飢餓の大地にアメが降る 中編(脚本)
〇荒廃した市街地
飢餓の大地にアメが降る
中編
人々が耕すことを忘れた大地
そこは広域強盗や政治腐敗
疑心暗鬼に溢れた
殺伐とした場所だ
町人「ち うちの店 品物が盗まれちまった」
町人「えー 税金がまた上がるの?」
町人「それで 俺等の暮らしがよくなるわけでもない バカバカしい」
町人「なんか花を集めて 育ててる子がいるらしい」
町人「花だかなんだか知らんが 食えるもんが目の前にあったら 食わにゃ損よ」
町人(私たちも後先考えないせいで 余計に割を食ってる気がする でも どうしたらいいのかしら)
〇教会内
町人「シスター・・・・・・」
シスターテレサ「祈りましょう すべてが神の与えた奇跡なのです」
〇荒廃した街
兵「イグニス・アルキュミア・・・・・・」
町人「うわ なんだ ボヤかー?」
兵「さあ 出てくるのです さもなくば二発目の イグニス・アルキュミアが 発動しますよ」
兵「むやみに燃やすのも無粋だ 宿を探してみるか」
兵「それも良かろう」
〇暖炉のある小屋
兵「町人を脅して得た情報によると この安宿に泊まったらしいが」
兵「おらぬな 何かに勘付いて逃げおったのか」
兵「アジサイさまとサファイは シフォン帝国の裏切り者・・・・・・ またしても逃がすとは」
兵「焦るな ん?これは? 怪物の足跡?」
兵「怪物でも飼い慣らして 戦力の足しにしようという 魂胆か? ならば」
兵「少し休んだら行くぞ どのみちそう遠くへは行けまい」
〇岩山
アジサイの魔法的直感により
夜中に安宿を抜け出した一行は
トンカチ山に
サファイ「なるほど 伝書ニワトリによると やはり追っ手はウポツに行ったみたいです」
アジサイ「いったん気配を消したのも 我らを油断させるためじゃろて とにかくさらに逃げて正解じゃ」
サファイ「とは言えここからどう巻き返すか あ 伝書ニワトリ ありがとう」
伝書ニワトリ「くっくーる」
アジサイ「仲間がほしい 反シフォン帝国勢の砦である ロージマへ向かいたい」
ホウセンカ「あ あのー?」
アジサイ「すまない ホウセンカ氏を 故郷に送り返さねば」
ホウセンカ「それもそうなんですけど なんか変な扉があって」
サファイ「本当ですね 遺跡でしょうか」
アジサイ「気になります 入ってみましょう」
オカシナカイブツ「面白そう」
名馬マンテンビャクヤ「私は見張っています」
〇英国風の図書館
ホウセンカ「何ここ? 本がいっぱい!」
アジサイ「この場所はまさか?」
サファイ「ここは わずかな資料にのみ記述された 幻の大図書館スキエンティアでは?」
アジサイ「だとしたら1000年に渡る知の蓄積が ここに そして 本の保存状態が恐ろしく良いですね」
スキエンティアの精「ようこそ かつては人々に愛された この図書館も廃れ 真理を求める人にのみ 開かれた場所になってしまいました」
アジサイ「スキエンティアの精 あなたがここの本を 守って来たのね」
スキエンティアの精「はい いずれは またこの図書館が 万人に開かれたものになることを 願っています」
ホウセンカ「スキエンティアの精さん 聞きたいことがあります」
スキエンティアの精「なんでもどうぞ 私はこの図書館にある本を すべて暗記しています」
ホウセンカ「どうすれば食べ物は増やせますか? 今 ニライ地方は とても貧しく殺伐としています」
アジサイ「明日をも知れぬ生活では 隣人を思いやる気持ちも すり減っちゃう そういうことね」
スキエンティアの精「率直に答えましょう 人々はかつて食べ物を増やしていました 植物を植えていました」
スキエンティアの精「あなたがたが今 ゴールデンダイアから輸入している 食べ物も そうやって作っています」
ホウセンカ「そ そうだったんだ」
アジサイ「私もなんとなくそんな気がしてました ちなみにシフォン帝国は ゴールデンダイアからの輸入を 独占していて」
アジサイ「民にはわずかしか分配していません」
ホウセンカ「だからアジサイは ウバーツを持って・・・・・・」
ホウセンカ「私 アジサイに協力する!」
アジサイ「え? これは大変な戦いですよ」
