戦国お悩み相談室

奈村

相談者織田信長 桶狭間の戦い編(脚本)

戦国お悩み相談室

奈村

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〇ファンタジーの学園
  永禄3年5月12日
  駿府・今川館

〇謁見の間
今川義元「此度こそ織田の小童目を叩き潰してくれる」
今川義元「皆の者、出陣じゃ!」
「応!」

〇山道
  駿河・遠江の守護であり、三河をも傘下に収める今川義元は、2万5000の兵をもって尾張を攻略すべく駿河今川館を進発した

〇西洋の城
  同年5月17日
  尾張・清洲城
使番「開門!」
使番「開門!」

〇城の会議室
池田恒興「申し上げます」
池田恒興「今川の本隊が境川を渡り、尾張に侵入したとの知らせが今しがた届いてございます」
柴田勝家「もうその様なところにまで!?」
柴田勝家「信長さま もはや一刻の猶予もございませぬ」
柴田勝家「御出陣のご下知を!」
織田信長「・・・」
佐久間信盛「いえ、御出陣はなりませぬ」
柴田勝家「何故だ?」
佐久間信盛「我らは精々3000の兵しか集められぬ」
佐久間信盛「今川の大軍を相手に寡兵でどうやって勝つというのだ?」
佐久間信盛「其方には勝つ算段でもあるというのか?」
柴田勝家「それは・・・」
佐久間信盛「なら口を閉じていよ!」
柴田勝家「くっ・・・」
佐久間信盛「ここは城に立て籠もり、今川が引き上げるのを待つのが上策にございます」
柴田勝家「いや、この清洲城は守るに適しておらぬ!」
柴田勝家「今川が引き上げる前に落ちてしまうわ!」
佐久間信盛「口を閉じていろと言うたであろうが!」
柴田勝家「なにを!」
佐久間信盛「やるか!」
林秀貞「控えよ!」
林秀貞「御前であるぞ」
「・・・」
林秀貞「いずれにしても決めて頂かねばなりませぬ」
林秀貞「打って出る」
林秀貞「はたまた城に籠もる」
林秀貞「如何ご決断なさいますか?」
「・・・」
織田信長「・・・俺は寝る」
林秀貞「・・・は?」
織田信長「皆も帰って寝るがよい」
林秀貞「の、信長さまっ」
林秀貞「行ってしまわれた・・・」
柴田勝家「この期に及んでなんの考えもないとは・・・ このままでは織田家は・・・」
佐久間信盛「いや、既に腹の内では決まっておられよう」
柴田勝家「どうして分かる?」
佐久間信盛「信長さまに長年仕えておれば分かる」
佐久間信盛「弟君の信勝さまに仕えていたうぬとは違うのだよ、うぬとは」
佐久間信盛「ハッハッハッハッ」
柴田勝家「チッ」
林秀貞「それワシもなんだけど・・・」

〇貴族の部屋
織田信長(出陣するか・・・)
織田信長(籠城するか・・・)
織田信長(うーん)
織田信長(それにしてもあいつら仲悪いよなぁ)
織田信長(仲良くさせる方法とかないかなぁ)
織田信長(こんなとき相談できるやつがいたらなぁ)
織田信長「はぁ・・・」

〇東京全景
  現代
  東京
青山一雄「いじめ パワハラ セクハラなど」

〇渋谷の雑踏
青山一雄「人は様々な悩みを抱えて生きています」
青山一雄「しかし残念ながら多くの人は悩みを相談できる相手がいないのです」

〇オフィスビル
青山一雄「『こんな些細なことで?』と思うことでも当事者にとっては重大なことです」

〇オフィスの廊下
青山一雄「ですからどんな相談に対してでも誠心誠意 答えてください」

〇オフィスのフロア
  心の悩み講談室
青山一雄「あなた方の言葉が相談者の命を救うのです」
「はい!」
青山一雄「遅ればせながらではございますが 今日からラインでの相談を受け付けます」
青山一雄「いまから専用のスマホを配りますので 名前を呼ばれたら取りに来てください」
青山一雄「高村未玖(たかむらみく)さん」
高村未玖「はい」

