〇高層マンションの一室
笠原絢音「あ！ 帰ってきた!!」
　　──絢音が退院し、総一郎のマンションに来て一週間。
　　すっかり慣れた体でキッチンに立っていた絢音は、パタパタとスリッパを鳴らして玄関へ向かう。

〇シックな玄関
大八木総一郎「──ただいま。絢音」
笠原絢音「お帰りなさい！ 当直お疲れ様!!」
大八木総一郎「・・・・・・・・・」
笠原絢音「? なあに？ 私の顔に、なんかついとる？」
大八木総一郎「・・・いや、まだ慣れないだけさ。 帰宅したら「おかえりなさい」って、誰かに言われる生活に」
笠原絢音「総一郎さん・・・」
　　はにかむ絢音をそっと抱きしめて、総一郎は彼女に囁く。
大八木総一郎「今日から明後日までは非番だから、どこか行こうか。 ずっと家にいて、退屈だったろ？」
笠原絢音「い、いいわよ！ お仕事で疲れてるでしょ？ お家でゆっくりしましょ？ 私、マッサージ勉強したからしてあげる！」
大八木総一郎「遠慮なんてしなくていいよ。 絢音は僕の彼女だろ？ 彼女が喜ぶことをするのが、彼氏の僕の役目さ」
笠原絢音「でも・・・」
　　誰かに優しくされることに慣れていなくて、モジモジと戸惑う絢音に、総一郎は優しく笑いかける。
大八木総一郎「・・・笑っておくれ。 僕の可愛い・・・絢音」
笠原絢音「総一郎さん・・・」
　　戸惑いながらも微笑む絢音の額にキスをして、総一郎はポンポンと彼女の背中を叩く。
大八木総一郎「じゃあ、朝ご飯食べたら、支度だね。 懇意にしてる温泉宿があるから、行き先は山陰・・・島根の玉造にしよう」
笠原絢音「うん！ 総一郎さんが美味しいって言ってくれたオムレツ作ったから、早くダイニング行きましょう？」
大八木総一郎「ああ・・・」
　　──そうして手を取り合って、２人は部屋の奥へと消えていった。

〇走行する車内
笠原絢音「・・・結構雪凄いんじゃねぇ〜 冬の山陰なんて、私初めて・・・」
大八木総一郎「そ？ それは良かった。 父の代からの常宿でさ、雪を見ながらの貸し切り露天は、最高だよ」
笠原絢音「そ、そんな高そうなとこ・・・ええよ。 一泊するってだけでも夢みたいな贅沢じゃのに・・・それに・・・」
大八木総一郎「ん？」
　　ハンドルを握り、雪道を難なく運転して行く総一郎を見つめながら、絢音は胸のネックレスを握り締める。
笠原絢音「お揃いは嬉しいけど、こんな高級そうなもの、私なんかには勿体無いわぁ どうしてそんなに、尽くしてくれるん？」
大八木総一郎「・・・・・・・・・」
　　車が赤信号で停車したので、総一郎は片手をハンドルから離し、絢音の手を握りしめる。
笠原絢音「そ、総一郎さん・・・」
大八木総一郎「──絢音は、僕を純粋に求めていてくれるだろ？ 僕はそれが、堪らなく嬉しいんだ。 だからもっと、求めておくれ？」
笠原絢音「けど・・・────────んっ」
　　チュッと、優しく唇を奪われて、絢音の心音はドキドキと高鳴り始める。
大八木総一郎「・・・残念、青信号だ。 全く、神様は野暮だね」
笠原絢音「総一郎さん・・・」
大八木総一郎「髪型、似合ってるよ。 白い頸がよく見えて、唆られる。 僕を誘惑してるのかい？ 可愛い絢音」
笠原絢音「そ、そんなつもりじゃ！」
大八木総一郎「冗談だよ。 ・・・でも、そろそろもっと、君を知りたいな。 可愛い僕の、絢音」
笠原絢音「総一郎さん・・・」
大八木総一郎「──宿に着いたら浴衣を選んであげるよ。 白い肌に似合う綺麗な色・・・そうだな、青なんかどうだい？ 清らかで君にピッタリだ」
笠原絢音「・・・嬉しい・・・ 総一郎さん、大好き」
大八木総一郎「ああ・・・ 絢音」
　　──自分は愛されてる。求められている。
　　この頃の絢音は、総一郎の優しさが愛であると、信じて疑わなかった。
　　──出会って告白して付き合い共に住んでいても、総一郎が自分に一度も「好き」と言っていないことなど、気づいてもいなかった。

