色のない世界(脚本)
〇幻想2
『色のない世界』
〇森の中
8年前
優衣「おねえちゃん!こっちこっち!はやく!」
美穂「まって〜ゆいちゃん!」
美穂「あぶないよ!あんまりもりのなかにいったら!」
優衣「だいじょうぶ!それよりはやくはやく!」
美穂「あっ!ゆいちゃん!」
〇黒
優衣「ほらみておねえちゃん!ゆい、こんなにはやくはしって──」
優衣「おねえちゃん・・・?おねえちゃん!?」
優衣「おねえちゃん!どこ!?ゆいをひとりにしないで!!」
〇女の子の部屋(グッズ無し)
8年後
優衣「ん・・・」
優衣「朝・・・?」
優衣(また、お姉ちゃんの夢・・・)
起き上がった私はいつもと同じ夢にため息をつく。
昔、まだ私がお転婆だった頃。よくお姉ちゃんを連れ回していた頃の夢。
8年前、私は姉を事故で亡くした。いつも優しかった姉が私は大好きだった。
だから姉が亡くなったと聞かされたとき、私は産まれて初めて大きな声で泣きわめいていた。
泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて──涙が枯れたとき、私の世界から色が消えていた。
優衣「起きないと・・・」
〇明るいリビング
「あ・・・おはよう、優衣」
優衣「おはよう・・・お母さん、お父さん」
「顔色が悪いが大丈夫か?」
優衣「大丈夫・・・」
「えっと・・・ご飯食べましょ?今日は早く出るって言ってたでしょ?時間が無くなっちゃうわ」
優衣「いただきます・・・」
「そうだわ!今度優衣の誕生日でしょ?久しぶりに家族でご飯食べに行かない?」
「ああ、いいな!最近家族で行ってなかったからな!」
「優衣の好きだったハンバーグ好きなだけ食べていいから!ね?優衣」
優衣「・・・・・・」
「・・・いいでしょ?優衣?・・・お願いだから、一緒に行きましょ?ね?」
優衣「・・・私、日直の仕事あるから、もう行くね・・・」
「あっ・・・優衣・・・」
〇教室の教壇
学校へと着いた私は席について自分の腕に顔をうずめた。日直の仕事なんてのは嘘だ。
ただあの家に居たくなかった。・・・正確には両親の近くに居たくなかった。
優衣(放っといてほしいのに・・・)
けれどそんな私の願いも虚しく、話しかけてくる人がいた
「優衣!おはよう!!」
優衣「おはよう・・・梓」
「もう!朝から暗いよ?ねぇ、昨日の動物大集合見た?可愛かったよね!!」
優衣(梓は昔と変わらずに優しい・・・いつも私に話しかけてくれる。けど・・・)
チラリと周りを見るとクラスメイトが遠巻きから私を見てヒソヒソと話をしていた。
優衣(おおかた、私の悪口を言ってるんだろうな・・・無理もないけど・・・)
まだ姉が生きていた頃、明るい性格の私は友達が多くいた。けれど姉が亡くなりこんな性格になってから少しずつ友達が離れていった
優衣「梓・・・ごめん。私、ちょっと・・・」
「あっ!!優衣!?」
「・・・もう」
「・・・千崎。あまり西島に話しかけないほうが・・・」
「なんでよ!」
「あいつ、まだあの事引きずってるだろ?」
「うん。私も今はそっとしておいてあげたほうがいいと思う・・・」
「でも、あれは優衣が悪いってわけじゃ!」
「私達だってそう思ってるよ!!」
「僕たちも昔の西島さんに戻ってほしい!」
「・・・私も落ち込んだとき、一人になりたいって思うもん。優衣ちゃんだって今はきっと放っといてほしいって思ってるよ・・・」
「・・・わかってる。優衣の気持ちも・・・皆が優衣のことを思ってるってことも・・・でも!」
「今、優衣を一人にしたら駄目だって思うから・・・」
「・・・・・・」
〇土手
学校が終わり、一人で帰っていた私はいつもの道を歩いていた
優衣「クラスの皆は私を遠ざけてるみたい・・・お母さんたちもまるで腫れ物を扱うみたい・・・でも、仕方ないよね・・・」
優衣「だって私がお姉ちゃんを──」
殺したみたいなものだから