〇川沿いの公園
高村未玖「うーん やっぱり駄目か・・・」
山口海斗「お疲れ様です」
高村未玖「山口くんも今日はお弁当?」
山口海斗「いえ、コンビニっす」
高村未玖「作ってくれる恋人いないもんね」
山口海斗「あ、それ セクハラっすよ」
高村未玖「気分悪くした?」
山口海斗「いえ、全然」
山口海斗「同じ言葉でも言われた人によって感じ方も違いますから」
山口海斗「高村さんはセーフです」
高村未玖「ありがと」
山口海斗「生きづらい時代ですよね・・・」
高村未玖「いつの時代も同じよ」
山口海斗「どういうことですか?」
高村未玖「その時代にはその時代の悩みがあるってこと」
高村未玖「とは言っても人間の悩むことなんて今も昔も大差ないと思うけどね」
山口海斗「なるほど・・・」
山口海斗「ところで、いよいよラインでの相談受付が始まりましたね」
高村未玖「若い子は電話が苦手っていう子が多いから」
山口海斗「相談員は誰に相談すれば良いんですかね?」
高村未玖「ん?」
山口海斗「だってラインでの相談が増えたら仕事の量も増えちゃいますもん」
山口海斗「負の話を聞くのって、ただでさえストレスたまるのに・・・」
高村未玖「山口くんは悩んでいる人を救いたくて相談員になったんでしょ?」
山口海斗「まぁ、そうですけど・・・」
高村未玖「だったら頑張ろうよ!」
山口海斗「でも、想像以上にきつかったんですよね」
高村未玖「ねえ、趣味とかってある?」
山口海斗「いえ、特には」
高村未玖「じゃあ作ると良いよ」
高村未玖「好きなことやってるとストレスの発散になるし」
高村未玖「それに没頭すると不安も飛んで行っちゃうから」
高村未玖「相談者さんにもよく進めてるんだよね」
山口海斗「高村さんの趣味はなんですか?」
高村未玖「これ」
山口海斗「御朱印帳?」
山口海斗「凄い数の御朱印が押されてますね」
高村未玖「神社ってさ建ってる所が既にパワースポットだからね」
高村未玖「癒やされるのよ」
山口海斗「パワースポットかぁ・・・」
山口海斗「俺も行こうかなぁ」
高村未玖「行きなよ おすすめ」
山口海斗「スマホ、どうかしたんですか?」
高村未玖「電源が入らないんだよね」
高村未玖「初期不良かな?」
山口海斗「青山さんに言いました?」
高村未玖「新しいのが届いたら交換するから それまでこれを持っておくようにだって」
山口海斗「と言うことは・・・」
高村未玖「届くまでライン相談できないね」
山口海斗「俺のも壊れてくれないかなぁ・・・」

〇川沿いの公園
山口海斗「なんか急に曇ってきましたね」

〇川沿いの公園
山口海斗「あ! 雷!」
高村未玖「戻ろっか」
山口海斗「そうっすね 中で食べましょう」

〇川沿いの公園
高村未玖「キャーーーーッ!」

〇川沿いの公園
山口海斗「高村さん?」
山口海斗「高村さーーん!」
高村未玖「ん? なにかあったの?」
山口海斗「なにかって 雷が高村さんに落ちたんですよ」
山口海斗「なんともないですか?」
高村未玖「うん、全然」
山口海斗「よかった・・・」
高村未玖「あ!?」
山口海斗「どこか痛いんですか?」
高村未玖「スマホが直ってる」
山口海斗「あ!!」
高村未玖「ど、どうしたの?」
山口海斗「今度は俺のが壊れてます」
山口海斗「どうしよう こまったなぁ・・・」
高村未玖「喜びを隠しきれてないんだけど?」

〇一戸建て
高村未玖「ただいまー」

〇明るいリビング
高村友香「おかえりー」
高村未玖「パパは?」
高村友香「まだ」
高村未玖「そう じゃあ、いまからご飯作るから」
高村友香「あ、わたし学校の帰りに友だちと食べてきたから」
高村未玖「えー ひとりで食べるの味気ないなぁ」
高村友香「パパ待てば?」
高村未玖「よし! 急いで作って、急いで食べよう!」
高村友香「・・・」