〇旅館の和室
大八木総一郎「──冬に見る朝顔も、なかなか風情があっていいと思って選んだけど、どうだい？」
笠原絢音「うん。 素敵・・・ ありがとう、総一郎さん」
　　青い朝顔の浴衣を着てはにかむ絢音を優しく見つめながら、総一郎は彼女に手を差し伸べる。
大八木総一郎「じゃあ、早速温泉に入ろうか。 ・・・今夜の為にも、その肌に磨きをかけておくれ。 可愛い僕の、絢音──」
笠原絢音「えっ！」
　　思わぬ誘いに戸惑いを露わにすると、総一郎に強く抱き締められる。
大八木総一郎「朝顔の花言葉は、「あなたに絡みつく」 色っぽいだろ？ 僕達の特別な夜に相応しい花だとは、思わないかい？」
笠原絢音「で、でも私・・・まだ、不安・・・」
大八木総一郎「大丈夫。 優しく優しくするから。 だから、そろそろ僕を受け入れておくれ。 可愛い絢音・・・」
笠原絢音「・・・・・・・・・」
　　チラリと肩越しに見える、半開きの襖の奥にある寝室の寝床は、一つ布団に二つ枕。
　　共に住み始めて一週間。
　　出会って１ヶ月と少し。
　　まだまだ自分は、総一郎を知らない。
　　だから正直、身体を・・・処女を捧げるのは怖い。
　　だけど、
笠原絢音「──本当に、優しくしてくれる？」
大八木総一郎「うん。約束する。 けど、そうだな・・・ こんな約束はどうだい？」
笠原絢音「?」
　　戸惑う絢音の、頬についた後毛を指で攫いながら、総一郎は真意の汲み取れない笑顔で彼女に囁きかける
大八木総一郎「もし、少しでも痛かったら、僕のこと、殺して良いよ。 可愛い絢音の初めてが手に入るなら、こんな命、安いものさ」
笠原絢音「そ、そんな怖いこと言わんで!! 殺せるわけないじゃない！ こんなに・・・愛してるのに・・・」
大八木総一郎「「アイシテル」なら、いいだろ？ その白く瑞々しい肌を紅く染めて、僕を求める君を見たいんだ。 絢音・・・」
笠原絢音「総一郎さん・・・」
　　ここまで情熱的に口説かれ求められては、もう嫌とは言えない。
　　なにより、自分の貞操に命すら捧げると言ってくれた総一郎の気持ちに応えたくて、絢音は小さく頷く。
笠原絢音「分かった。 じゃけど本当に、優しくしてね？」
大八木総一郎「ああ・・・ 優しく抱くよ。 なら、行こうか・・・」
笠原絢音「うん・・・」
　　──そうして、総一郎に優しく肩を抱かれて、絢音は彼の用意した貸し切り露天風呂へと向かった。

〇露天風呂
笠原絢音「ね、ねえ、 あんまり、まじまじ見んでくれる？ 恥ずかしい・・・」
大八木総一郎「なんで？ 綺麗なものをずっと眺めていたいのは、人のサガさ。 素敵だよ。僕の絢音・・・」
笠原絢音「・・・・・・・・・」
　　湯煙漂う露天風呂。
　　総一郎の言った通り、雪景色が見事だったが、絢音はずっと・・・熱のこもった眼差しで自分を見つめる総一郎に戸惑っていた。
笠原絢音「あ・・・」
　　不意に総一郎に距離を詰められ抱きしめられて、絢音は顔を真っ赤に染める。
笠原絢音「そ、総一郎さん・・・ あ、当たって・・・」
大八木総一郎「うん。 君が魅力的だからだよ？ 可愛い絢音・・・」
　　太腿辺りに押し当てられる、固く反り立った、総一郎の性器。
　　こういう時、どうしたら良いのか分からなくてオロオロしていると、手を握られ、性器に導かれる。
笠原絢音「そ、総一郎さん・・・」
大八木総一郎「扱いておくれ？ この、白い柔らかな手で・・・ 僕を・・・気持ちよくさせておくれ・・・」
笠原絢音「・・・・・・・・・」
　　恐々、総一郎に抱きすくめられたまま、絢音は彼の性器を優しく握りしめ、手を前後に動かす。
　　水音と、耳に掛かる総一郎の甘い吐息にドキドキを胸を高鳴らせていたら、不意に眼前に引き寄せられる。
笠原絢音「そ、総一郎さん？」
大八木総一郎「跪いて、目を閉じて」
笠原絢音「えっ?!」
大八木総一郎「顔に、かけたい。 その聖女のような美しい顔で、僕の欲を清めておくれ？」
笠原絢音「・・・・・・・・・」
　　顔にかけられるなんて経験など勿論なかったが、総一郎が望むならと、絢音は温泉の中で跪いて目を閉じる。
　　その姿を確認すると、総一郎は自らの手で性器を扱き、ビュッと、勢いよく絢音の顔めがけて射精する。
大八木総一郎「────綺麗だ・・・ 最高だよ。 僕の絢音・・・」

〇古風な和室
笠原絢音「あ、や・・・ 総一郎さん。 ダメ・・・」
大八木総一郎「大丈夫・・・ リラックスしておくれ。 怖くないから・・・」
笠原絢音「でも・・・ あっっ!!!」
　　居室の寝室の、一つ布団に二つ枕の上で、生まれたままの姿で絡み合う、総一郎と絢音──
　　つぷっと、胎内に挿れられた指に驚き腰を引くと、総一郎に抱きしめられ、優しく頭を撫でられる。
笠原絢音「あ・・・ダメ・・・ そんな・・・とこ・・・ ああ・・・」
大八木総一郎「──感じやすいんだね。 可愛いよ。 じゃあ、ここはどうかな？」
笠原絢音「ひあっ!!!?」
　　クッと、膣内の膨らんだ部分を押されて擦られ、前後に出し入れされて、絢音の女の性は強く反応し、とめどなく布団に蜜が滴る。
　　堪らず逃げるようにうつ伏せに身を翻したら、総一郎が背中に乗るように重なり、背後から胸の先を弄り指で更に膣内を蹂躙する。