断罪対象である妹を助けたら百合と薔薇が咲いたっぽい

隍沸喰(隍沸かゆ/おかゆ喰)

25話 まじない(脚本)

断罪対象である妹を助けたら百合と薔薇が咲いたっぽい

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〇王宮の入口
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「途中までゲルホウスに案内させる!! 道中は魔物に気をつけろ!!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「王さま、ありがとうございました また来ますね」
テツナ・テカ「何ニヤけてんだよ? はやく仕事に戻れ」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「お前に言われたくないわ!!」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「じゃあな、ルゥラッハ・オル・レバノスタン また会えることを心から願っている」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「俺もです、王さま」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「じゃあ約束のキスを・・・」
テツナ・テカ「やめろっての!! ──ったく、油断も隙もない・・・!!」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「チッ!! 邪魔くさい!!」
テツナ・テカ「バカなことしてないで、さっさと仕事に戻れ!!」
テツナ・テカ「ったく・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「び、びっくりしたな。会ったばかりなのに・・・王さまって愛情深いんだな」
テツナ・テカ「あれを愛情深いで済ませるなよ・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「どうかしたか?」
テツナ・テカ「何でもな〜い」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「フィガロさま!」
テツナ・テカ「・・・さま?」
フィガロ・パズテカ「帰るそうだな?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「お別れを言おうと思って、さっきまで探してたんだけど・・・」
フィガロ・パズテカ「いろんな者に”お別れがしたいらしい”と言われたぞ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「いろんな人に見かけたら伝えておいてって言ったから。会えてよかった」
テツナ・テカ「お前、穢れ逃してたぞ?」
フィガロ・パズテカ「また戻ってきていたと言うことか? あの量では逃げた穢れがまだいるかもしれない」
フィガロ・パズテカ「戻ってこないようにまじないを掛ける ルゥラッハには入れず、魔物の中を目指すはずだ」
テツナ・テカ「・・・る、ルゥ・・・いきなり呼び捨て」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(今名前を呼んでもらえた・・・! 仲良くなれたみたいで嬉しいな)
フィガロ・パズテカ「まじないを掛けるから、こっちに来いルゥラッハ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「あ、はい!」
テツナ・テカ「まじない・・・?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「あの、まじないってどんな風に掛けるんですか?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(な、何で抱き締められて見つめられてるんだ──!?)
テツナ・テカ「バッ──お、おま!?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ひょうえ──!?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ああああああ、あのあのあのあのあの!?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(キスされたよな!? 額にキスされたよな・・・!? 今のがおまじないなのか? ちょっと体があったかくなったような?)
フィガロ・パズテカ「くく・・・茹でダコ」
  茹でだこ!?
  俺は今茹でだこみたいに真っ赤ってことか!?
テツナ・テカ「お前何してんだいきなり!!」
フィガロ・パズテカ「いきなりって・・・お前も知っているだろう? 今のがまじないだ」
テツナ・テカ「ぐ・・・ううっ ・・・知っ──てるけどさぁ」
フィガロ・パズテカ「逃げた穢れがどの程度かはわからないから、一応お前も掛けてやれ」
テツナ・テカ「お、おお、俺が!?」
フィガロ・パズテカ「嫌なら掛けなくてもいい。俺が掛けたまじないだけで充分だろう」
フィガロ・パズテカ「ただ、俺が掛けたまじないは跳ね返すだけだ。効果が切れれば強い穢れならまた戻る。 お前が掛ければ穢れは消えて戻ることはない」
テツナ・テカ「・・・・・・」
テツナ・テカ「ルゥラッハさま」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「あ、あの! テツナがさっきのようなことをするってことなのか!? べ、別にしなくてもいい──」
テツナ・テカ「黙って目ぇ閉じてろよ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・はい」
テツナ・テカ「・・・・・・」
  う、うわ、うわ・・・うわ、うわああああ!?
  ち、近い・・・近いいい──っ
  う、うわああああああっ!!!!
