16話 あの子はからあげじゃない(脚本)
〇王宮の入口
エレエレ・テンテンポム「・・・・・・」
◇◇◇「どうだ? 王さまは大丈夫そうだったか?」
◇◇◇「王さまもゲルホウスさまもキツそうだった。王さまが自ら捜索に出たらしいんだが、見てないか?」
◇◇◇「ゲルホウスさまと一緒ではないのか?」
◇◇◇「ああ、ゲルホウスさまは王さまの代わりに指示を出されている。王さまはここへ来たか?」
◇◇◇「いや、姿すら見ていない」
◇◇◇「そうか、私は他の場所を探してくる。王さまを見たらすぐにゲルホウスさまに知らせてくれ」
◇◇◇「わかった」
エレエレ・テンテンポム「あの、王さまが自らルゥラッハさまを探しているのですか?」
◇◇◇「そのようです」
エレエレ・テンテンポム「・・・・・・」
エレエレ・テンテンポム「あの方はいったいどこで何をしているのやら・・・」
〇黒
〇王宮の入口
エレエレ・テンテンポム「・・・・・・」
ティキン「コケエエエエエエエ──ッ!! コケッコケッ・・・コケッ・・・!!」
エレエレ・テンテンポム「なぜこの鳥は私の後ろに隠れているんです?」
◇◇◇「さ、さあ・・・ ですが、この子は王さまのペットであるティキンさまですね。怯えているようですが・・・」
◇◇◇「この子がここにいるなら、王さまもこの辺りにいるかもしれません。近くにいる兵士に知らせてきます」
エレエレ・テンテンポム「はい。いってらっしゃい」
ティキン「コケぇぇ・・・コケぇぇ・・・」
エレエレ・テンテンポム「どうしたんです?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「待てって言ってるだろおおお! 俺のからあげえええええ!」
エレエレ・テンテンポム「る、ルゥラッハさま!?」
エレエレ・テンテンポム「今までどちらに──」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「からあげ!!」
エレエレ・テンテンポム「・・・・・・あ、あの」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「今度こそ捕まえた!! 今度こそ食べる!!」
エレエレ・テンテンポム「る、ルゥラッハさま・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「エレエレ?」
エレエレ・テンテンポム「やっと辿り着いたんですね。今までどちらに?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「エレエレ、からあげを見つけたんだ。一緒に食べよう」
エレエレ・テンテンポム「からあげ?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「一緒に食べよう」
エレエレ・テンテンポム「・・・もしかして、いつものアレですか?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「エレエレ、お腹すいた。はやく食べよう」
エレエレ・テンテンポム「・・・・・・いつものアレですね」
エレエレ・テンテンポム「食事を取ってくれるのが久しぶりすぎて忘れていた・・・」
エレエレ・テンテンポム「からあげは用意させますから、あの子のことは諦めてください。あなたが頼んだ魔物の肉も客室に運んでもらいました」
エレエレ・テンテンポム「今から帝国式のレシピを渡して調理してもらうので、まずは客室に向かいましょう」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ありがとうエレエレ」
エレエレ・テンテンポム「そ、そろそろ離れてくれますか?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「なんで? 一緒に食べるんだよな?」
エレエレ・テンテンポム「うぐ・・・。た、食べますから、離れてください」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「わかった」
エレエレ・テンテンポム「では向かいましょう」
テツナ・テカ「ああ! いた!! すぐあっちこっちに行きやがって・・・!!」
エレエレ・テンテンポム「あなたは・・・?」
テツナ・テカ「・・・誰だお前? 見ない顔だな」
エレエレ・テンテンポム「私は帝国の特級騎士”ルゥラッハ・オル・レバノスタン”さまに使えているエレエレ・テンテンポムです」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「エレエレ、お腹すいた」
エレエレ・テンテンポム「・・・とりあえず主人にご飯を食べさせてもいいですか?」
テツナ・テカ「そ、そいつがレバノスタン?」
エレエレ・テンテンポム「お腹が空いてこうなってるだけですから。いつもは普通の方なので勘違いなさらないでください。行ってもいいですか?」
テツナ・テカ「あ〜・・・いいんじゃないか?」
エレエレ・テンテンポム「では失礼します ルゥラッハさま、行きましょう」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「行く!」
テツナ・テカ「・・・いやぁ、確かに”運命”だなぁオイ」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「おいテツナ・・・!! アイツはどこへ行った!! 誰であろうとどれほど愛おしくても、俺のティキンに手を出した奴は許さん!!」
テツナ・テカ「ご飯食べるって、召使いと中に入ってったぞ」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「ご飯・・・? 召使い・・・? 中・・・?」
ティキン「コケッ・・・! コケエエエエエエエ・・・っ!」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「無事だったかティキン」
王さま! ここにおられましたか。たった今、帝国の特級騎士が到着して、客室に案内したところです!!
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「随分と遅い到着だな・・・ 舐めているとしか思えん!!」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「すぐに向かう、案内しろ!!」
テツナ・テカ「面白そうだから俺も行っていい?」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「ダメだと言っても聞かんだろう。好きにしろ」
ティキン「こ、コケェェ・・・」