断罪対象である妹を助けたら百合と薔薇が咲いたっぽい

隍沸喰(隍沸かゆ/おかゆ喰)

15話 お話ししましょう(脚本)

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〇城の客室
ハグスタリ・ベラ「お嬢さま、久しぶりの学校はどうでしたか?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「なんだか、前よりもつまらなかったわ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・キャラバスティンさまが、校門で知らない女とキスをしていたの」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「親しそうに抱き合っていたわ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私のことだけを愛していると言ってくれたのに・・・」
ハグスタリ・ベラ「アゥルペロさま・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さまの言う通り、ドブの中のドブ・・・そんな人だったみたい」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ベラ、お兄さまはいつ戻って来るの?」
ハグスタリ・ベラ「用事が済み次第すぐ帰ってこられると言っておりましたが・・・」
  お嬢さま、お客さまが来られています
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お客さま?」
  はい。シィゼルヴェン卿です
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「客室にお通してちょうだい」

〇豪華な部屋
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「どうぞお入りください」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「よぉ、レバノスタン侯爵令嬢。突然尋ねて悪い。聞きたいことがあって・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さまの居場所なら言えません お兄さまとの秘密の約束なんです」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「そうか。なら聞かねえよ」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「それよりさ、あいつが帰ってきたら、食べさせたいものがあるんだけど、協力してくれないか?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「食べさせたいもの?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「鶏肉料理。あいつ、鶏肉好きだろ?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・そうなんですか?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私、そんなことも知らないのね」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「仕方のないことだ」
ハグスタリ・ベラ「ルゥラッハさまは魔物のお肉が好きだとテンテンポムさまから聞いたことがあるのですが?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「好き・・・に、なるしかなかったんだ。普通の人なら、魔物の肉なんて食ったら腹を壊す」
ハグスタリ・ベラ「そのようですね。エキスだけでも拒否反応を起こし体調を崩してしまうと聞きました」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さまはよくそんなものを口にしているわね」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「毎日食べる人なんていない、死んでしまうからな」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・え?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「なぜお兄さまは平気なのです?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「食べ物がもらえなかったんだ。いや、正確にはもらえてたけど、”食べられるもの”ではなかったんだ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「食べられるものでは、ない?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・腐った肉とか、そもそも食べ物じゃないとか、人間には毒であるものだとか。お腹は空くから、出されたものは食べてた」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「生きるために進化したのか、あいつの胃腸は強い。だから、もっと酷いもんを食わせるようになった。それが魔物の肉だ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あ、あの一体誰がそんなことを? お父さまはそんなことしないでしょう?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「母親だよ。2番目の」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・え?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「あの女は毎日暴力を振るった、ルゥラッハの周りの使用人も、バカみたいにあの女の命令に従う奴らに交代させられてた」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・ルゥラッハはいつも泣いてた」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「初めてできた友だちだったんだ。だから、守ってやりたかった」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・でも、あの女は”俺”に気がついて、あいつを閉じ込めたんだ。暗闇の中でずっと、あいつを苦しめ続けた」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・お母さまは、そんな人では──!!」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「あいつは、お前が来るまで、”兄妹ができるんだ”って俺に毎日毎日飽きるくらい自慢してきた」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「あいつがお前に冷たくしていたのは・・・お前があの女にそっくりだったからだ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・っ、・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「信じられないなら、侯爵に確認してみればいい。侯爵は真実を知ったのは、あの女が亡くなった後みたいだったけどな」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「侯爵にとっては、アンタも、ルゥラッハも大事な子どもだ」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「ルゥラッハがアンタに冷たく当たる理由を知っていたから、止められなかった」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・でも、アンタはあの女とは違う。ルゥラッハも俺も、わかってるから。だから、その、泣くなよ?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・泣きません」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「泣いていいのは、お兄さまだけですから」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「お前だって泣いていいよ。ただ俺が困るから・・・。泣きたい時はルゥラッハの前で泣けばいい」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「あいつはパニックになるだろうけどな」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・お兄さまは鶏肉料理が、お好きなんですね?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「ああ。昔の習慣のせいか食事をすることはあんまりないが、たまぁに、美味しいものを口いっぱいに入れたくなる時があるんだ」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「だから、あいつの好きな鶏肉料理を食べさせてやるんだ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「そうなんですね」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「そう言う時は、おいしいものを腹いっぱい食べさせちゃいけない。気をつけろよ?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「え? どうしてです? この間も・・・平気そうに・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・最近、急にご飯をたくさん食べたなんてことないよな?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「つい最近朝食を一緒に食べました。その前の時にもスイーツを食べていました──」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「──ものすごい量の・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「──そ、それはまずい 普通の量を食べるならまだしも、大量に食べているのはまずい」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「言った通り、胃腸がくそ強いから、いくらでも食べられるんだ」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「もし連日おいしいものをお腹いっぱいに食べてるなら、食欲に歯止めが効かなくなってしまって・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・とんでもないことになる」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「とんでもないこと?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・簡単に言えば、食料不足になる。その地域全体の、な?」
「・・・・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・よ、よよ、よかったわ。別の場所に行ってくれていて」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「普段からそんなにおいしいものを食べてたんなら、鶏肉料理は用意しなくていいかもな」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「今度から量に気をつけるようにエレエレに言っておきます」
ハグスタリ・ベラ「テンテンポムさまは知らないのですか?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・知ってると思う。でも、地域全体を食糧不足にしてでも主を喜ばせたい奴だからさ」
ハグスタリ・ベラ「・・・なるほど」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・お兄さまの話をしていたら、お兄さまに会いたくなってきたわ。今晩はお電話してみようかしら」
ハグスタリ・ベラ「いい考えですね。準備をしておきます」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ありがとう」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・ワヌゥレン卿も、ありがとう。お兄さまのことを教えてくれて」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・俺はあいつに笑顔でいてほしい。そのためにはアンタにも笑顔でいてもらう必要があるんだ」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「だから、アンタのことも守ってやる」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・ありがとうございます」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「俺は帰るから。長居して悪かったな。ルゥラッハに何かあったら、俺に連絡してくれ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「はい。お気をつけて」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さま、帰ってきたら、またいっぱいお話させてください」

次のエピソード:16話 あの子はからあげじゃない

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