〇一戸建て
高村友香「アハハハ」

〇明るいリビング
高村友香「おもしろーい」
高村未玖「そんなにテレビばっかり観てて大丈夫なの?」
高村友香「どうして?」
高村未玖「だって追試のテストがあるんでしょ?」
高村未玖「赤点とったら夏休みがなくなるくらいの補講があるって言ってたじゃない」
高村友香「桶狭間の戦いで勝ったのって 織田なんちゃらと今川なんちゃらのどっち?」
高村未玖「なに? 急に?」
高村友香「いいから答えて」
高村未玖「織田信長だけど」
高村友香「よし!」
高村友香「そこが一番自信なかったんだよね」
高村未玖「さっきからどういうことなの?」
高村友香「今日、追試だったんだけど 織田なんちゃらなら正解だ」
高村友香「これで心置きなくテレビが観られる」
高村未玖「もう心置きなく観てるじゃない・・・」

〇白いバスルーム

〇明るいリビング
高村未玖「ふー さっぱりした」
高村未玖(あれ? ライン?)
高村未玖(勤務外だから電源切ったはずなのに・・・)
高村未玖(送信者の名前は・・・)
高村未玖(織田信長?)
高村未玖(本物?)
高村未玖(って、まさかね)
高村未玖(えーっと、なになに?)

〇水色(ライト)
  ラインのトーク画面
  織田信長「今日もまた喧嘩した あやつらはどうすれば仲良くなるのだ」

〇白
  信長の日記の紙面
  こんばんは相談員です
  人間関係でお悩みですか?

〇貴族の部屋
  日記を書いている信長
織田信長(文字が浮かび上がってきたぞ!?)
織田信長(・・・これは一体、どうなっておるのだ?)
織田信長(もののけの仕業か?)

〇水色(ライト)
  ラインのトーク画面
  織田信長「相談員とは何のもののけだ?」

〇明るいリビング
高村未玖(もののけ?)
高村未玖(間違ってライン送ってきたのかな?)
高村未玖(でも、悩んでることは確かだし)
高村未玖(否定しないほうがいいよね)

〇水色(ライト)
  ラインのトーク画面
  高村未玖「どんな悩み事でも聞くもののけです」
  高村未玖「お悩みごとがあれば何でも仰って下さいね」

〇貴族の部屋
織田信長(ほう、相談員とは悩み事を聞いてくれるもののけなのか)
織田信長(この際なんでもよいわ)

〇水色(ライト)
  織田信長「家臣どもの仲が悪くて困っている どうすれば仲良くなるのだ」

〇明るいリビング
高村未玖「家臣? 殿様かよ!」
高村未玖(いやいや、否定してはいけない)
高村未玖(部下の人間関係で悩んでいるんだね)

〇水色(ライト)
  高村未玖「信長様が二人の間に入って仲を取り持ってあげれば如何でしょうか?」
  織田信長「どうやってだ」
  高村未玖「まずは信長様が積極的に家臣の二人とコミュニケーションをとって、そこから距離を縮めていくのが良いと思います」
  織田信長「コミュニケーションとはなんだ」
  高村未玖「意思疎通のことです」
  高村未玖「どんな話題でもいいので積極的に仲の悪い二人と話してください」
  織田信長「話してどうなる」
  高村未玖「二人の共通点を探るんです」
  高村未玖「共通の趣味や話題があればこっちもののです」
  高村未玖「それを足がかりにして信長様がお二人の間を取り持ってあげてください」
  高村未玖「そうすればきっと仲良くなれます」

〇貴族の部屋
織田信長「ふむ・・・コミュニケーションか・・・」

〇明るいリビング
未玖の夫「ただいまー」
高村未玖(さ、寝よーっと)

