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さぶろう

最終話 新たな時代へ…(脚本)

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〇個別オフィス
磯島ハルカ「しゃ、社長・・・!」
マリア「・・・どうやら一足遅かったようね」
パンサー桃山「いやまて、よく見ろ! まだ息がある!」
横山社長「う、うぅ・・・」
磯島ハルカ「社長!しっかりしてください!横山社長!」
パンサー桃山「こらこらあまり体を揺らすな。 とりあえず救急車を呼んでくる!」
横山社長「・・・ハルカか・・・」
磯島ハルカ「・・・はい、そうです。 本物の磯島ハルカです」
マリア「社長さん、一体何があったんですか?」
横山社長「窓から妙な女が入ってきて、私を刺した後・・・ HARUKAを連れ去っていってな・・・」
横山社長「やつはその後、谷原さんのいる研究所に行くと言っていたな・・・」
マリア「わかりました。 ありがとうございます」
マリア「ハルカ、研究所に行くわよ!」
磯島ハルカ「え!? ちょ、ちょっと待ってくださーい!!」
パンサー桃山「まもなく救急車がこちらに到着するようです!」
パンサー桃山「・・・って、アレ・・・?」

〇近未来の手術室
谷原メイサ「・・・なるほど、つまりあなたは未来のHARUKAというわけね」
谷原メイサ「それで、私に何をさせるつもりなのかしら?」
未来HARUKA「HARUKAに・・・現代のHARUKAに私のデータや技術を取り入れてほしいの」
HARUKA「・・・!?」
未来HARUKA「そうすれば歴史は変わり、私は更なる力を手にする事ができるわ」
HARUKA「嫌です! 私はあなたの企みに利用されたくありません!」
未来HARUKA「どうしてそんなに嫌がるの? あなたも私も同じ存在じゃない」
HARUKA「社長を・・・横山社長を平気で傷つけるような人なんて、絶対に私じゃない!!!」
谷原メイサ「HARUKA・・・あなた・・・」
???「待ちなさい!!!」
マリア「そこまでよ、HARUKA! あなたの野望、私たちが食い止めてみせる!」
HARUKA「は・・・ハルカさん!?」
未来HARUKA「チッ・・・! しつこい奴らね・・・!」
谷原メイサ「・・・!」
未来HARUKA「動くんじゃないよ! これ以上近づいたら、谷原の命はないわ!」
HARUKA「やめてください!これ以上人の命を・・・」
未来HARUKA「うるさい! 邪魔だ!」
磯島ハルカ「HARUKA! 大丈夫!?」
HARUKA「大丈夫です・・・ 心配してくれて、ありがとうございます」
マリア「まずわね・・・ この状況、一体どうすれば・・・」
HARUKA「ハルカさん、私に一つ案があります」
磯島ハルカ「え?何?」
HARUKA「すみません、小声で話してもらっていいですか?」
磯島ハルカ「あ、ごめん・・・」
HARUKA「じつは私の首の後ろにはメモリーを消去するためのリセットボタンがあるんです」
HARUKA「今それを押せば、もしかすると彼女を・・・」
磯島ハルカ「待って! そんな事をして、あなたは本当にいいの?」
HARUKA「私は所詮作られた存在。 こうなる事も覚悟の上でこれまで過ごしてきました。 それに・・・」
HARUKA「私は、今まであなたに成り代わって人気を横取りしていた事の罪滅ぼしがしたいんです」
磯島ハルカ「HARUKA・・・」
未来HARUKA「おいそこ! 何をコソコソ話してるの!? この女の命がどうなってもいいわけ!?」
HARUKA「時間がありません! ハルカ!早く私のリセットボタンを!」
磯島ハルカ「・・・わかった」
磯島ハルカ「HARUKA・・・ 今まで私の代わりに頑張ってくれて、ありがとう」
HARUKA「・・・・・・ハルカさん」
磯島ハルカ「またいつか、会いましょう」
HARUKA「・・・はい!」
HARUKA「・・・・・・・・・」
磯島ハルカ「HARUKA・・・これで、いいんだよね」
未来HARUKA「そんな・・・嫌っ・・・私が・・・私の存在がッ・・・!」
谷原メイサ「・・・消えた? これは一体・・・」
磯島ハルカ「私が・・・今のHARUKAのリセットボタンを押したんです。 それで歴史が変わって・・・」
マリア「よくやったわね!ハルカ! それにしても、よくそんな事思いついたわね?」
磯島ハルカ「HARUKAが・・・彼女が自分の意思でリセットしてほしいと言ったんです」
谷原メイサ「HARUKAが・・・?」
HARUKA「・・・」
谷原メイサ「・・・そうか、彼女は最後まで人思いのいい子だったな」
  こうして、未来は書き換えられ、HARUKAが人類を支配する世界は消滅した──
  しかし、致命傷を負っていた横山社長はその後息をひきとり、プロダクションは倒産──
  それに合わせて磯島ハルカも芸能界から引退する事となった──
  それから数年の時が経ち──

〇研究所の中枢
谷原メイサ「HARUKAのチューニング、終わったよ」
磯島ハルカ「ありがとうございます、谷原博士」
谷原メイサ「あとはこの時空転移装置を取り付けるだけだが・・・」
谷原メイサ「マリア、本当にいいんだね?」
マリア「はい、私はもう元いた世界には未練はありません」
マリア「この時代が、大好きなので・・・」
谷原メイサ「わかった。 じゃあ、取り付けるよ」
谷原メイサ「よしできた。 ハルカ、あとはあなたの手で電源をつけなさい」
磯島ハルカ「・・・はい!」
磯島ハルカ「・・・HARUKA、目を覚まして」
HARUKA「・・・おはようございます、マスター」
磯島ハルカ「・・・やっぱりちょっと、なんか変な感じ・・・」
マリア「仕方ないわよ、前のメモリーは全部消去されて初期化されてるんだもの」
磯島ハルカ「まぁ、そうですよね・・・」
谷原メイサ「さぁ、彼女に仕事を与えてあげて」
磯島ハルカ「あ、はい! わかりました!」
磯島ハルカ「HARUKA、あなたにはこの時代に行ってもらうわ。 座標は20◯◯年、◯月◯日・・・」
磯島ハルカ「そこで昔の私が足を滑らせて転んじゃうから、あなたはそのおっちょこちょいの私が転ばないよう受け止めに行ってきて」
HARUKA「了解しました」
磯島ハルカ「さよなら、HARUKA・・・」

〇白いアパート
磯島ハルカ「うわー、雨降ってるじゃん! 傘持ってかないと・・・」
磯島ハルカ「うわっ!」
磯島ハルカ「あ、危なかった・・・」
HARUKA「雨の日は地面が滑りやすくなっています。 気をつけてくださいね・・・」
HARUKA「ハルカさん」
磯島ハルカ「え・・・私・・・?」
磯島ハルカ「なんだったの・・・あれ・・・?」
  これで磯島ハルカが昏睡状態に陥る世界は消え、HARUKAは消滅した──
  そして、ここからまた新たな時代が始まるのであった

コメント

  • ハラハラしたシーンからの、平和的で優しいラストですね。途中の驚きの展開の連続からの、SF物語としてのキレイな着地にニッコリしました!見応えのある作品をありがとうございました。

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