サンタさんは、ぼくじゃない

みねの・おーはし

サンタさんは、ぼくじゃない(脚本)

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〇教室
「いつも一人ぼっち」
「学校ではいじめられ」
「クラスメイトにも、先生にも」
「誰からも必要とされないぼく」
「生きる意味なんてあるのかな・・・」

〇開けた交差点
  とぼとぼと一人歩く三太
  ドンッ!!
  倒れこむ三太
山田「痛ってーな」
山田「・・・あぁ?」
山田「同じクラスの三太じゃねーか」
山田「存在感うす過ぎて気づかなかったわ」
赤星三太「・・・」
山田「なーんも言い返してこねーの」
山田「ゴミ以下だな」
山田「お前、生きてる価値あんの?」
赤星三太「・・・」
山田「ははっ」
山田「ある訳ねーか」
山田「お前がいなくても誰も困んねーよ」
  一人取り残される三太

〇開けた交差点
赤星三太「いなくなっても誰も困らない」
赤星三太「そんなこと、ぼくが一番わかってるよ」
  キキーッ!!!!
  ドンッ!!!!
赤星三太「・・・交通事故?」
赤星三太「ぼくもここで飛び出したら・・・」
赤星三太「楽になれるのかな・・・」
  フラフラと車道に出ようとする三太

〇開けた交差点
雪村あかり「サンタさんだ!!」
赤星三太「え・・・」
雪村あかり「お兄ちゃん、さっきサンタって呼ばれてた」
赤星三太「それは、ぼくの名前が・・・」
雪村あかり「サンタさん」
雪村あかり「あかり、欲しいものがあるの」
赤星三太「聞いてくれない・・・」
  ぬいぐるみが木の上に引っかかっている
赤星三太「なんであんなところに?」
雪村あかり「サンタさん、お願い」
赤星三太「あんな高いところ無理だよ・・・」
赤星三太「ていうかサンタじゃないんだけど」
雪村あかり「どうして?今日はクリスマスでしょ」
雪村あかり「サンタさんがプレゼントくれる日だって」
雪村あかり「・・・」
雪村あかり「あかりが良い子じゃないから?」
赤星三太「そ、そうじゃなくて」
雪村あかり「だからプレゼントもらえないんだ・・・」
雪村あかり「うわーん!!」
赤星三太「わ、わかったから!!泣かないで!!」

〇木の上
  木によじ登る三太
「うぅ・・・怖い・・・」
雪村あかり「サンタさんガンバレー!!」
赤星三太「完全にサンタだと思われてる・・・」
  目を輝かせて三太を見るあかり
赤星三太「よ、よーし」
赤星三太「ぼくだって」
赤星三太「誰かの役に立つんだ!!」
赤星三太「ハァッハァッ」
赤星三太「も、もう少し・・・」
赤星三太「うわっ」
  ドターン!!

〇開けた交差点
  木から落ちてしまった三太
赤星三太「イタタタタ・・・」
雪村あかり「サンタさん大丈夫?」
赤星三太「だ、大丈夫・・・だと思う・・・」
雪村あかり「・・・」
雪村あかり「サンタさん、ありがとう」
赤星三太「え?」
雪村あかり「あかり、サンタさんに会えて嬉しかったよ」
赤星三太「でも、まだぬいぐるみが」
雪村あかり「サンタさんなら、きっと届けてくれる」
雪村あかり「約束、ね!!」
赤星三太「約束・・・」
雪村あかり「あかり、もう行かなきゃ」
赤星三太「あかりちゃん!?」
  バサッ
  ぬいぐるみが木から落ちてきた
赤星三太「あっ」
赤星三太「は、ははは」
赤星三太「サンタさん、か」
赤星三太「クリスマスプレゼント渡さないとな」
赤星三太「約束したんだから」

  翌日

〇開けた交差点
赤星三太「いないか・・・」
赤星三太「これ、どうしよう」
雪村さゆり「あの、そのぬいぐるみ・・・」
赤星三太「あ、これは」
赤星三太「昨日ここで見つけて・・・」
雪村さゆり「やっぱり!!」
雪村さゆり「娘のものなんです」
雪村さゆり「娘・・・あかりの・・・」
赤星三太「あかりちゃんのお母さん?」
雪村さゆり「ええ・・・」
赤星三太「よかった」
赤星三太「あかりちゃんに渡したくて探してたんです」
赤星三太「あの、あかりちゃんは・・・?」
雪村さゆり「あかりは・・・」
雪村さゆり「昨日ここで・・・」
雪村さゆり「交通事故にあって・・・」
赤星三太「え・・・」
雪村さゆり「亡くなりました・・・」
赤星三太「そんな・・・」
雪村さゆり「クリスマスプレゼントだったんです」
雪村さゆり「すごく気に入ってくれて」
雪村さゆり「事故の直前まで抱っこして離さなくて」
赤星三太「そうだったんですか・・・」
雪村さゆり「事故の時、飛ばされてしまったみたいで」
雪村さゆり「あなたが見つけてくれたんですね・・・」
赤星三太「ぼくは、ただ・・・」
雪村さゆり「ありがとう」
雪村さゆり「天国へ行くのに一人じゃかわいそうだから」
赤星三太「・・・」
赤星三太「お礼を言うのは、ぼくの方です」
赤星三太「あかりちゃんに」
赤星三太「大切なもの、もらいました」
雪村さゆり「あかりが?」
赤星三太「はい・・・」
赤星三太「すごく、大切なもの・・・」

〇空
「君はぼくをサンタさんだと言ったけど」
「プレゼントをくれたのは君の方だ」
「死んでもいいなんて思ってたぼくに」
「約束をくれた」
「明日を生きる理由なんて」
「そんな些細なことなのかもしれない」
「ありがとう」
「小さなサンタさん」

コメント

  • 日本の若者の自殺者や自殺志願者が多い傾向にある中、このお話がなるべく多くの人の目に触れればと思わせるほど説得力のある文章でした。

  • 少し切なくなりますが、いいお話だったなぁと思います。
    生きる理由なんて些細なものでいいと思うんですよ。
    それを思い出させてくれた作品でした。

  • あかりちゃんはサンタさんを助けたかったんですね。子どもはいつも純粋で優しい。真実は悲しかったけれど、ぬいぐるみをお母さんに無事に渡すことができてよかったです。命は大切ですね。一生懸命生きましょう。

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