私の夫を・・・(脚本)
〇豪華なリビングダイニング
子供の頃。
人生は希望で溢れていると思っていた。
でも、だからと言ってそんな大層なことを望んでいたわけじゃない。
ただ、小さな幸せがあればよかった。
私の望みは、そう。
ただ・・・
幸せな家庭を築きたい。
それが、私の将来の夢だった。
〇豪華なリビングダイニング
それなのに、私はどこで間違えてしまったのだろう。
中野 悟「なんだよ、これ!! なんで食費が2万超えてんだよ!」
中野 たしぎ「ご、ごめんなさい・・・」
中野 たしぎ「で、食費を2万以内に抑えるのは・・・厳しくて」
中野 悟「言い訳をするな!」
中野 たしぎ「うっ・・・!」
中野 悟「帰ってそうそうイライラさせんなよ・・・!」
中野 悟「ほんっとにさ、たしぎって使えないよね」
中野 悟「そんなんじゃ社会じゃ、やっていけないよ?」
中野 悟「よかったね 俺のお嫁さんになれて」
中野 たしぎ「そんな・・・」
中野 悟「はぁーっ」
中野 悟「なに? 口答え?」
中野 悟「なあ。お前を養ってるの誰だと思ってんの?」
中野 悟「1人じゃなんも出来ないくせにさ」
中野 悟「気楽な専業主婦やれてんだから、むしろ感謝しろよ」
中野 悟「お前みたいな無能養ってやってんだからさ」
中野 たしぎ(あなたが仕事をやめさせたんじゃない・・・)
中野 たしぎ(私だって好きで専業主婦になったんじゃない・・・)
中野 たしぎ(もう嫌・・・こんな生活・・・)
中野 たしぎ「きゃ・・・・!」
中野 悟「おい! 酒がねえぞ!」
中野 たしぎ「ご、ごめんなさい・・・!」
中野 たしぎ「でも、お酒を買う余裕もなくて・・・」
中野 悟「しつこい!!」
中野 悟「自分の無能さが原因だろうが!」
中野 悟「お前、今から買って来いよ」
中野 たしぎ「え、でも・・・」
中野 悟「いいから行ってこい!!」
中野 たしぎ「は、はい・・・!」
〇住宅地の坂道
中野 たしぎ「ぐすっ・・・」
中野 たしぎ「はぁ・・・帰りたくないなぁ・・・」
中野 たしぎ「このまま逃げちゃおうかなぁ・・・」
中野 たしぎ「でも、きっと私が逃げたら、パパやママが危ないよね・・・」
中野 たしぎ「はぁ・・・もういっそのこと」
〇豪華なリビングダイニング
誰かあの人を殺してくれないかな・・・
〇住宅地の坂道
中野 たしぎ「なに馬鹿なこと言ってるんだろ・・・」
中野 たしぎ「早く帰らなきゃな・・・」
中野 たしぎ「・・・あれ?」
〇公園のベンチ
進藤「ああ、わかってるよ」
進藤「ブツは言われた通りにロッカーに隠したよ」
進藤「ああ、キーは公園の花壇に埋めておくから、うっかり拾われないうちに取りに来るこったな」
進藤「わかってるよ 誰にも見られてないって」
進藤「こんな時間じゃあ、誰もほっつき歩いてねえよ」
進藤「ああ・・・ああ・・・」
進藤「ほいじゃー、あとは頼むぜ」
進藤「いっちょあがり~っと」
進藤「さ、俺もさっさと・・・」
進藤「・・・ん?」
進藤「誰かいるのか!?」
進藤「あん? 誰だ、おめえ・・・」
怪しい男「お前、進藤・・・か?」
進藤「あ? そうだけど・・・」
進藤「その前にこっちの質問に答えろよ」
怪しい男「そうか・・・」
進藤「なっ・・・!」
進藤「お前、まさか、奴の仲間・・・!?」
進藤「ぐっ・・・」
怪しい男「これも仕事だ・・・」
怪しい男「任務完了・・・」
〇公園のベンチ
中野 たしぎ「な、なにこれ・・・」
中野 たしぎ「まさか、殺し・・・!」
中野 たしぎ「あっ・・・!」
〇公園のベンチ
怪しい男「誰だ!?」
中野 たしぎ「あ、あの、私・・・」
怪しい男「くそっ、見られてたのか・・・」
怪しい男「うかつだったな・・・」
中野 たしぎ「私、たまたま通りかかって・・・それで」
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彼女の幼い頃からの夢とはかけ離れた現実が他人ごとながらとても切なく辛く感じられました。お金に目が行かず、殺人を依頼するということは、もうすでに彼女の中で殺意が生まれていたよう思えました。
モラハラ+経済DVの夫への苦痛、そして大金が手に、、、逃亡なり弁護士なり選択肢があるところでの、それ以外の選択!彼女の心中、そして今後の心の移ろいが気になりますね
たしぎは体への暴力は振るわれていないけれど、言葉の暴力の方が他者にもバレにくいし、蓄積していくとダメージが大きいのかもしれませんね。現実社会では間違っても「主婦アサシン」という言葉が流行語になったりしないように願うばかりですね。