24話 審査は厳しく!(脚本)
〇ファンタジーの学園
◆◆◆「レバノスタン侯爵令嬢の婚約者を募集してるらしいわよ」
◆◆◆「私はワヌゥレン卿とレバノスタン侯爵令嬢が婚約するって聞いたわ」
◆◆◆「レバノスタン侯爵令嬢にはクズ男よりも、ワヌゥレン卿のような方がお似合いだと思うわ」
◆◆◆「落ち着いていて、お優しくて、素敵よね・・・レバノスタン侯爵令嬢が羨ましいわ」
エウレット・ヘヌシアン「ワヌゥレンと、あの女が、婚約ですって・・・? なぜそんな噂が広まっているの、そんなわけないじゃない」
エウレット・ヘヌシアン「私のことを好きでいてくれた人なのよ? あの女が私にしてきたことを知っているのよ?」
エウレット・ヘヌシアン「あの女の邪悪さを知っているのに、好きになるわけがないじゃない」
エウレット・ヘヌシアン「ただの噂をあんな楽しげに広めるなんて・・・腹が立つわ」
エウレット・ヘヌシアン「ハァ・・・遅いわね そろそろ休憩時間が終わってしまうわ 早くきてくれないと、また変な噂を聞いてしまいそう」
エンシェン・リン「お嬢さま、おまたせ」
エウレット・ヘヌシアン「リン! 久しぶりね!」
エンシェン・リン「あーん! かわいい!」
エウレット・ヘヌシアン「も、もう。それどころじゃないのよ もうすぐ授業が始まっちゃう」
エンシェン・リン「そうね! お嬢さま、ルゥラッハ・オル・レバノスタン卿の情報が掴めたの」
エウレット・ヘヌシアン「どこにいるの?」
エンシェン・リン「レバノスタン家の新兵器開発室にこもっているらしいわ」
エウレット・ヘヌシアン「らしい?」
エンシェン・リン「ええ。私の尊敬する情報屋さんから買った有力な情報よ」
エウレット・ヘヌシアン「そ、それって、あなたの師匠?」
エンシェン・リン「さあ〜? どうかしら?」
エウレット・ヘヌシアン「そうなのだとしたら会わせてくれる?」
エンシェン・リン「こればっかりは聞いてみないとわからないわ。偶に連絡が来るだけだし・・・ま、居場所はわかるけどね?」
エンシェン・リン「私こそが帝国一の情報ギルドの長なんだから!」
エンシェン・リン「だから、お嬢さま? 私だけでも充分だと思うんだけど?」
エウレット・ヘヌシアン「それはわかってるのよ」
エウレット・ヘヌシアン「・・・ただ」
エウレット・ヘヌシアン「お願いよ、リン 不安で不安で仕方がないの。安心して暮らすために、味方は多くいてほしいのよ」
エウレット・ヘヌシアン「あの女がいる限り、私の命は危ないの」
エンシェン・リン「お嬢さま・・・」
エンシェン・リン「わかったわ。会ってくれるように頼んでみる 私が絶対に会わせてあげるから」
エウレット・ヘヌシアン「本当にありがとう・・・リン!」
エンシェン・リン「でも、厄介なのよねあの人! 頑張りの分の報酬が欲しいわー」
エウレット・ヘヌシアン「何が欲しいの? なんでも言ってちょうだい?」
エンシェン・リン「あの人を紹介できても、私のギルドを優先して」
エウレット・ヘヌシアン「もちろんよ」
エンシェン・リン「じゃあ、私は帰るわね」
エウレット・ヘヌシアン「・・・やっぱりやり手だわ」
〇綺麗な教会
昼休み
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「よお、待たせたな」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「来てくれたんですね」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「まあ・・・変な噂になってるから、来ない方がいいとは思ったんだけど」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「男の人から誘われなくなって私は楽でいいですよ?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「俺も楽だったけどさ いいのか? 誘われた方が新しい出会いも多そうだろ?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「今はいいんです なんだか全員、ドブにしか見えなくて」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・あんなに好きだった人に、あんなに信じた人に、裏切られるなんて思ってもいなかった」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さまがあの時、婚約を反対してくれたから、気づけたんです」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私一人じゃ、またドブを選んでしまいそうでしょう?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「ルゥラッハにはアンタがいるし、アンタにはルゥラッハがいるから安心だな」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私がいるから、お兄さまが安心・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「うふふ! お兄さまのためにこれからも厳しく審査するわ!」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・そ、そうか」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「じゃあ今日のことを話しましょう! お兄さまは夕方には帰ってくるそうですよ!」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「そうだな、じゃあ──」