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〇ボロい駄菓子屋
「優衣?どうしたの!?なにかあったの!?」
優衣「ううん、なんでもない」
「どうだった?」
優衣「うん。おいしかった・・・」
「おいしかった?」
優衣「梓。・・・ありがとう!」
梓「!!・・・優衣・・・」
梓「優衣!!」
  泣きながら抱きついてきた梓に、
  私は、もう随分と長いこと梓の顔をちゃんと見てなかったことに気がついた
  泣いている梓の背中を擦っているとき、
  駄菓子屋のおばあちゃんがやってきた
駄菓子屋のおばあちゃん「優衣ちゃん、はいこれ」
優衣「これは?」
駄菓子屋のおばあちゃん「美穂ちゃんから、お菓子と一緒にこれを渡して欲しいって頼まれてたんだよ」
梓「また手紙だね」
優衣「うん」
  『すべってもいたくないものな〜んだ?
  そこであめをたべましょう』
優衣「すべっても痛くないもの?」
梓「あめって、その飴のこと?」
駄菓子屋のおばあちゃん「歩きながら探してみるといいよ。 そうするとね、いままで見えていなかったものが見えるものだから」
優衣「はい」
  私と梓は次の場所を探すために駄菓子屋を後にした。
  少しだけ色が戻ってきた気がした

〇市街地の交差点
梓「う〜ん。すべってもいたくないものか〜」
優衣「そこで飴を食べるっていうのもよく分からないし・・・」
梓「場所なのは間違いないんだけど、どこの場所なのかが・・・」
  ふたりで悩みながら歩いていると、
  道路でボール遊びをしている男の子がいた
  いくら車通りが少ない道路でもさすがに危ない。
  すると梓が・・・
梓「こら!!悪ガキ!!道路でボール遊びすんな!! 危ないでしょ!!」
「な、なんだよ!姉ちゃんたちには関係ないじゃんか!」
梓「道路は遊ぶところじゃないの! 車だって来るし。怪我じゃすまなくなるわよ!」
「別に大丈夫だよ!これくらい・・・」
優衣「!!」

〇山中の川
美穂「危ないよ〜!」
優衣「大丈夫だよ!」

〇市街地の交差点
優衣「──っ」
優衣「だめだよ」
「え?」
優衣「自分は大丈夫って思ってても、危ないことだってあるんだよ」
優衣「自分だけじゃない。 あなたを助けようとして友達や、 家族や大切な人たちがいなくなってしまうことだってある」
「・・・・・・」
優衣「いなくなってしまったあとで、 あの時、ああしておけば良かったって思っても取り返しがつかない」
梓「・・・・・・」
優衣「あなたの大切な人たちを守れるのはあなただけなんだよ」
「・・・ごめんなさい・・・」
梓「ほらボールで遊ぶんだったら、公園に行ってきなさい」
「分かった!」
  そういって男の子はボールを持って公園へ向かった。
  ・・・本当は男の子に言ったこと全部、あの頃の自分に言いたかったこと。
  私は少しだけ痛くなった胸を抑えた

〇市街地の交差点
梓「優衣?大丈夫?」
優衣「ごめんね。なんだか私、偉そうに・・・」
梓「そんなことないって!これであの子も今度から公園に──」
梓「ああ!!分かった!すべってもいたくないもの!!」
優衣「ほんと!?」
梓「うん!!アレだよ、アレ!! ほら、公園にある・・・」
優衣「あっ!!」
  滑り台!!!

〇可愛い部屋
優衣「おねえちゃん!あそんで!!こうえんにいこ!!」
美穂「しかたないな〜」

〇住宅街の公園
  ふと昔のことを思い出していると・・・
  梓が大きな声を張り上げた
梓「やってきました!滑り台!!」
  夕暮れにもかかわらず公園にはまだ子供達が多くいた。
  ・・・さっきの男の子もボール遊びをしている。
  私達と子供達の他には子供達の保護者だと思う女の人たち。
  あとはベンチに座っているおじいさんだけ
優衣(あれ?あのおじいさん、どこかで 見たことが・・・。 ?なんだろ?あの箱)
梓「さてと。 手紙には滑り台で飴を食べるってあったよね!」
優衣「そうだけど・・・さすがにちょっと恥ずかしい・・・」
梓「そんなことないって!ほら」
  梓に促され滑り台の上に登り飴を食べた。
優衣(やっぱり甘い・・・)
梓「どう?」
優衣「どうって言われても・・・特に何もないけど・・・」
梓「おかしいな。ここじゃなかったのかな?」
  二人して困っているとベンチに座っていたおじいさんが私を見て声をかけてきた・・・
「優衣ちゃん?美穂ちゃんの妹の優衣ちゃんだろ?」
  えっ?

〇住宅街の公園
梓「おじいさん、誰?」
「覚えてないかい?」
優衣「すみません・・・」
「はは!まぁ覚えてないのも無理はない。 小さい頃以来だからね。 ほらこの公園の管理人だよ」
優衣(そういえば、 小さい頃よくお姉ちゃんとこの公園で遊んでたときに、私がイタズラするといつも怒ってくれた管理人さんがいたけど)
「懐かしいな。 二人ともよくこの公園に遊びに来てくれてたからね。 優衣ちゃんはよくイタズラをしてたね」
「美穂ちゃんはすごくしっかりした子で、二人のこと忘れたことがないよ」
優衣「あの・・・」
「おっと、ごめんよ。 今日は優衣ちゃんに渡すものがあるんだ」
梓「渡すもの?」
「これだよ」
優衣「これは・・・」
「美帆ちゃんからね預かってたものだよ」
「優衣ちゃんが、この公園の滑り台で飴を食べたらこれを渡して欲しいって・・・ずっと待ってたよ。 ようやく渡すことができた」
梓「優衣!開けてみて!!」
優衣「うん!」
優衣「これは!?」
  中から出てきたのは──

〇土手
優衣「お、おねえちゃん!」
美穂「それをかえしなさい!!」
犬「ワン!ワン!ワン!」
  キャーッ!!!

〇住宅街の公園
優衣(覚えてる・・・あの時、ワンちゃんに取られたお人形・・・すごくお気に入りだったから悲しくてずっと泣いてた・・・)
優衣「どうして・・・」
「8年前かな。 この公園で美帆ちゃんが傷だらけになりながら、犬からその人形を取り返すのを見かけてね・・・」
「事情を聞いたら優衣ちゃんの大事な人形だって」
  そういえば、昔一度だけお姉ちゃんの帰りが遅いときがあった。
  いつも必ず決まった時間には帰ってきてたのに。
  そして帰ってきたときひどく傷だらけで、
  お母さんたちがものすごく慌ててたのを覚えてる
優衣(あの時、初めてお姉ちゃんがお母さんたちにものすごく怒られてたの見たな・・・)
「その後、一生懸命人形を糸で直してたんだ。誕生日に優衣ちゃんに渡すんだって、笑いながら・・・」
  よく見ると人形には糸で修復した箇所がいくつもあった。
優衣(お姉ちゃん!)
梓「優衣・・・」
  傷だらけになって両親に怒られて。
  それでも私に笑顔を向けてくれていた姉。
  私は人形を強く抱きしめて涙を流した・・・

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