13話 からあげを発見(脚本)
〇教会
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「うわぁ〜この建物は何だろう」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ってまた寄り道してしまった・・・アレがないから寄り道するんだ、アレがあればひとっ飛びなのに」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「王宮への道がまたわからなくなった」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(人は・・・お、あの人に聞こう)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「すみません、ここから王宮にはどう行けばいいですか?」
テツナ・テカ「・・・・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「すみません?」
テツナ・テカ「・・・・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「寝てる・・・?」
テツナ・テカ「・・・・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「なんか俺も眠くなってきたな・・・ぽかぽかしたこの天気のせいだ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「俺も寝よう」
テツナ・テカ「おいおいやめてくれ。なんで男と並んで寝ないといけないんだよ」
テツナ・テカ「え・・・マジ? 寝た? この一瞬で?」
テツナ・テカ「な、何だこいつ・・・」
テツナ・テカ「ん? この鳥、確かアイツのペットの・・・ 何でここにいるんだ? お前までここで寝る気かぁ?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「これはチキンの匂い・・・!! テリヤキチキン食べたい!!」
テツナ・テカ「うおあ!? な、なんだお前!? 起きたならどっか行け──」
「肉になって揚げられろ!! 俺の血肉になれ”からあげ”ええええええ!!」
「コケえええええ!」
テツナ・テカ「ちょ、おま、そいつはダメだあああああ──」
〇神殿の広間
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「ええい!! レバノスタンの特級騎士はどうした!! まだ来ないのか!?」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「ゲルホオオオオォォスッ!!」
ゲルホウス・クウザン「は、はいぃ!!」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「貴様、本当に連れてきたのであろうな!?」
ゲルホウス・クウザン「は、はい。その部下も既に到着していますし・・・!」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「守るべき国で敵を見失うなど恥を知れッ!!」
ゲルホウス・クウザン「申し訳ございません!! あの者がちょこまか動き回って──すみません!!」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「その”部下”とやらはどこだ!!」
ゲルホウス・クウザン「門の前で待っているようです・・・!」
◇◇◇「王さま! たった今特級騎士から荷物が送られてきました!! 確認したところ、な、中身が──」
◇◇◇「魔物の肉でした・・・!! それもドラゴンの餌になる大型魔物肉のフィレです!!」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「魔物の肉だと!?」
ゲルホウス・クウザン「王さまは魔物肉の匂いすらお嫌いなのに・・・まさか嫌がらせでしょうか?」
◇◇◇「そ、それが、特級騎士の部下が、主人のものだから客室へ運んで欲しいと言い張るのです!!」
ゲルホウス・クウザン「客室に運んだら、絶対にここまで香る──!! やはり嫌がらせで間違いないようです!!」
ゲルホウス・クウザン「今すぐ処分しろ・・・!!」
◇◇◇「し、しかし処分しようとしたら、特級騎士の部下が、肉に何かあれば特級騎士が怒りかねないと・・・!」
ゲルホウス・クウザン「まさか・・・”怒った”と言う理由で攻撃を正当化させようとしているのか・・・!?」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「もう待てん!! 俺が直接出向く!!」
ゲルホウス・クウザン「なっ!? だ、ダメです──王の不在を狙っているのかも!!」
◇◇◇「大変です、魔物の肉の匂いがしてきました──!!」
ゲルホウス・クウザン「使用人たちに、城の空気をまるまる入れ替えるつもりで換気をしろと伝えろ・・・!!」
ゲルホウス・クウザン「あ・・・王さまお待ちください!!」
〇王宮の入口
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「うう・・・ここまで匂う」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「はやくレバノスタンの特級騎士を捕らえなければ──」
テツナ・テカ「あ、おいビャラム!! お前の鳥が危険だぞ!!」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「急に来てお前は何を言ってるんだ!? 今はそれどころではない」
テツナ・テカ「あッ!! やっと見つけた・・・! 待ちやがれッ足の速い野郎だな・・・!!」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「あいつは何のために来たんだ・・・?」
「待うわああああああああとうええええええええ!!」
「俺のおおおおおおっ!!」
「かあ!!」
「らあ!!」
「ああ!!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「げえええええ!!」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「・・・つっ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「からあげゲットおおおおおお!!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ってあれ・・・? チキンの匂いじゃない?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ん・・・?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ど、どなた・・・?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「うわっ!?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「え、何?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(何で抱きしめられてるんだ? もしかしてこの人もからあげを探していて俺をからあげだと思ってるのか?)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「あ、あのー・・・」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「お前にもわかるか? この出会いは運命だ・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「うん・・・めい?」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「ん〜・・・♡」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「え、あの・・・ちょ!?」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「何をする!!」
テツナ・テカ「お前こそ何してんだよ」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「見てわかるだろう、運命の相手を見つけた」
テツナ・テカ「わかるか!!」
テツナ・テカ「お、オイ!! こいつは俺が先に見つけたんだぞ!!」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「邪魔をするなテツナ!!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「俺のからあげ!!」
テツナ・テカ「お、おい!! 待てってば!!」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「・・・全部が愛しく思える やはり運命だ」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「って、それは俺のティキンだ!!」