少女と少年、2人の話(脚本)
〇霧の立ち込める森
〇岩の洞窟
雨を凌ぐために入った洞窟。
暗闇の中出会ったのは。
??(誰かいる?)
?「・・・・・・」
??「・・・・・・」
?「あなたもここで雨宿り?」
??「・・・うん。こんなところで誰かに会うなんて」
??「ここが暗闇でよかった」
?「どうして?」
??「僕の目、見える?」
?「見えない」
??「だから」
?「目を見られたくないの?」
??「見たらきっと逃げ出すよ」
?「逃げ出さないよ。外は雨だもの」
??「そうだね。でも、怖い」
?「何が?」
??「君に怖がられるのが」
?「怖がったりしない。約束するよ」
??「僕の目がみたいの?」
?「あなたが怖がるその目に興味が湧いたの」
?「それに、私のことを見たら何か変わるかも」
??「何が?」
?「なにか」
??「でも、灯りがない」
?「灯りなら、あるよ」
??「やっぱり怖いよ」
?「正直に言うとね、私も怖い」
??「え?」
?「じゃあ、照らすね」
〇岩の洞窟
鬼「綺麗な黒目・・・」
人間「君の、角も」
鬼「逃げ出したい?」
人間「まさか。 僕の目を褒めてくれたのに」
鬼「人って言ってくれるんだ」
人間「よくわからないけど、君は僕の目を見ても人扱いしてくれるから」
人間「それとも知らないのかな。黒目が──」
鬼「”呪われた目”って言われていること?」
人間「・・・そう」
鬼「私は”人喰い鬼”って言われて殺されそうになった」
鬼「確かに鬼ではあるけど、人なんか食べたことないのに」
人間「人を食べない鬼?」
鬼「そうだよ。鬼にも色々あるの。人間のように」
人間「君は、とても明るいね」
鬼「私が?火じゃなくて?」
人間「そうだよ。君が」
鬼「ありがと」
人間「うん」
鬼「あなたは優しい」
人間「僕が?」
鬼「あなたが」
人間「ありがとう」
鬼「どういたしまして」
人間「・・・その角」
人間「綺麗だよ」
鬼「見てよかった?」
人間「見てよかった」
人間「本当に」
鬼「私も!」
本当は、死に場所を探して入った洞窟。
でも、もう少し、生きてみようと思った。
そんな出会いだった。
世の中では「多様性」という言葉だけが一人歩きしていて、受け入れる側の理解や心構えがまだまだ追いついていないのが現状ですね。世間の迫害という闇の中で、自分の存在を認めてくれる相手という光を見た二人の幸運を祝ってあげたい気持ちになりました。
運命ですね! 現実の世界でもこういう運命の出会いで生き延びて行く人は少なくないと思えます。沢山の読者にも光を与えてくれたストーリーだと思います。