いちご

希与実

読切(脚本)

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〇飛行機内
  NA「アテンションプリーズ、当機はあと15分程で新東京国際空港へ到着いたします。到着ゲートは15番です」
正(あっという間だったな。忙しかったけど良い経験になった)
正(しかし片道15時間。これがエコノミー症候群か。まあ手当も一日15千円、ありがたく頂戴します)
  正LINE「今、新東京国際空港に到着しました。あと150分ぐらいで帰宅します」
果歩「果歩LINE「出張、ご苦労様。今ショートケーキ制作中。一緒に食べてね。味は保障しないけど」」
  正LINE「ありがとう、楽しみにしてます」

〇システムキッチン
果歩「よーし、あと15分でジェノワーズ焼き上がり。まずはスライス。へえ~1パックに15個入ってるのか苺。あっ、おいしいこの苺」
  初めてケーキ作りに挑戦した果歩。タブレットで作り方をネットで検索しながら奮闘していた。なによりも正の為に
果歩「さてホイップするか。しかしなんでこのタイミングでハンドミキサー壊れるかな。しょうがない、手でやるか」
果歩「述べ15分、やったるわい」

〇タワーマンションの裏口
  正は自宅のマンションへ到着した。エレベーターの果歩が待つ15階のボタンを押す

〇クリスマス仕様のリビング
  効果音「ピンポーン」
正「あれ?いないのかな。果歩?いる?ただいま~」
  果歩はリビングの椅子に座って下を向きてジッとしていた
正「なんだ、いたのか。どうかしたの?」
果歩「お帰り」
  果歩の言葉に元気はなかった
正「どうかした?ケーキ失敗したの?」
果歩「それがね?」
正「それが?」
  果歩は立ち上がり、冷蔵庫の方へ。扉をひらき自作のケーキを取り出した。そして正にそれを見せた
正「うわ~、すごいじゃない、おいしそう。結構大きいね」
果歩「15センチにしたの」
正「なに?ぜんぜん問題ないじゃない。もしかして砂糖と塩、間違えたとか?」
果歩「じゃなくて。苺が足りなくて、作っている間にいっぱい食べちゃって。上にのせるデコレーションの苺がなくなっちゃった」
正「えっ?」
果歩「苺、スライスして、中には入っているんだけどね」
正「正「はははは・・(笑)」」
果歩「なに?バカにしてるの?」
正「はは、ゴメン。いや、果歩らしいなって。かわいい」
果歩「なによ、それ」
  果歩は顔を赤くした。でも少し嬉しかった
  正はキッチンに行き、キャビネットの中を物色しはじめた
  そしてある物を手に握って果歩に持ってくる
正「ほら、あったよ」
  正は握った手を開くと、数字のローソクが果歩の目に入った
正「これをこのケーキに刺すと・・・」
果歩「いちご」
正「そう、1と5のローソクでいちご」
果歩「ははははは・・、ありがとう正」
正「さあ、お祝いしよ、初めての二人のクリスマス」
果歩「お腹減ったよね。ケーキしか用意してなくて・・・」
  効果音「ピンポーン」
正「はい、ピザ届きました」
果歩「うわ~、最高。皿用意するね」
  果歩は皿とカトラリーをセットして、ピザ箱の扉を開きピースピザを取り分けた
  正はシャンパンをとりだした
果歩「これ?」
正「そう、Rです。DPより、MCより、やっぱりこれかな。デューティーフリーで。ちゃんと冷えてるよ保冷剤付」
  効果音「プシュー」
正「はい、どうぞ」
果歩「ありがとうございます」
  正は抜栓したコルクを果歩の前に置いた。そしてシャンパンを注ぎ乾杯する
正「ハッピーメリークリスマス」
果歩「ハッピーメリークリスマス!」

〇クリスマス仕様のリビング
果歩「ああ、最高」
正「シャンパン、ほどほどにね。どう、試験勉強」
果歩「ボチボチかな。それより出張どうだった?」
正「大変だったけどね、まあ開業ってあんなもんかな。でもレールには乗せられたかな」
  二人は会話を楽しみ、ピザとシャンパンも楽しんだ
  そしてケーキに刺した1と5のローソクに火をつけ、部屋の灯りを消した

〇クリスマス仕様のリビング
正「ケーキを作ってくれて、こうして初めてのクリスマスを迎えられてありがとう」
果歩「出張お疲れ様。シャンパンとピザも良かったけど、正の無事が最高のプレゼント」
  果歩、正「せーの」(ふー)
  暗くなった部屋に街と月の灯りが差し込み、独特の雰囲気が果歩と正を包み込んだ
果歩「うう・・」
正「どうしたの?ピザ食べ過ぎた?」
果歩「違うの、あのね。ちょっと報告があるの」
正「はい、お聞きします」
果歩「あのね、あのね、15週間だって」
正「15週間、4ケ月位、ってことかな?」
  果歩は大きく頷いた
正「体は大丈夫?ちょっとツワリが辛い?ああ、シャンパンいっぱい飲んだ?」
果歩「大丈夫。ちょっとしか飲んでないし。みんなおいしかったよ」
正「大事にしてね。もう自分だけの体じゃないからね」
果歩「はい」
  果歩はその正の言葉が嬉しかった
正「最高のクリスマスプレゼント、ありがとう。僕もあるんだ」
  正はキャリーバックの中から荷物をとりだし、果歩に差し出す
果歩「開けていい?」
  果歩は包装の紙を剥がすとメッセージカードが箱についていた
  果歩は袋からカードを取り出す
  正メッセージ「今日は初めてのクリスマス、二人で祝えて最高にうれしいです」
  正メッセージ「果歩との出会いは一期一会、これ以上の出会いはありません」
  正メッセージ「これから新しい家族が増えて新しいステージにステップアップしましょう。これからも宜しくお願いいたします」
果歩「知ってたの?」
正「果歩を見てれば分かるよ。箱、開けてみて」
  果歩は箱を開けて中身をとりだす。マタニティーウエア
正「15号にした。果歩にはちょっと大きいかもしれないけど」
果歩「最高です、ありがと」
正「ね、写真とろ」
  果歩、正「せーの、1後はニッ!」
  二人はニッコリVサイン

コメント

  • センスの利いた素敵なお話でしたね

  • ほのぼのした感じのいい二人ですね。
    こんな日常が一番幸せだなぁって思いました。
    彼女がイチゴをつまんでしまったところで、クスッとしました。笑
    かわいいです。

  • お話の途中で「15」の数字がたくさん出て来ました。何のことか最初は分からなかったけど、後でイチゴに関連した数字だったんですね。子供が出来てお幸せに。

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