〇明るいリビング
未玖の夫「あれ? 確か電気付いてたのに?」

〇オフィスビル
山口海斗「え? 織田信成から相談があったんですか!?」

〇オフィスのフロア
高村未玖「いや、先祖の方だから」
山口海斗「なんだ織田信長か・・・」
山口海斗「って、そんなことあるわけないじゃないですか!」
高村未玖「分かってるわよ そんなこと」
高村未玖「たぶんお年を召された方だと思うんだよね」
山口海斗「そうなんですか?」
高村未玖「うん、だってコミュニケーションって言葉も知らないんだもん」
山口海斗「戦前生まれくらいですかね?」
高村未玖「そこまでは分からないけど」
高村未玖「高齢な歴史好きの社長さんだね」
山口海斗「・・・なるほど」
高村未玖「ところで山口くんはスマホが壊れたことを青山さんに話したのかな?」
山口海斗「も、も、も、もちろんですよー」
高村未玖「何という分かりやすいリアクション」
山口海斗「・・・」
高村未玖「今日は見逃してあげるから早く言うんだよ」
山口海斗「あざっす!」

〇西洋の城

〇城の会議室
池田恒興「ただいま到着の使番より義元が沓掛城に入城したとの報これあり」
柴田勝家「沓掛城と言えば この清洲とは目と鼻の先」
柴田勝家「手遅れになる前に御出陣の御下知を!」
佐久間信盛「慌てるな勝家 このときのために鷲津、丸根の両砦を築いたのではないか」
柴田勝家「黙れ!」
柴田勝家「俺は寝ずに勝つ方法を考えたのだ!」
織田信長(こいつらに共通の話題とかあるのかよ)
佐久間信盛「おう、言うてみぃ」
柴田勝家「我らが心を一にして悪鬼のごとく攻めれば 今川も恐れおののき逃げていきおるわ」
佐久間信盛「馬鹿がっ」
柴田勝家「うぬめが! いま何と言うたか!」
織田信長(また始めおった)
織田信長(今日は貞秀がおらぬと言うに・・・)
柴田勝家「もう我慢ならん!」
柴田勝家「たたっ斬ってやる!」
佐久間信盛「やれるものならやってみよ!」
  勝家が刀を抜こうとしたそのとき腹の虫が鳴る
織田信長「どうした勝家?」
柴田勝家「屋敷を出る直前まで考え事を致しておりましたゆえ朝餉を食うのを忘れて・・・」
佐久間信盛「あんなくだらないことを考えるのに──」
  信盛の腹の虫も鳴る
織田信長「其方も考え事をしておったのか?」
佐久間信盛「今川の軍が迫って来ております故・・・」
織田信長(お、そうだ!)
織田信長(こいつらに共通点があったぞ!)
織田信長「誰ぞある」
池田恒興「ここに」
織田信長「朝餉の仕度をせよ」
池田恒興「はっ、ただちに」

〇西洋の城
柴田勝家「美味い!」

〇城の会議室
柴田勝家「この焼味噌は美味でございますな!」
織田信長「其方はどうだ? 信盛」
佐久間信盛「・・・」
柴田勝家「この味噌はどこにて買い求められたのでございますか?」
織田信長「俺が城中で作らせておる」
柴田勝家「なんと!」
織田信長「分け与えてもよいぞ」
柴田勝家「嬉しゅうございます!」
柴田勝家「刻んだネギを混ぜて焼けば一層美味しゅうなりまするぞ」
佐久間信盛「そこに大葉を入れればさらに美味しゅうなりまする」
織田信長「信盛」
織田信長「其方も味噌を持って帰るがよい」
佐久間信盛「・・・」
織田信長(正直になれ信盛 お前が味噌好きなのも俺は知ってるんだ)
織田信長「要らぬのか?」
織田信長「では、お前の分も勝家に──」
佐久間信盛「あ、ありがたく頂きまする・・・」
織田信長「うむ」
織田信長「両名ともよく聞け」
織田信長「いがみ合ってはいても味の好みは同じように」
織田信長「いがみ合っていても我が織田家への思いは同じはず」
織田信長「違うか?」
「違いませぬ」
織田信長「ならば互いに協力し合い」
織田信長「この信長に力を貸してくれ」
「・・・」
織田信長「其方らの力が必要なのだ」
「承知いたしました」
織田信長(よっしゃー!)