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(こんなの恥ずかしすぎるっ・・・!! この後どう接したらいいんだ──!!)
テツナ・テカ「・・・・・・どう?」
フィガロ・パズテカ「掛かっていない、もう一度やれ」
テツナ・テカ「は!?」
フィガロ・パズテカ「今のは、ただキスしただけだ」
テツナ・テカ「な、なななななな──!? 何言ってんだお前──俺はちゃんと掛けただろ!?」
フィガロ・パズテカ「よこしまな気持ちを抱きながら掛けることはできない」
テツナ・テカ「へ、変なことなんて考えてねえし」
フィガロ・パズテカ「守ることだけ考えてもう一回掛けろ」
テツナ・テカ「・・・も、もっかい目ぇ閉じてくれるか?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「う・・・うん!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(大変なんだな、まじないを掛けるのも)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「うう・・・っ」
テツナ・テカ「これでいいよな?」
フィガロ・パズテカ「お前ふざけてるのか?」
フィガロ・パズテカ「よこしまな気持ちを抱くなと言ってるだろう、もう一回掛けろ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ま、またされるのか!?」
テツナ・テカ「嫌だって言いたいのかお前!! 俺だって嫌だっての!!」
フィガロ・パズテカ「嫌じゃないから掛かってないんだろうが」
テツナ・テカ「だから、違ぇんだって・・・」
フィガロ・パズテカ「無理だと言うなら、もう一つの方法で行え 額じゃなくて唇に──」
テツナ・テカ「し、しねえから!?」
フィガロ・パズテカ「額ではよこしまな気持ちを抱いていては掛けられないが、唇なら逆に効果が高い はやく掛けろ」
テツナ・テカ「し、しないって言ってんだろ!?」
フィガロ・パズテカ「・・・強要はしない」
フィガロ・パズテカ「仕方がない。ルゥラッハ、こっちに来い」
テツナ・テカ「待て、お前こいつに何する気だ?」
フィガロ・パズテカ「お前が掛けられないなら、俺が掛ける」
テツナ・テカ「さっき掛けてたじゃん?」
フィガロ・パズテカ「それは額にだろう? 唇から掛ければ、お前がもう一度額に掛けるまじないと同じくらいにはなる」
テツナ・テカ「お、おおおおお前よこしまな気持ちがどうたら言ってただろう!?」
フィガロ・パズテカ「よこしまな気持ちなら抱けるが・・・?」
テツナ・テカ「・・・・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・・・・え」
テツナ・テカ「何言ってんのお前!?」
フィガロ・パズテカ「ルゥラッハに対して、愛情を抱き始めているから、唇から強力なまじないが掛けられると言っている」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(あ、愛情・・・?)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(とりあえず、俺はまじないを掛けてもらうために、この人とファーストキスすることになるかもしれないってことだよな?)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(それはちょっとおおおお!?)
テツナ・テカ「俺が額にするから・・・」
フィガロ・パズテカ「そうか」
テツナ・テカ「ルゥラッハさま」
テツナ・テカ「もっかい、目ぇ閉じてくんね?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「わかった」
テツナ・テカ「守るため・・・守るためだからな」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(あったかい)
テツナ・テカ「どうだ?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「今までと違って体があったかくなった」
フィガロ・パズテカ「やっと掛かったようだ もっとキスしたいなんて考えてるからこんなことに──」
テツナ・テカ「そんなこと考えてねえって言ってんだろ!!」
フィガロ・パズテカ「・・・ダダ漏れのくせに」
テツナ・テカ「うぐ・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ダダ漏れ?」
テツナ・テカ「何でもないから」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(たまに笑顔から圧を感じるんだよな)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「じゃあ、そろそろ俺は帰るから 家族が待ってるんだ」
フィガロ・パズテカ「そうか」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ありがとう、フィガロさま テツナ また会いにくるよ」
フィガロ・パズテカ「ああ、また会おう」
テツナ・テカ「またな、ルゥラッハさま」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「テツナ」
テツナ・テカ「ばいば〜い」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(・・・テルヌンドに引っ越したいのは、帝国から逃げるためだった。でも、みんなあったかくていい国だな)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(アゥルペロも楽しく暮らせそうだ)

次のエピソード:26話 おかえり

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