タワマン・オブ・ザ・デッド

のぞみのぞむ(公式)

第7話:ゾンビの中心で、愛を守る(脚本)

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〇洋館の一室
神門八千代「キャビアにフォアグラに冷凍マカロン ・・・さすがユウキね!」
神門友貴「いえ、先生と小判鮫氏のおかげです」
神門八千代「ミチ、これで食事には困らないわよ!」
鐘星愛「・・・もしかしてこっそり出てきた?」
神門ミチ「トイレに行くって抜け出した」
鐘星愛「やるじゃない」
神門ミチ「・・・俺に興味がないだけ」
神門友貴「それでは分配しましょう」
神門貴「待て。分配とはどういうことだ」
神門友貴「ここにいる人数で取り分けるんです」
神門貴「日本はいつから共産主義になったんだ」
神門貴「商品を仕入れたお前が値段をつけろ。 言い値で買ってやる」
神門友貴「こんなときにまでお金ですか」
神門貴「金ほど公平なものはない」
神門貴「気に入らないなら この部屋の利用料を取るぞ」
神門友貴「それでは・・・3億でどうですか」
神門貴「ずいぶんと高く出たものだな」
神門友貴「みんなで分けるならタダですが あえて値段をつけるとこうなります」
神門八千代「貴方、ユウキの事業支援と思って」
神門貴「いいだろう。振りこんでおいてやる」
神門八千代「商談成立して何よりね! これで何も気にせずに食べられるわね!」

〇洋館の一室
神門友貴「うん、美味しい」
鐘星愛「先輩はミチくんたちと一緒に、ちゃんと したものを食べたほうがいいですよ」
  高級食材は神門家の3名と悪地元首相に
  それ以外の者には昆虫食が支給されていた
鐘星愛「先輩、よく平気で食べられますね」
神門友貴「アフリカではガの幼虫やアブを食べたし ミミズもなかなかイケるんだよ」
鐘星愛「・・・私も行けばよかったです、アフリカ」
神門友貴「それなら、今からでも遅くない──」
秘書「君、そのお茶をくれないか」
秘書「先生はペットボトルのお茶は それしか飲めなくて」
鐘星愛「このお茶は先輩から・・・」
神門貴「3億にはそのお茶の値段も入っている」
鐘星愛「・・・わかりました。どうぞ」
秘書「先生、どうぞこちらを」
悪地院平「今はまだ喉が渇いていない。 あとで美味しく頂戴するとしよう」
悪地院平「それより神門さん、彼を見てください」
神門貴「小判鮫、怪我をしたのか?」
小判鮫「ええと・・・これは・・・」
神門貴「ふざけるな! 今すぐ出ていけ!」
悪地院平「彼は危険だ。お前たち、手伝いなさい」
秘書「かしこまりました」
小判鮫「止めろ・・・俺はゾンビじゃない・・・ これは・・・殺人だぞ・・・!」
神門貴「これは正当防衛だ。早く出ていけ」
秘書「暴れるな」
神門友貴「やめろ! 彼はまだ人間だ!」
秘書「ぐっ・・・何をする!」
秘書「邪魔をするな!」
神門友貴「っ・・・!」
  先輩が抑えこまれた、そのときだった
秘書「ぐっ!」
秘書「がっ!」
  気がつけば、私は秘書らを蹴散らしていた
鐘星愛「ユウキ先輩に手を出さないでください!」
神門八千代「今、なんて? 愛さんとユウキは知り合いなの?」
鐘星愛「・・・未練もないので正直に告白します」
鐘星愛「私はお金がなくて大学を中退した水商売の女で、良家のお嬢さまじゃありません」
鐘星愛「神門家に近づくのが目的で 小判鮫氏を通じて家庭教師になりました」
鐘星愛「嫌なことがあっても我慢して みなさんに気に入られるのが目的でした」
鐘星愛「だけど・・・我慢の限界です!」
鐘星愛「お金があるからって 何でも許されるんですか?」
鐘星愛「人は平等じゃないんですか?」
神門ミチ「先生・・・」
鐘星愛「・・・ごめんね、ミチくん」
神門八千代「何てこと! ダマされてたのね!」
神門貴「そんなことより小判鮫を外に出せ!」
神門友貴「彼はまだ人間、今は仲間です」
鐘星愛「生きている限り、ベストを尽くします」
悪地院平「何をしている! 早く追い出せ!」
秘書「抵抗者が二人となると・・・ 女は妙な格闘技をやっているようですし」
悪地院平「手段を選ぶな! 殺してもかまわん!」
秘書「・・・かしこまりました」
神門友貴「危ない!」
鐘星愛(え・・・?)
秘書「恨むなよ!」
神門友貴「っ・・・!」
鐘星愛「先輩!」
  倒れた先輩のお腹は、赤く染まっていた
神門八千代「きゃあああああああああっ!」
小判鮫ゾンビ「シァアアァァアアァァッ!」
神門八千代「あなた助けて! 汚いわ!」
神門貴「くそっ!」
神門八千代「・・・あなた! どこに行くの!」
小判鮫ゾンビ「シァアアァァアアァァッ!」
神門八千代「こ、こんな庶民に私ぎゃぁあああっ!」
悪地院平「避難するぞ! トランクを!」
秘書「かしこまりまし──」
小判鮫ゾンビ「ギギシャァァガアアッ!」
秘書「は、放せ――グボッ!」
秘書「な、なんて力――ガボッ!」
悪地院平「ひ~! 一撃で頭が豆腐みたいに~!」
  大混乱の中、私は先輩を抱きかかえていた
鐘星愛「先輩、しっかり!」
神門友貴「・・・・・・」
神門ミチ「すごい血だ・・・くそっ!」
神門友貴「・・・俺はいい・・・二人で逃げろ・・・」
鐘星愛「そんなの嫌です!」
  私は先輩を強引に立たせると、ミチくんと
  2人で背負うようにして部屋を出た

〇おしゃれな玄関
鐘星愛「あと少し・・・廊下に出れば・・・!」
小判鮫ゾンビ「シァアアァァアアァァッ!」
神門ミチ「・・・くそっ、気づかれた!」
鐘星愛「急いで! 先輩、しっかり!」
神門友貴「・・・大丈夫・・・俺は・・・」
神門友貴「・・・ここに残る!」
神門ミチ「え?」
鐘星愛「先輩!」
  先輩は私たちを廊下に突き飛ばすと
  ドアを閉めて鍵をかけた

〇マンションの共用廊下
鐘星愛「先輩、お願い! 開けて!」
神門友貴「ミチ・・・お前が愛を・・・ 彼女を守るんだ・・・いいな?」
神門ミチ「俺が先生を?」

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