〇オフィスビル

〇オフィスのフロア
高村未玖(あ、信長さま)

〇水色(ライト)
  ラインのトーク画面
  織田信長「上手くいったぞ」
  織田信長「争いを止めおった」
  高村未玖「よかったです」
  織田信長「其方は物の怪ではなく 神仏の使いなのやもしれぬな」

〇オフィスのフロア
高村未玖(もののけから神仏になっちゃった)

〇水色(ライト)
  高村未玖「ところでお聞きしたいのですが、どうして家臣たちは仲が悪くなったんですか?」
  織田信長「戦が迫っていてな」
  織田信長「打って出るか籠城するかで揉めておるのだ」

〇オフィスのフロア
高村未玖(戦に打って出る? 籠城?)
高村未玖(あ、そっか M&Aか何かで揉めてるのね)

〇水色(ライト)
  高村未玖「信長様は打って出る派ですか? それとも籠城派ですか?」
  織田信長「俺は戦が怖い」
  織田信長「今まで幾度も戦ってきたがやはり怖いのだ」
  高村未玖「ではそのことを家臣たちに伝えましょう」
  織田信長「それは駄目だ」
  高村未玖「どうしてですか?」
  織田信長「臆病者だと思われよう」
  織田信長「主が強くなければ家臣はついてこぬ」
  織田信長「だから言えぬのだ」
  高村未玖「それは違うと思います」
  高村未玖「弱ければその弱さを家臣にさらけ出した方がいいです」
  織田信長「しかしそのようなことをすれば」
  高村未玖「家臣はついてきます」
  高村未玖「なぜなら強いっていうのは偽りの強さをみせる人ではなくて、弱さをさらけ出せる人だからです」
  高村未玖「だから信長様の本心を家臣たちに伝えて下さい」
  織田信長「もし伝えないとどうなる」
  高村未玖「信長様の本心を探りあって再び争い始めますよ」
  高村未玖「もしかしたら信長様が嫌われちゃうかも」
  高村未玖「それに自分を偽って生きても空しいだけです」
「高村未玖「きっと後悔する日が来ます」」

〇貴族の部屋
織田信長「偽って生きていても空しいだけか・・・」

〇オフィスのフロア
高村未玖「あ!」
山口海斗「どうしたんですか? 急に大声なんか出したりして」
高村未玖「神さまなんて言われたから調子に乗って相談者さんに偉そうなこと言っちゃった・・・」
高村未玖「「自分を偽って生きていても空しいだけ」だなんて・・・」
高村未玖「追い込んじゃってたら どうしよう・・・」
山口海斗「高村さんも まだまだですね」
高村未玖「その笑顔、超むかつくんだけど?」

〇城の会議室
織田信長「皆の者、よく聞け」
織田信長「籠城に決めた!」
織田信長「俺は其方たちを戦の犠牲にしたくない」
織田信長「そして何より俺自身死にたくはない」
織田信長「俺は・・・俺は戦が怖いのだ」
柴田勝家「信長さまっ!」
織田信長「もう決めたことだ」
柴田勝家「・・・」
織田信長「恒興」
池田恒興「ここに」
織田信長「鷲津、丸根の両砦に使いを出せ」
織田信長「決して砦から出ぬように」
織田信長「命を大切にせよ、とな」
池田恒興「はっ」
織田信長「これにて評定を終える」
家臣A「なんと臆病なことだ」
家臣B「だがしかし、あそこまで正直に言われると──」
佐久間信盛「われら家臣一同が合力して盛り立てていかねばという気持ちになるな」
「左様、その通りだ」
柴田勝家「・・・」

〇一戸建て

〇明るいリビング
高村未玖「遅かったね」
高村友香「夏休み最後の思い出に目一杯遊んできたの」
高村未玖「え? 始まったばっかりじゃない」
高村友香「・・・嘘つき」
高村未玖「な、何よ、薮から棒に」
高村友香「ママ昨日、桶狭間の戦いに勝ったのは織田なんちゃらって言ったでしょ?」
高村未玖「織田信長? 言ったけど、それがどうしたの?」
高村友香「そう 織田信長って書いたのにバツだったんだよ」
高村未玖「え? そんなはず──」
高村友香「ほら、これ」
高村未玖「・・・ほんとだバツになってる」
高村未玖「これ先生に確認した?」
高村未玖「桶狭間の戦いで勝ったのは織田信長じゃないんですか? って」
高村友香「言ったよ」
高村友香「でも勝ったのは今川なんちゃらだって言われた」
高村未玖「いや、そんなはずないんだけど・・・」
高村友香「あーあ、私の夏休みがぁ・・・」
高村未玖「・・・」

