タイムトラベルにまつわるエトセトラ

タトネ

Ep7:其の世界(脚本)

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〇海辺
仏斗「タイムトラベル、してみたいよな」
健介「また、いつものヤツが始まったか」
仏斗「タイムトラベルって時間旅行じゃん?」
仏斗「だから、行くなら過去か未来かだと思ってたんだけどさ──」
仏斗「──今この瞬間を旅するっていうのも面白そうじゃないか?」
健介「ごめん、言ってる意味がよくわからないんだが」
仏斗「人は時間の流れに従って、常に未来に進んでいるだろう?」
仏斗「だからこそ、その流れに逆らって──」
仏斗「今この一瞬を旅できたら面白そうじゃないか?」
健介「つまり、時を止める・・・ってことか?」
仏斗「そう! あんなことやこんなこともやり放題!」
健介「今度はAVにでも影響されたのか?」
仏斗「・・・まあ、あんなことやこんなことをするかは置いておいてだな」
仏斗「止まった世界へのタイムトラベル、 面白そうじゃないか?」
健介「”刻々”とか”アクセルワールド”の世界に近い感じかな」
仏斗「前々から思ってたけど、 お前結構アニメオタクだよね」
健介「まあ、今更だよね・・・」
仏斗「JOJOを例えに出してこないあたりが特に」
健介「うるさいな!余計な分析だよ!」
仏斗「というわけで、新たなタイムトラベルの形として、時間停止を提案してみる」
健介「でもそれって普通のタイムトラベルよりも難しそうじゃないか?」
仏斗「どうしてだ? 少なくともパラドックスはおきなさそうだが」
健介「タイムトラベルなら自分だけが時間のしがらみから抜ければいいけど──」
健介「時間停止だと、自分以外全員を時間の流れから外すわけだろ?」
仏斗「確かに!」
仏斗「これはタイムマシンを作るより遥かに難しそうだな・・・・・・」
健介「たとえば、一秒毎に一秒前にタイムトラベルし続けるとかどうだろう」
健介「タイムマシンが超小型化出来るなら行けそうな気がするけど」
仏斗「確かにそれならちょっと現実的な気がするな・・・」
仏斗「だいぶお前もタイムトラベルに詳しくなってきたな!」
健介「おかげさまでね」
仏斗「いや、待てよ。一秒前には"一秒前の俺"がそこに居るわけだろ?」
仏斗「常に移動し続けないと、"一秒前の俺"とぶつかっちまうんじゃないか?」
健介「その可能性は考慮してなかった」
仏斗「過去の自分に会うとその時点でタイムパラドックスが生まれてしまうしな・・・・・・」
仏斗「やはり世界の時を止めるしかないのか・・・・・・!」
健介「まるで止めようと思えば止められるみたいな言い方だな・・・」
仏斗「ああ、止められるぞ」
健介「・・・へっ!?」
健介「で、できるのか?」
仏斗「おう、今やってみようか?」
健介「やってみてくれ!」
仏斗「・・・・・・」
健介「・・・・・・」
健介「・・・・・・」
仏斗「・・・もう終わったぞ?」
健介「えっ?いつ?」
仏斗「まぁ止められた側は、時が止まったことに気付けないからな・・・」
健介「うーん・・・ なにか証拠とか残せないのか?」
仏斗「無理だな」
健介「即答かよ どうしてだ?」
仏斗「俺も動けないから」
健介「・・・・・・」

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