人生はコーディネートの積み重ね(脚本)
〇黒
デート当日
〇新橋駅前
松川 雄二「!」
松川 雄二「こっちこっち」
結局私は
ミニスカを履いて行った。
年齢の壁はあるかもしれない。だけど、ここで否定されるようなら
ずっと偽らなくてはいけない相手と、この先うまくやっていける自信がなかったからだ。
今川 ゆかり「お待たせ」
松川 雄二「待ってないよ」
今川 ゆかり「・・・」
このことを、自分から切り出して良いのか、触れない方が良いのか悩む。
今川 ゆかり(本当は隣を歩きたくないって思われてないかしら)
松川 雄二「じゃあ映画館行こうか」
今川 ゆかり「あっ、うん」
彼はそういうと、スタスタと前を歩き出した。
〇映画館の座席
松川 雄二「いやぁ映画館久々だなぁ」
今川 ゆかり「・・・そうね」
ここに着くまでの間も、彼は一言も服装については触れなかった。
段々と焦りと悲しさが押し寄せる。
今川 ゆかり(やはり、この格好は彼としては受け入れられなかったのかな)
松川 雄二「足元、寒くない?」
今川 ゆかり「えっ」
松川 雄二「足元寒そうだったから セクハラになってたらごめん」
今川 ゆかり「・・・引いた?」
松川 雄二「まさか!」
松川 雄二「ーあ〜っ・・・いや・・・ちょっと白状すると、驚きはした」
今川 ゆかり「・・・ごめんなさい」
松川 雄二「謝らないで。好きな服を着るのは、何も悪くないんだから」
松川 雄二「実は俺、昔の彼女がバンギャでさ。その時に服装や髪型のことで割と口出ししちゃったんだよね」
松川 雄二「それが原因で別れちゃったんだけど、今思えばそんなの人の勝手だよなーと」
松川 雄二「だからあの時、もうそういうのはやめようって決めてたんだ」
今川 ゆかり「雄二さん・・・」
〇映画館の座席
その瞬間、映画館が暗くなる。
私は小声で呟いた。
今川 ゆかり「私も前の彼氏に服のことで喧嘩したことがあったから怖かったの」
今川 ゆかり「でも、勇気を出してよかったわ」
松川 雄二「言ったじゃないか。俺たちは自然体でいようって」
松川 雄二「それに嘘偽りはないよ」
今川 ゆかり「うん」
〇渋谷のスクランブル交差点
好きな服を好きに着ること
〇街中の道路
時には場所や相手を選ばなければいけないこと
〇黒
世の中にはたくさん面倒なことも、自分を押し殺さなくてはいけないこともあるけれど
〇映画館の座席
〇試着室
私はいつでも、自分に嘘をつかないコーディネートをしたい。
それが私の1番のハッピーエンドだから
投票結果が出た後から読ませていただいているのですが、うまく行くかドキドキしました。受け入れられてよかったです……。
読者参加型、おもしろい企画ですね!