忘れられないクリスマス(脚本)
〇本棚のある部屋
春樹「今日は24日! クリスマスイブ!」
冬樹「そして明日はクリスマス!」
春樹「良い子な僕たちにサンタさんがプレゼントを持ってきてくれる!」
双子の春樹と冬樹は、ベットの上で興奮した様子で話している
春樹「今年は何くれるかな?」
冬樹「去年は、サッカーボールだったよな?」
春樹「うー――ん、気になるなぁ」
冬樹「楽しみで寝れないや」
春樹「分かる~」
布団に入っても楽しみで眠気が一向にこずずっと話している二人
その時、閉めていたはずの窓がガラッと開く
おじさん「12時になったのに寝てない悪い子だーれだ!」
春樹「ぎゃああああああああああ!!」
冬樹「赤い服着たおっさんが窓から入って来たああ!」
おじさん「ちょ、ちょっと声小さくして?!」
突然の侵入者に二人は起き上がり叫び声をあげる
おじさんは二人の声に慌てて口元に指をあてて、静かにするように言う
春樹「おじさん・・・・・・不法侵入って言葉知ってる?」
おじさん「知っているし、不審がるのも分かるから手に持っているスマホを置こう?」
春樹「スマホと離れたら死ぬから無理」
冬樹「スマホが命」
おじさん「んなわけないだろ」
通報するために持っていたスマホも取られて二人はどうしようと困る
そんな二人の様子におじさんは怖がらせないように笑みを浮かべて話始める
おじさん「怪しくないから落ち着いてちょっと話しない?」
春樹「窓から入って来た赤い服のおじさんを怪しくないって言う?」
冬樹「小学生からやり直して来たら?」
おじさん「言葉酷すぎん???」
春樹「まぁ、僕たちも鬼じゃないから話聞いてあげる」
冬樹「感謝しなよ」
おじさん「何こいつら生意気すぎる」
春樹「そんなこと言うなら話聞いてあげない」
おじさん「大変すみませんでした」
ベットに並んで座る春樹と冬樹
その足元に正座して座るとおじさんは話し出す
おじさん「まず、俺はサンタだ」
春樹「冬樹、こいつやっぱりやばい奴だよ通報しよ」
おじさん「最後まで聞いてくれ?!」
冬樹「春樹、可哀そうだから最後まで聞いてから通報しよ」
春樹「仕方ないなぁ」
おじさん「通報するの確定なの?」
春樹「ほら、早く続き」
おじさん「あ、はい。サンタって言っても本物のサンタじゃないけどな」
おじさん「元々ブラックで社畜として働いていたんだが」
おじさん「公園でサンタに捕まって『ユー!わしの代わりにサンタやってよ!』って半強制的にやらされてんだよ」
二人はおじさんの話を聞いて何言ってんだと思ったが、顔をよく見ると目元には濃い隈があり、頬は少しこけている。
春樹「・・・・・・はぁ、仕方ないから信じてあげる」
冬樹「春樹がそういうなら僕も信じてあげる」
おじさん「本当か?! よかったぁ」
春樹「サンタさんならプレゼント持ってるでしょ?」
冬樹「僕たちへのプレゼントちょーだい!」
そう言うとおじさんは少し考えこむと二人の肩を掴む
おじさん「・・・・・・なぁ二人とも」
春樹「なに、てか手離して」
おじさん「俺と一緒にサンタしようぜ!!」
冬樹「疲れすぎて可笑しくなった??」
おじさん「いやー、一人で配るの大変だから手伝ってくれる人が欲しかったんだよ」
春樹「ねぇ、拒否権は?」
冬樹「てか声聞こえてる? おじさん」
おじさん「俺のこと手伝ってくれたらプレゼント渡してやっから!」
「仕方ないなぁ!!」
二人はそう言うとベットから立ち上がりサンタになる為の準備を始める。
二人にとって今日の出来事は忘れられない思い出となるだろう。
サンタというものの偉大さとブラック企業並みの忙しさを・・・
双子の掛け合いがすごく楽しかったです。
それにしても生意気ですね。笑
サンタさんもいろいろ事情があって大変なんだなぁと思いました。
生意気な子供ですね。しかも、スマホ依存症とは笑った。それにしても、サンタさんの代わりのサンタさんはブラック企業の社員で忙しいのに、更にクリスマスもバイトです。可哀想です。
生意気な双子兄弟のテンポのいい会話ラッシュが面白いですね。サンタクロースは客観的に見れば、確かに不法侵入の赤い服の不審者ですよね、夢要素を全て剥ぎ取れば。