〇貴族の部屋
織田信長(眠れぬ・・・)
小姓A「申し上げます!」
織田信長「申せ」
小姓A「ただいま今川勢が丸根、鷲津の両砦に攻撃を仕掛けたのと知らせ参りました」
織田信長「・・・」

〇部屋のベッド
高村未玖(よかった 怒ってなかったんだ)

〇水色(ライト)
  ラインのトーク画面
  織田信長「夜分にすまぬ」
  高村未玖「先ほどは偉そうなこと言ってすみませんでした」
  織田信長「父が亡くなったとき俺は孤独になった」
  織田信長「母と弟は俺の座を狙い」
  織田信長「追い落とそうとした」
  織田信長「だから俺は自分を守るために変わらざるを得なかった」

〇部屋のベッド
高村未玖(韓流ドラマみたいに社長の座を巡る後継者争いをしたんだ)
高村未玖(お金持ちって大変だなぁ)

〇水色(ライト)
  織田信長「だが相談員殿がそれではいけぬと俺に気づかせてくれた」
  織田信長「感謝こそすれ不満など有ろうはずがない」
  織田信長「しかし」
  高村未玖「どうしたんですか?」
  織田信長「不安なのだ」

〇部屋のベッド
高村未玖(新たな一歩って不安になるもんね)

〇水色(ライト)
  高村未玖「趣味はありますか?」
  織田信長「あるが どうしてだ」
  高村未玖「それをして下さい」
  高村未玖「趣味に没頭すると考えるのを忘れますから」
  織田信長「わかった」

〇貴族の部屋
織田信長「人間五十年~」

〇洋館の廊下
織田信長「下天のうちをくらぶればぁ~」
小姓B「信長さまが敦盛を舞われている!?」
小姓A「俺は柴田様にご報告してくる」
小姓B「待て! 俺も行く!」
木下藤吉郎(お二方は急いでどこに行かれたのであろうか?)
織田信長「夢幻の如くなり~」

〇貴族の部屋
織田信長「一度生を享け、滅せぬもののあるべきか~」
織田信長「・・・」

〇部屋のベッド

〇水色(ライト)
  織田信長「駄目だ」
  織田信長「一向に不安が解消されぬ」

〇部屋のベッド
高村未玖(うーん、何か良い方法ないかな・・・?)
高村未玖(そうだ!)

〇水色(ライト)
  高村未玖「これは私の趣味なんですけど神社に行くと良いかもですよ」
  織田信長「神社?」
「高村未玖「そうです」」
  高村未玖「神社ってパワースポットですからとても癒やされます」
  織田信長「パワースポットとはなんだ」
  高村未玖「力を貰える場所のことです。きっと不安なんて消し飛びますよ」
  高村未玖「私はそうですから」

〇貴族の部屋
織田信長(パワースポットか・・・)
織田信長「誰かある!」
木下藤吉郎「ここに」
織田信長「その声は猿か?」
木下藤吉郎「左様にございまする」
織田信長「これより神社へ参るゆえ其方も付いて参れ」
木下藤吉郎「ははーっ」
木下藤吉郎「では、早速に馬の用意をして参ります」

〇西洋の城
織田信長「行くぞ!」
  馬のいななきとともに信長は城を飛び出して行き
  木下藤吉郎は信長の跡を走って追いかけた

〇神社の本殿
  熱田神宮
織田信長(今川義元が早く引き上げますように・・・)
織田信長(・・・ほんとだ神仏を信じぬ俺が癒やされていく)
織田信長(やはり相談者殿は神の使いであったのだな)
織田信長(よし!)
織田信長(今日この時をもって元の俺に戻る)

