初恋遊霊

尾長イルカ

読切(脚本)

初恋遊霊

尾長イルカ

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初恋遊霊
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〇公衆トイレ
  学校に悪霊が出ると噂の
  古いトイレがあった
伊能 霞(いのう かすみ)「俺の霊能力で 悪霊退治だぜ!」
伊能 霞(いのう かすみ)「フンババー」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「お祓いできた?」
伊能 霞(いのう かすみ)「チョロイぜ」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「残念だけど 悪霊が出るのは 4階のトイレだよ」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「ここは2階」
幻(まほろ)「アハハ ドジっ子ですね~!」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「制服が違うね どこの子?」
幻(まほろ)「まだ中学生でーす」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「中学生が 何で高校のトイレに?」
幻(まほろ)「え!?  そっちこそ 何で呼び出したんですか?」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「呼び出した ということは・・・」
伊能 霞(いのう かすみ)「フンババ💦」
伊能 霞(いのう かすみ)「悪霊を祓うつもりが 呼び寄せちまった!」
幻(まほろ)「失礼な 悪霊じゃないですよ!!」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「でも幽霊なんだろう?」
幻(まほろ)「うそ!?  私 死んじゃったの? 聞いてないよ!!」
伊能 霞(いのう かすみ)「自覚ないんだ! 一番タチ悪い系だ・・・」
幻(まほろ)「ほ ホントに・・・!?」
幻(まほろ)「まだ中学生なのに! デートもしたことないのに! そんな そんな!!」
  駆け出す幻
  翼にぶつかりそうになる
憑読 翼(つきよみ つばさ)「あぶないよ」
幻(まほろ)「ごめんなさい よく見えなくて」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「目が悪いの?」
幻(まほろ)「1.5です なのに周りが かすんで」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「死んだばかりで 慣れてないんだね」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「僕コンタクトにしたから 予備のメガネ かけてみる?」
幻(まほろ)「すごい クッキリ!! 世界って素晴らしい」
伊能 霞(いのう かすみ)「翼に馴れ馴れしくすな!」
幻(まほろ)「翼くん? カッコイイ名前ですね」
幻(まほろ)「これで見ると 翼くんキラキラしてる 魔法のメガネだ!!」
伊能 霞(いのう かすみ)(ませたこと言いやがって 中学生のくせに!! 中学生のくせに!!!!)
幻(まほろ)「翼くんのお宅は 何屋さん?」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「ウチは寺だから つまらないよ」
幻(まほろ)「えー!! 行きたい 成仏したいですぅ」
伊能 霞(いのう かすみ)「中学生のくせに 翼くんなんて・・・図々しい!」
幻(まほろ)「彼女さんですか?」
伊能 霞(いのう かすみ)「彼女とか そんな・・・ もっともっと深い仲なの!!」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「ただのクラスメイトだろ」
幻(まほろ)「なーんだ 私 浮遊しちゃうんで 翼くん家で 落ち着きたいでーす!」
伊能 霞(いのう かすみ)「ダメダメダメダメダメ!!!!! ぜーったいダメッ」
伊能 霞(いのう かすみ)「悪霊退散 悪霊退散」
幻(まほろ)「悪霊じゃないでーす 初対面なのに 失礼な人ですね」
伊能 霞(いのう かすみ)「どっちが どっちが もう図々しい」
  手ごわい相手を
  呼び出してしまった霞だった

〇神社の本殿
伊能 霞(いのう かすみ)「幽霊とデート!?」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「デートもせずに死んだのが 心残りだって」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「未練を残したままでは 本当に悪霊化してしまうかも」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「寺の息子として 成仏させるのが 使命だと思う」
伊能 霞(いのう かすみ)「こっちだって 悪霊退散が 霊媒師の使命!!」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「オンライン霊媒師だろ? 動画で修行しただけの」
伊能 霞(いのう かすみ)「オンラインだって 修行は修行だぜ」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「それより デートの仕方教えてよ どこに連れて行けば良い?」
伊能 霞(いのう かすみ)「何で俺が・・・」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「『悪霊キラーで恋愛マスター!!』」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「って いつもエバってるじゃん」
伊能 霞(いのう かすみ)「そそそ  そりゃ『童貞坊主』の翼と違って 俺は恋愛マスターだけどさ」
伊能 霞(いのう かすみ)「そうね~初デートは・・・ どこかな~」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「本当に恋愛マスターか?」
伊能 霞(いのう かすみ)「うううウルセーよ 童貞坊主のくせに」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「オンライン霊媒師のくせに」
  会うといつも
  素直になれない霞だった

