〇古いアパート
101号室さん「あ"あ"～いい湯だったなぁ」
102号室さん「おっさん？え、101号室さんって 見た目若いのに、中身おっさんなのか？」
103号室さん「立派な大人でしょ、３人分のコーヒー牛乳 買ってくれたし」
103号室さん「ありがと」
101号室さん「だから子供扱いしないでくださいってば」
201号室さん「あらぁ？」
201号室さん「お三方、ご一緒なんですね」
102号室さん「あ！201号室さ～ん♪」
102号室さん（可愛いな～癒しの塊だわホント）
101号室さん「201号室さん、もしかして僕たちに 何かご用ですか？」
201号室さん「はい、実はとっても大変なことが 起きてしまったので」
201号室さん「住人全員を集めたかったんです」
201号室さん「会えてよかったです～」
102号室さん「はい！もういつでも呼んでください！」
201号室さん「うわあ～頼もしい」

〇古いアパートの一室
102号室さん「って、」
102号室さん「なーーんで俺の部屋に集まるんだよ！」
203号室さん「102号室さんの部屋だけ、 片付いていたので」
203号室さん「うちの部屋は、ぬいぐるみだらけで 地に足も付けられないほどなので」
102号室さん「あー...」
102号室さん「そりゃ無理そうだな」
202号室さん「ちょっとあんたたち！」
202号室さん「まさかしらばっくれてんじゃないの？」
202号室さん「大家さんの部屋に保管してた あたしらの家賃、足りなくなってんのに」
103号室さん「それって大家さんが 言ってたことなんですか？」
202号室さん「そうよ？」
202号室さん「今朝すれ違ったときに──」

〇古いアパート
202号室さん「あら大家さん、おはよ♪」
大家さん「ああ、おはよう...」
大家さん「はあ...」
202号室さん「いやあぁ～〜〜んダメよぉぉお～〜〜」
202号室さん「ため息なんて、気持ちずっしりと 沈んじゃうわよ」
大家さん「そりゃ落ち込みますよ」
大家さん「住人の皆さんから徴収した家賃を 一部失くしてしまったようで...」
202号室さん「なんですってえ！ ！ ！ ！ ！ ！」
202号室さん「どこで失くしたんです？ ？」
大家さん「わからん...」
202号室さん「ひい～～ぇええ～～～」

〇古いアパートの一室
202号室さん「ってわけよ！」
101号室さん「一大事じゃないですかー！」
103号室さん「・・・」
203号室さん「ともかく、いま皆さんの所持金は？」
　　６人の総額は、１か月分の家賃の
　　半分しか持っていなかった
201号室さん「足りないですね...」
202号室さん「どうすんのよ～～」
103号室さん「『Hey siri,Do you have a part-time job available today？』」
　　こちらになります
102号室さん「うわ、出たよ、なぜイングリッシュ...」
202号室さん「しかもイ・ケ・ボ♪」
103号室さん「急募がある」
103号室さん「みんな、今日一日だけは」
103号室さん「掛け持ちになろう」
203号室さん「はあ・・・仕方ないですね」
202号室さん「みんな、」
202号室さん「ビシバシがっぽり稼いだれえぇえい！」
103号室さん「あ、203号室さん、ちょっといい？」
203号室さん「はい？」

〇古いアパート
　　その日、住人たちは急募のパートを
　　見つけては働きを繰り返し
　　一人ずつ獲得した金額は、目標金額を
　　上回るほどの金額だった
101号室さん「やったよ！僕たち頑張った！」
201号室さん「よく頑張りましたぁ」
202号室さん「これで失くした分を取り戻せたってわけね」
103号室さん「皆さん、お仕事お疲れさま」
103号室さん「寝耳に水だけど、家賃、」
103号室さん「きっちりあるよ」
「どういうこと？ ？ ？」
203号室さん「そろばん10段のわたしが 計算したから間違いない」
203号室さん「家賃はきちんと残ってた」
203号室さん「失くしてなんかない」
203号室さん「大家さんがただ、"数え間違えた"だけ ってこと」
202号室さん「ええええーーー！」
202号室さん「んもぉ〜なによ〜大家さんったら」
103号室さん「はじめからそうだと思ったよ」
103号室さん「誰も滞納するほど困ってないのに 足りないなんて日、珍しいし」
102号室さん「そうならそうと、言ってくれよ〜 103号室さ〜ん」
101号室さん「せっかく稼いだのに・・・」
102号室さん「あ！」
102号室さん「じゃあじゃあ、パァーっと焼肉 食いに行かね？」
101号室さん「いいですね！お腹ぺこぺこです！」
103号室さん「久々の肉か」
202号室さん「嬉しい誘いだけど、ごめんなさい」
202号室さん「あたし絶賛、ダイエット中なのよ〜」
201号室さん「わたしも・・・ できれば貯金したいので」
201号室さん「またの機会に、お願いしますね♪」
203号室さん「・・・・・・」
203号室さん「わたしは、魚派なので遠慮します」
102号室さん「そか・・・」
103号室さん「気が楽だ、ふう〜」
101号室さん「じゃあ僕たちだけで行きましょうか！」
102号室さん「おう！」

〇黒
　　それから数分後、大家さんが住人全員に
　　謝罪の意を込めて
　　サーロインステーキを粗品にくれた
「いらんわあぁぁあああ！ ！ !! ！ ！」