〇神社の本殿
織田信長「雨か・・・」
織田信長「本降りになる前に帰るぞ、さ・・・る・・・」
織田信長「ん?」
織田信長「其方、何故に鎧を着けて・・・」
柴田勝家「おられたぞ!」
織田信長「勝家? 其方どうしてここ──」
柴田勝家「私は信じておりましたぞ、信長さまっ!」
織田信長「・・・なにを?」
柴田勝家「もう本心を隠されずともよいのです」
柴田勝家「敦盛を舞われて、こうして戦勝祈願にこられた」
柴田勝家「敵を欺くには、まず味方からと申しますものな」
柴田勝家「私もまんまと騙されましたわ」
柴田勝家「ハッハッハッハ」
織田信長「い、いや・・・それは・・・」
木下藤吉郎「ただ今、具足をお着せ致します」
織田信長「・・・」
柴田勝家「皆のものーっ!」
柴田勝家「今宵、信長さまとともに今川を叩き潰すぞ!」
柴田勝家「信長さまに続くのだ!」
「応!!!」
織田信長(どうして・・・)

〇一戸建て
高村未玖「友香ー」

〇明るいリビング
高村未玖「友香ったら」
高村友香「もう、何よー」
高村未玖「何って今日から補講でしょ?」
高村友香「なんで私が補講に行かないといけないの?」
高村未玖「だってあなた歴史のテストで赤点とったでしょ?」
高村友香「何言ってんの?」
高村友香「ギリギリセーフだったって言ったでしょ?」
高村未玖「え?」
高村友香「ほら」
高村未玖「・・・ほんとだ」
高村友香「これも全て織田なんちゃらが桶狭間の戦いで勝ってくれたおかげだ」
高村友香「さて、もう一眠りしよ」
高村未玖「・・・なにがどうなってんの?」

〇オフィスビル

〇オフィスのフロア
高村未玖「ねえ、山口くん」
山口海斗「はい?」
高村未玖「桶狭間の戦いで勝ったのって今川義元だよね?」
山口海斗「なに言ってんすか」
山口海斗「織田信長に決まってるじゃないですか」
高村未玖「うん、知ってた」
山口海斗「知ってるのにどうして聞いたんです?」
高村未玖「いや、いいの 分からないけど分かったから」
高村未玖「それでスマホのこと青山さんに言った?」
山口海斗「それが故障していたはずのスマホにラインきたんですよ」
高村未玖「青山さん?」
山口海斗「いえ、今川義元です」
高村未玖「・・・」
山口海斗「織田信長さんと同じ歴史好きの社長さんだと思うんですけど」
山口海斗「夜遅くて雨が降っているのに家臣連れて京目指すって言うから止めたんです」
山口海斗「そんなことしたら家臣の心が離れちゃいますよって」
山口海斗「家臣をもっといたわってあげてくださいって」
山口海斗「「嫌われてくないから皆と酒飲む」って返信あったあと音沙汰ないんですど大丈夫かなぁ・・・」
高村未玖「私たちは相手に悩みがあるときにだけ必要な存在だからね」
山口海斗「ですね」

〇一戸建て

〇明るいリビング
高村未玖(信長さまからもラインが来ないけど大丈夫かなぁ)
高村未玖(元気になってるといいけど・・・)
未玖の夫「ただいまー」
高村未玖(あ、帰って来た)
高村未玖「・・・」
高村未玖(久しぶりに本音で話してみようかな)
高村未玖「おかえりー」

〇水色(ライト)
  ラインのトーク画面
  明智光秀「横暴な上様が憎い」
  明智光秀「この気持ちどうすれば静められようか」

コメント

  • 寝る長様いいですね^^!

  • 歴史人物と現代社会をうまく組み合わせたとても楽しいお話でした! どこまでも、織田信長本人と気づかれないという設定がよりユニークな雰囲気を作っていると思います。ほんと、いつの時代も人間の悩みって似通っているのですね。

  • 単純に過去とつながるだけじゃなくて、実はいろいろと考えられた設定になっていて面白いです。「困ったときだけ連絡が来る」という相談員ならではの設定もポイントですね。相談員は実際に起きていることはよくわからないというところが。光秀も現在なら逮捕レベルのパワハラで相当ストレスたまってますので、ぜひ続きを。

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