〇赤いバラ
伊能 霞(いのう かすみ)「ダメダメダメ NONONO~」

〇手
幻(まほろ)「ウフフフ」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「アハハハハ」
幻(まほろ)「グハハハハ これが 私の正体さ!!」
幻(まほろ)「キスしたら地獄行きだ」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「助けて霞 僕がバカだった 霞のこと信じなくて」
伊能 霞(いのう かすみ)「だからだから ダメって言ったのにー」

〇部屋のベッド
伊能 霞(いのう かすみ)「ハッッッ ゆ 夢!?」
伊能 霞(いのう かすみ)「イヤ違う! きっと・・・予知夢」
伊能 霞(いのう かすみ)「俺の霊能力が 翼の危険を感知したんだ!!」
伊能 霞(いのう かすみ)「あの子を翼の側に 近寄らせちゃいけない 絶対に!!」
伊能 霞(いのう かすみ)「キス・・・それは『死の接吻』」
  こうして 霞の暴走が始まる

〇遊園地の広場
幻(まほろ)「ウフフフ」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「アハハハハ」
  こっそり 二人をつけている霞
伊能 霞(いのう かすみ)「遊園地デート!? この恋愛初心者が!!」
伊能 霞(いのう かすみ)「畜生畜生 私だってまだ したことないのに!!」
  転びそうになった幻
  支える翼
幻(まほろ)「翼くん優しい こんなに優しくされたの初めて!!」
伊能 霞(いのう かすみ)「翼くん優しい~ こ~んなに優しくされたの初めて~!!」
伊能 霞(いのう かすみ)「ざけんな クネクネして 幽霊のくせに!!」
伊能 霞(いのう かすみ)「そんな ぶりっ子 俺だって出来るよ」
  ゆがむ鏡の前で
  クネクネとぶりっこする霞
伊能 霞(いのう かすみ)「ヤダ〜嬉し~い!! 翼ったらん アハハ ウフフ」
通行人A「あのお姉さん気持ち悪い」
通行人B「見ないフリ 見ないフリ 変な妖怪かも知れない」
  通行人に 怪しまれる霞!!
伊能 霞(いのう かすみ)「変装しよう・・・ ちゃんと持って来たんだ」

〇テラス席
着ぐるみ「・・・・・・」
幻(まほろ)「さっきから 汚い着ぐるみが ウロチョロしてる」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「遊園地のキャラクターかな?」
幻(まほろ)「手作り感が半端ないけど  とにかく汚い!!」
着ぐるみ「何だと!!」
幻(まほろ)「え? しゃべった??」
着ぐるみ(お前だって幽霊のくせに めっちゃ しゃべってるじゃないか!!)
  ごまかして 口笛を吹く着ぐるみ
  背を向ける
憑読 翼(つきよみ つばさ)「変なキャラクターだな」
幻(まほろ)「それより 霞ちゃんとも遊園地行くの?」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「イヤ 行ったことないよ」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「恋愛マスターって自慢してるから 色んな男の子と 遊んでるんじゃないかな?」
幻(まほろ)「うふふふふ・・・」
幻(まほろ)「それ絶対 嘘ですね あの人は 恋愛経験ゼロですよ」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「そうなの?」
幻(まほろ)「だってモテなさそう」
着ぐるみ「☆■△〇☆★☆彡!!!!!!」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「何かアイツ 飛び跳ねてるぞ?」
幻(まほろ)「はしゃいでるみたい」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「イヤ・・・怒ってるような仕草だけど」
幻(まほろ)「愛想振りまいてるんですよ きっと!」
着ぐるみ(この女 嫌い!!)
幻(まほろ)「霞ちゃんは 翼くんのこと・・・好きなんだと思う」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「そんなバカな!! いつも文句ばっかで 口悪いんだぜ」
幻(まほろ)「それが乙女心ですよ」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「また あのキャラ飛び跳ねてる」
幻(まほろ)「楽しいこと あったのかな?」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「イヤ・・・モジモジして 恥ずかしがってるように見えるけど」
幻(まほろ)「やっぱり愛想振ってるんですよ!!」
着ぐるみ(大大大嫌い!!!!)
  とても手ごわい幻だった
幻(まほろ)「実は私 ・・・ 失恋してたんです  それで・・・」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「まさか それで自殺したとか?」
幻(まほろ)「イイエ ただボーっと歩いてたら・・・ 車に轢かれちゃったみたいで」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「ええ!!」
幻(まほろ)「クラクションで顔上げたら 車が・・・ そこからの記憶がない・・・」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「そうだったのか・・・」
幻(まほろ)「でも そのお陰で 翼くんとこうして・・・」
幻(まほろ)「思い出に 一緒に夕日が見たいな」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「思い出・・・」
幻(まほろ)「消える前に・・・ 最後の思い出・・・お願い」
着ぐるみ「おねが~い💛」
  クネクネと 体をくねらせる着ぐるみ
憑読 翼(つきよみ つばさ)「なんだコイツ 変なやつ」
幻(まほろ)「なんだか 不愉快ですよね!」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「行こう行こう! あっちに観覧車あるから そこで夕日を」
幻(まほろ)「うん!!」
着ぐるみ「▽▲☆▲〇★×☆彡!!!!」

