23話 エントリーは後日(脚本)
〇西洋の城
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「じゃあ、行ってくるわねベラ! 昼休みまでに連絡するから準備をよろしくね」
ハグスタリ・ベラ「お任せください いってらっしゃいませ、お嬢さま」
〇結婚式場の前
◆◆◆「おはようございます、マレオッサ会長」
ペルゼシア・マレオッサ「おはよう」
ペルゼシア・マレオッサ「・・・」
ペルゼシア・マレオッサ「レバノスタン侯爵令嬢」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あなたは・・・マレオッサ生徒会長? 私に何かご用ですか?」
ペルゼシア・マレオッサ「あの人は今日学校に来るかしら」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「誰のことですか?」
ペルゼシア・マレオッサ「ルゥラッハさまよ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・お兄さまにどんなご用で?」
ペルゼシア・マレオッサ「お父さまがレバノスタン家にある手紙を送ったのです」
ペルゼシア・マレオッサ「その内容は私の意に反するので、お断りするようにレバノスタン侯爵へ伝えてほしいの」
ペルゼシア・マレオッサ「でも、ルゥラッハさまが学校に来ないからここで待っているの 仕事が忙しいのでしょうか?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「はい、お兄さまはお仕事中で今日も学校に来ません。お父さまには私から伝えましょうか?」
ペルゼシア・マレオッサ「お願いしますわ。ルゥラッハさまが来るまで、毎日ここで待つことになっただろうから、ちょうど良かったわ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「学校に来たことは人伝に聞くことができるでしょう? その後教室に向かえばいいのでは?」
ペルゼシア・マレオッサ「急ぎなのです レバノスタン侯爵が乗り気で、もし決まってしまったら大変だもの」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「乗り気?」
ペルゼシア・マレオッサ「マレオッサ家が国内最大の魔法研究を行っていることは知っているかしら?」
ペルゼシア・マレオッサ「その研究結果は必ず新兵器開発の役に立つ、お父さまはそう書いているはずなのです」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「確かにいいお話ですから、乗り気にはなると思いますけど・・・それがどうしてダメなのですか?」
ペルゼシア・マレオッサ「今回の提案を受け入れてくれたら、研究結果を見せてもいい、と言うことなのです」
ペルゼシア・マレオッサ「その提案と言うのが、私とルゥラッハさまの婚約です」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「おにい、さまが婚約・・・」
ペルゼシア・マレオッサ「レバノスタン侯爵がいいと言ったら決まってしまうの」
ペルゼシア・マレオッサ「だからレバノスタン侯爵に、私の意思ではないので断ってほしいと伝えてほしいのです」
ペルゼシア・マレオッサ「私のお父さまは、私の意思を尊重する気はないみたいだから」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「それはどうでもいいですけど、お父さまのことだから、利益のためにお兄さまを利用するようなことはありません」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「たぶんお兄さまの意思でもないですから大丈夫でしょう まあ、一応お父さまに言っておきます」
ペルゼシア・マレオッサ「ありがとう、よろしくね」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「よろしくされるつもりはありません!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さまと婚約していいのは、誰よりもお兄さまを想ってくれる人よ 火種すらない人はこっちからお断りよ・・・!」
ペルゼシア・マレオッサ「私を怒鳴りつけるなんて、生意気な子ですね」
ペルゼシア・マレオッサ「気に入ったわ。またお会いしましょう レバノスタン侯爵令嬢」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「会いません!!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お金持ちで優しくて強くて、何があってもお兄さまを絶対に守れる方で、お兄さまに甘くて──」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「──お兄さまに燃えるような恋をしている方はいないのかしら?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「そんな奴いないだろ・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ま、まあ、口に出してましたか・・・!?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「そんな奴がいたら今ごろあいつは幸せになってるだろ?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「いなくても、これからいくらでも現れます。お兄さまは魅力的な方ですから、大勢現れます」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「選ぶ私とお父さまが大変になるわ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「どんな方々かしら♡ お兄さまを守れる方と言ったら、お兄さまより強い方よね?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「今すぐにでもお会いして面接したいわ・・・!」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「め、面接・・・すんの?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あら、必要でしょう?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あ・・・エントリーはまだ受け付けてません。後日お願いいたします」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「だ、誰もエントリーするなんて言ってねえだろ!?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「エントリーしない限り、お兄さまの婚約者になることはないんですよ!? それでもしないと言うつもりですか!?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「し、しないって言ってんだろ、ちょっと声をおさえろ!!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「だからあなたは生ぬるいんです!! 生ぬるいままならエントリーの許可すらしませんからね!」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「お、俺はもう行くからな・・・!!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「逃げたわね・・・あなたは絶対に認めません!!」