ホウセンカ「それでもできる事を探します! 剣技でもなんでも覚えます!」
オカシナカイブツ「じゃあ オイラも協力するだーよ」
サファイ「頼もしい味方が増えましたね」
アジサイ「よろしくね!」
〇岩山
そして一行はロージマに向かった
そこでは士官学校時代に
サファイと同期だったドンも待っていた
〇児童養護施設
名馬マンテンビャクヤ「ロージマに着きました」
アジサイ「ありがとう マンテンビャクヤ」
サファイ「ここにドンがいるはずです 我々のもう一人の仲間」
ドン「やー 皆さんお待ちしておりました 伝書ニワトリで 大体話は聞いております ロージマ一同 いつでも力になります」
アジサイ「ありがとう ドン 実に頼もしい」
ドン「礼には及びません プリンセス・アジサイ わたしはこれで」
ホウセンカ「プリンセス・アジサイ? アジサイってお姫様だったの?」
アジサイ「あれ? 言ってなかったかしら?」
サファイ「アジサイ様は 誰よりニライ地方のことを 考えているお方なのです!」
ホウセンカ「ほ ほへー」
〇児童養護施設
ホウセンカ「星はきれいだ 悲しいときも寂しいときも キラキラしている・・・・・・」
へび「グゲゲ・・・・・・」
ホウセンカ「へびさんどうしたの? お腹が空いたの?」
ホウセンカ「確か回数制限があるって 言ってたけど 一回ぐらいいいよね? このウバーツの器で・・・・・・」
ホウセンカ「また知らないものが! 飲み物? うん 甘くて美味しい さ へびさんこれを飲んで」
へび「グビグビ ぷはー!」
ホウセンカ「よかった 元気になったみたいね」
〇児童養護施設
翌朝
レジスタンス「本当にアメが出た!」
ドン「これはありがたい これで反帝国勢も 勢いづくというもの」
アジサイ「ぜひシフォン帝国の横暴を討ちましょう」
ドン「はい!」
ホウセンカ「おはよう」
サファイ「おはようごさいます」
アジサイ「さて 防衛面では後ろ盾が できました 次は、論理面での後ろ盾がいります」
サファイ「以前言っておられた ソール・マックス氏を尋ねるのですね」
アジサイ「いまの帝国の横暴を止めさせるために どんな交渉が有効か? はたまたどんな代替案が必要なのか? 教えてもらうのです」
ホウセンカ「なんだか難しそう」
サファイ「とにかく 今後、帝国の権力が市民をないがしろに しないような約束のようなものが 必要になりますね」
アジサイ「マンテンビャクヤ 休息は十分に取りましたか? もう少し歩きますよ」
名馬マンテンビャクヤ「いつでも出発できます」
オカシナカイブツ「オイラも準備万端! 旅するの楽しいだー」
アジサイ「では ソール・マックス氏のいる ジャーリ市へ出発進行!」
〇荒地
兵「召喚!」
燃え続ける者「グフフフフ」
兵「奴らの目的を考えれば ロージマとジャーリ市を結ぶ道を 通るに決まっている そこで待っていれば」
名馬マンテンビャクヤ「む?」
アジサイ「どうしたのです? マンテンビャクヤ?」
名馬マンテンビャクヤ「敵意を感じます 追っ手でしょうか?」
サファイ「何?」
燃え続ける者「グフフフフ グフフフフ 大人しくウバーツの器を 渡すんだな!」
アジサイ「それはできない相談ですね」
サファイ「アジサイさま わざわざお手を煩わせはしませぬ ここは私が」
燃え続ける者「剣勝負か いいだろう」
燃え続ける者「俺のファイヤーブレイドで やっつけてやる!」
サファイ「なにを? 我がエメラルド剣術を 喰らえ!」
燃え続ける者「ハアア! サラマンダー斬り!」
サファイ「ヌオオ 飛魚の舞!」
兵「奴らが争ってるうちにこうじゃ 盗難魔法フラトゥム!」
オカシナカイブツ「なんか来る!」
ホウセンカ「危ない!」
兵「フッ 真の狙いは・・・・・・」
アジサイ「!?」
兵「これよ これこれ!」
アジサイ「しまった! ウバーツの器が!」
ホウセンカ「それは駄目です!」
兵「フッ ウバーツの器を 返してもらったから とりあえず用はない! 裏切り者の処分はあとだ!」
アジサイ「ま、待ちなさい!」
サファイ「な なんたる不覚!」
アジサイ「目標変更 ウバーツの器を取り返しましょう!」