〇観覧車の乗り場
  幻と翼は 観覧車に乗り込んだ
  着ぐるみ姿で 追いかける霞
  観覧車に乗り込もうとして
  従業員に止められるが
  ゴンドラの外壁のネジに
  着ぐるみの毛が絡まる
  上空に吊り上げられる
着ぐるみ「助けてー」

〇観覧車のゴンドラ
  いいムードの幻と翼
  霞がぶら下がってるとも知らず
幻(まほろ)「夕日が綺麗・・・」
幻(まほろ)「この光景忘れません 二度と・・・いえ絶対忘れません!」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「僕も忘れない 君のことも夕日のことも・・・」
幻(まほろ)「翼くん・・・」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「幻ちゃん・・・」

〇観覧車の上
着ぐるみ「!!」
着ぐるみ「落ちるー 落ちるー イヤアアアアア」

〇観覧車のゴンドラ
  全く気づかず
  うっとり 見つめ合う二人
  唇と唇が急接近

〇観覧車の上
着ぐるみ「見つめ合い過ぎ~」
着ぐるみ「死の接吻」
  暴れる霞
  ネジに絡んだ毛が外れ 落ちそうになる
  慌てて ゴンドラの足を掴む
着ぐるみ「NONONONONONO!!!!!!!」
  ゴンドラが揺れるので
  2人はキスしなかった

〇ジェットコースター
  乗り物のチケットを買いに行く翼
  待っている幻
伊能 霞(いのう かすみ)「翼を これ以上見つめるの禁止!!」
幻(まほろ)「え!?」
  メガネを奪い 駆け去る霞
幻(まほろ)「返して」

