踏み外した先は悪の道(脚本)
〇華やかな裏庭
彼と会ったあの日から三日後
個人の特定が難航している私は
アリスちゃんと昼食を食べながら
すっかり項垂れていた
アリス「・・・なるほど」
アリス「一目惚れした人が どこの誰だか分からない」
アリス「だから一緒に探してほしい、ってこと?」
桜花「うん、お願いします」
アリス「・・・本音を言うと、めっちゃ嫌だわ」
アリス「桜花の母親に目をつけられたくないし」
アリス「嫌な予感がするから」
桜花「お母さんにはバレないようにするから」
桜花「アリスちゃん、お願い!!」
アリス「でもなぁ・・・」
桜花「アリスちゃんなら」
桜花「他の学校にも友達がいるし」
桜花「私より見つけ出せる可能性が高いでしょ」
アリス「そうは言っても・・・」
アリス「通ってる学校とか分かってるの?」
桜花「それは分かってるよ」
桜花「近隣の制服を調べて学校を特定したから」
アリス「そ、そうなんだ・・・」
桜花「学校のホームページも読み漁って」
桜花「小さくだけど 写ってる画像も手に入れたよ」
アリス「うーん、そこまでいったか・・・」
桜花「ほら、ここに写ってる人が」
桜花「私の探してる人だよ」
アリス「・・・ん?」
アリス「えっ、この人を探してるの?」
桜花「うん、この人」
桜花「もしかしてアリスちゃんの知り合い?」
アリス「うん、まぁ・・・」
アリス「知ってる人ではあるけど」
桜花「それなら紹介してくれるよね?」
アリス「いや、でも彼女が居るし・・・」
桜花「・・・えっ」
アリス「あー、いや、でもなぁ・・・」
アリス「うーん、これもいい機会かな」
アリス「よし、わかった」
アリス「ちゃんと紹介してあげるよ」
桜花「・・・・・・」
桜花「いや、この数秒で何があったの!?」
桜花「さすがの私も彼女が居る人を」
桜花「横から奪うつもりはないよ!?」
アリス「あー、ごめん、言い方が悪かったね」
アリス「相応しい言葉に言い直すと」
アリス「どうせ恋愛事においての信頼度が低いし」
アリス「キミなら彼女持ちの男を奪っても」
アリス「やっぱり悪役令嬢か、って 言われるだけだから」
アリス「気にせずアタックしても 別にいいんじゃないかな?」
桜花「いや、もっと言い方が悪くなってない!?」
桜花「私は悪役令嬢になりたくないって」
桜花「前から言ってるはずだよ!?」
アリス「でも、気になってるんでしょ?」
アリス「通ってる学校を特定するくらいには」
桜花「それは、そうだけど・・・」
アリス「桜花には悪いけど」
アリス「悪役令嬢が必要な時ってあると思うの」
桜花「悪役令嬢が、必要・・・?」
アリス「だからアイツが欲しいならば」
アリス「悪役令嬢になりきった方がいいよ」
桜花「で、でも・・・」
桜花「彼女さんに悪いよ」
アリス「・・・ちゃんと愛し合ってるなら」
アリス「私だってこんな提案しないよ」
桜花「えっ?」
アリス「たしかに恋人同士ではあるけど」
アリス「彼女は他の男に気持ちが向いてて」
アリス「その男とばかりイチャイチャして」
アリス「面倒事だけ押し付けてくるんだってさ」
アリス「それなら別れろと思うんだけど」
アリス「二人とも好きだから別れるとか考えてない」
アリス「とかなんとか言ってるらしいの」
アリス「だからいっそ 横から奪われた方が早いかなって」
桜花「・・・・・・」
桜花「・・・そうなんだぁ」
桜花「彼女さんに浮気されているってことだよね」
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