12話 王さまへの手土産(脚本)
〇美しい草原
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「のどかだな〜」
ゲルホウス・クウザン「あの、後もう少しで着きます」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「この馬・・・魔法が使えるのか? 不思議だな」
ゲルホウス・クウザン「正確には馬につけられた魔道具で、身体強化の魔法を使っているんです」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「人間より馬に使った方が速いのか?」
ゲルホウス・クウザン「魔力の質によっては、人に身体強化の魔法を掛けた方が速い場合もあります」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「王さまってどんな人? かっこいい?」
ゲルホウス・クウザン「か、かっこいい・・・のかな? 威厳はあります、はい。かっこいいんでしょうけど、短気なのでみんな怖がってます」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「急に訪問されたら怒るよな? 手土産くらい持ってくればよかったかな?」
ゲルホウス・クウザン「必要ありません レバノスタン家の特級騎士が訪問すると伝えてありますから」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「でも町は歩いてみたいよな」
ゲルホウス・クウザン「危機感はないのですか? 単身で敵国に乗り込んできたのに」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「エレエレがいるし それに乗り込んでないからな」
ゲルホウス・クウザン「ああ、やりづらい・・・」
〇中東の街
〇中東の街
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ここがテルヌンドか、いいところだな!」
ゲルホウス・クウザン「あの、本当に町に寄るんですか? 王さまが待ってるんですが?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「エレエレ、これでアゥルペロへのお土産買ってきてくれるか?」
エレエレ・テンテンポム「すぐ戻ります」
〇黒
「おっ! あれはなんだゲルホウス!」
「走らないでください!」
「なんだあれ面白いな! 見てくる!」
「え、ちょっと!? 待って──」
〇西洋の市場
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「うお〜おっしゃれ〜 帝国とは違う雰囲気だよな」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・ってあれ? ゲルホウスは?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「え、エレエレ? どこ? ゲルホウス〜?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(・・・敵国で迷子になってしまった)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「うう・・・とりあえず王宮に向かうか。って、王宮はどっちに行けばいいんだ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(ん〜・・・人に聞きながら進むしかないか)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「お、このお肉美味しそう。王さまお肉好きかな? 買っていこう」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「すみませ〜ん、このお肉くださ〜い」
◆◆◆「いらっしゃいませ お持ち帰りまでの時間はどれくらいですか?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ここから王宮までだとどれくらい掛かる?」
◆◆◆「お届けした分では足りませんでしたか?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ん? 王さまへの贈り物にしたいんだけど?」
◆◆◆「王さまへのですか!? 王さまは苦手だと聞いたことがあるのですが・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「肉に苦手とかあるのか?」
◆◆◆「苦手と言うか、人が食べることの方が珍しいですよ!?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「そうかな? 普通の肉より”魔物の肉”の方がいいだろ? 力がついていいし・・・?」
◆◆◆「力がつくですって!? そ、そりゃ、体が耐えられる人ならお腹を壊す程度ですけど──」
◆◆◆「──耐性がない人なら最悪の場合死にいたります!!」
◆◆◆「王さまは小さい頃に少量だけ口にされたことがあって、その時は3週間はうなされ続けたんです・・・!」
◆◆◆「その頃から苦手なんですよ・・・!? 普通のお肉を買われては? 場所を教えますから」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「俺が食べる用のお肉は買っていっていいか? 美味しそうだから」
◆◆◆「こ、このお肉はそもそも人が食べる用ではなく、大型の魔物を飼育している人に・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「お金は出すから売ってくれ頼む」
◆◆◆「よ、よく見ると素敵・・・ で、でも・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「これで買わせてくれ」
◆◆◆「そ、そんなに払ってくださるの!? ええと、好きなだけ持っていってください、持って行かれた分のみいただきますから!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ありがとう」
◆◆◆「素敵・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(ん〜俺が持っていってもいいけど)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「お店から王宮まで運ぶ方法ってあるか?」
◆◆◆「あ、代金さえいただければ、お届けもできます。冷凍しますか?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「冷凍できるのか?」
◆◆◆「はい、専用の魔法石で凍らせることが出来ます」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(テルヌンドの魔法石・・・便利!)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「じゃあそれで頼む、差出人は、”ルゥラッハ”で」
◆◆◆「かしこまりました」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(おお〜)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ありがとう 普通のお肉屋さんはどっちに行けばいいんだ?」
◆◆◆「あ、あちらの道をまっすぐ行っていただければ見えて参ります」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ありがとう」
◆◆◆「どういたしまして」
◆◆◆「・・・素敵」
フィガロ・パズテカ「あれが”ルゥラッハ”か・・・汚れた魔物の肉を好んで食べるとは・・・」
フィガロ・パズテカ「テツナを見つけ出して、はやくこの国から離れなければ・・・」