〇遊園地の全景
  園内をさまよう
幻(まほろ)「見えないよ 見えないよ 翼くん どこ?」
幻(まほろ)「助けて 翼くん・・・」

〇遊園地の広場
  霞は ある人物と鉢合わせしていた
伊能 霞(いのう かすみ)「親父」
  愛人とお忍び中の 父親霊媒師
伊能 霞(いのう かすみ)「親父 何してんだよ!?」
霊媒師「アアアア これは これは・・・」
愛人「あなた こんな大きな娘がいたの?」
霊媒師「違う違う! これは ででで 弟子だ!!」
伊能 霞(いのう かすみ)「え? まあ 弟子みたいなもんだけど」
霊媒師「お前は弟子だ 弟子弟子!! 親子じゃない!!」
霊媒師「ワシは通信教育で修行を 弟子はオンライン動画で修行中じゃ」
愛人「通信教育霊媒師と オンライン霊媒師ね」
  苦笑いする親子
子分「姉御 服役中の兄貴が スケベ爺 騙して 早く保釈金を巻き上げろって」
愛人「バカ!! 大声で言うんじゃないよ!!」
霊媒師「スケベ爺? 騙す? 保釈金??」
愛人「ドラマよドラマ そういうドラマ見たって! 弟は バカだから💦」
伊能 霞(いのう かすみ)「カモられてるぞ 親父も俺も モテないんだからさ・・・」
霊媒師「うるさい! この人は ただのお客様なんだよ 変な関係じゃないんだ」
霊媒師「そしてお前は弟子だ!!」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「アレレ霞!? 来てたのか?」
伊能 霞(いのう かすみ)「ううう うん・・・親父と一緒に💦」
霊媒師「イヤイヤ 弟子と一緒じゃ💦」
  隠し事が多すぎて
  会話がグチャグチャだった
憑読 翼(つきよみ つばさ)「幻見なかった?  消えちゃったんだ」
伊能 霞(いのう かすみ)「幽霊だから 消えるでしょ」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「アレ? 何でそのメガネ持ってるんだ?」
伊能 霞(いのう かすみ)「こここ これは・・・」
霊媒師「ハテ? 霊気を感じる」
  メガネを手に取る霊媒師
霊媒師「このメガネに霊の気配が」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「幽霊が掛けてました」
霊媒師「いや幽霊ではない 遊ぶ霊 遊霊じゃ!!」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「遊霊(ゆうれい)??」
霊媒師「体から心が離れて遊んでいる つまり──生き霊」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「生き霊」
伊能 霞(いのう かすみ)「じゃあ あの子はまだ死んでないの!?」
霊媒師「死にかけている 幽体離脱を起こして 死にかけている」
伊能 霞(いのう かすみ)「そんな・・・」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「成仏やお祓いじゃなくて まだ生きてるなら 彼女の体に霊魂を戻さなきゃ」
霊媒師「そうだ すぐに霊魂を戻さないと 本当に死んでしまうぞ!!」
霊媒師「フンババ」
霊媒師「霊視の結果 その子は 聖杏奈病院におる!」
霊媒師「ところで君のオーラ・・・ 似たオーラを感じたことがある お兄さんは居るかね?」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「10年前にホテルで焼死した 縁士郎という兄が居ました」
霊媒師「縁士郎だと」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「ご存知ですか?」
霊媒師「いや思い出せん・・・ 何百体の霊と会ってるからな ワハハハハ」
愛人「あなた~ 早く~」
霊媒師「すぐ行く 愛理ちゃ~ん💛」
霊媒師「あくまで依頼人だからな 誤解するなよ」
伊能 霞(いのう かすみ)「・・・・・・」
  自分も嘘をついてるので
  ツッコめない霞だった

〇病室
  両親に見守られ
  
  危篤状態の
  
  幻の身体があった
医師「ご臨終です」

〇病室の前
  駆けつけた霞と翼
憑読 翼(つきよみ つばさ)「幻ちゃん メガネないから どこかで迷ってるんだろう」
伊能 霞(いのう かすみ)「俺が呼び出す!!」
伊能 霞(いのう かすみ)「フンババ」
幻(まほろ)「ここは?」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「早く体に戻るんだ ホントに死んでしまうよ!!」
幻(まほろ)「分からない よく見えないの」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「メガネ返してあげな!」
伊能 霞(いのう かすみ)「本当に・・・本当にゴメンなさい!!」
  しかし メガネを受け取らない
幻(まほろ)「・・・・・・」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「どうしたの?」
幻(まほろ)「もういいの ただ・・・」
幻(まほろ)「生きていた思い出に・・・ 一度だけ キスして」
幻(まほろ)「恋もせずに 消えたくないから・・・」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「メガネを掛けるんだ まだ生きられる!!」
幻(まほろ)「いいえ このまま死なせて・・・」
幻(まほろ)「本当は車に飛び込んだの・・・ 全て終わりにしたかった」
幻(まほろ)「でも翼くんと出会えてよかった」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「まだ中学生だろ 幾らでも楽しいことあるよ!!」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「霞も何か言えよ 一度や二度の失恋なんかより もっともっと大事なことがあるって」
伊能 霞(いのう かすみ)「恋より大事なこと・・・」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「恋なんて 幾らでもできるだろう 生きてたら!!」
伊能 霞(いのう かすみ)「バカヤロウ」
伊能 霞(いのう かすみ)「その人との恋は 一度きりだ ひとつだって 同じ恋なんかない!!」
伊能 霞(いのう かすみ)「幾らでもなんてない!! ひとつひとつが 一生に一度きり!!」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「霞・・・」
  メガネを壊す霞
憑読 翼(つきよみ つばさ)「なんてこと」
伊能 霞(いのう かすみ)「キスしてやれよ バカヤロウ!!」
伊能 霞(いのう かすみ)「女の気持ちが 分かんないのかよ 童貞坊主 クソ坊主」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「・・・・・・」
幻(まほろ)「でも霞ちゃんは 翼くんが──」
伊能 霞(いのう かすみ)「お前にくれてやるよ こんな童貞坊主!!」
伊能 霞(いのう かすみ)「俺は興味ねえ・・・」
幻(まほろ)「霞ちゃん ありがとう・・・」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「霞・・・」
伊能 霞(いのう かすみ)「目を瞑ってるから 早くしろ」
  幻と翼 唇と唇が接近する
医師「うるさいぞ! 臨終の患者がいるんだ 喧嘩は外でやりなさい」
  医師のメガネを奪う翼
医師「な 何をする!」
憑読 翼(つきよみ つばさ)「やっぱり生きろ 幻」
幻(まほろ)「脂ベタベタの おっさんメガネなんて ヤダ ヤダ」
幻(まほろ)「うう 気持ち悪い~」
幻(まほろ)「アラ~? 世界がよく見える」
  開いた扉の隙間から
  自分の死に顔が見えた
  見た瞬間
  霊魂が体に吸い込まれる

