
〇雀荘
そして1年後のクリスマス麻雀大会。なんと・・・
準優勝!!!!
〇田舎の一人部屋
太田弥生「やった。準優勝。すごいじゃん」
如月俊「でしょ?優勝みたいな感じだし。じゃ付き合ってくれる?」
太田弥生「はぁ?ヤダ。だって優・勝じゃないじゃん。優・勝って言ったでしょ?」
如月俊「優勝・・・」
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大人同士の素敵なラブストーリーでした。
厳しい中にも優しい彼女いいですね。
優勝するまでのつきあいで、その後は結婚とか…なんだかちょっとツンデレっぽいですね。笑
こういう強引な引っ張っていってくれる女性、かっこよくて憧れます。縁はひょんなところからぴったりのタイミングでやってくる。どこでどうなるかわかりませんね♪
結果オーライなんでしょうか(笑)優勝しなかったけど、良いことがある。発想が面白くてよかったです。二人の会話の内容も、何だかほんわかするものでよかったです。