〇病室
幻(まほろ)「アレレレ? わたし?」
幻の母「生きてる 生きてるのね」
幻の父「幻幻幻幻~~~~~」
幻(まほろ)「パパ ママ」

〇神社の本殿
  その後──
幻(まほろ)「通せんぼしないで イジワルな先輩ですね」
伊能 霞(いのう かすみ)「まだ翼につきまとうの?」
幻(まほろ)「その人との恋は一度きり・・・ でも 新しい恋を何度でも!! それもアリでしょ?」
幻(まほろ)「まだキスしてないし」
伊能 霞(いのう かすみ)「死の接吻・・・さては やっぱり!!」
伊能 霞(いのう かすみ)「悪霊退散 悪霊退散」
幻(まほろ)「インチキ霊媒師ですね 私が悪霊に見えるなんて 先輩の方が メガネかけたら?」
伊能 霞(いのう かすみ)「うるさい 悪霊退散 悪霊退散」
幻(まほろ)「来年 同じ高校に入ります 勝負はこれからですよ せ・ん・ぱ・い💛」
伊能 霞(いのう かすみ)「怨敵退散 怨敵退散  フンババ クンババ」
伊能 霞(いのう かすみ)「クラミジアトラコマティス バイドクトレポネーマ センケイコンジローマ」
  父親仕込みの 怪しい呪文を
  泣きながら唱える 霞 だった

〇公衆トイレ
悪霊「アレ 俺の出番は?? 4階トイレの悪霊ですけど・・・」
悪霊「みんな 俺のこと忘れてない? ずっとスタンバってんだけど・・・」
悪霊「呪ってやる 呪ってやる!! 俺を忘れてた読者も呪ってやる!!」
  おしまい

次のエピソード:おまけ 冒頭NG分

コメント

  • 事故ではなく自分から飛び込んでいたのが意外でした
    お気楽な父親を見ていて霊能者といえども人間。こんなふうにいろんな恋をしているのもいるかもなと思いました。昔霊能者にはまっていた時期があって話すときは緊張することもあったので。そう言えばアドバイスをきつめにいう人、ソフトな人、いろいろいました
    四階の悪霊を出すオチがいい味出して笑えました

  • めちゃくちゃ面白くて、何度も笑いました!!
    霞さんと幻さんの関係が良いですね!こういう2人の関係、とても好きです!
    幻が体に戻る辺りのお話はとても感動しました。無事に生きてて良かったです。

    4階トイレの悪霊……完全に忘れてました……。

  • 三角関係がいいですね!中学生の女の子の遊霊と高校生の恋してる女の子いうシチュエーションが楽しくて、気付いたら読み終えてました!話の展開が素晴らしいと思います!
    ワンシーンコンテストの予選通過おめでとうございます!もちろん、通過した作品も素晴らしい作品です!😆

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