ギャル、憑依します

結花ユイ

第五話「変わる努力を」(脚本)

ギャル、憑依します

結花ユイ

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〇女の子の一人部屋
ミサコ(私はダメだ・・・ サエさんがいなきゃ可愛くなれない)
ミサコ(可愛くなければ・・・ 何も言えない、何も出来ない・・・)
  昨日の出来事が嘘だったように、今日はユキやヒナにいじめられ続けた。
  庇おうとしてくれたクラスメートはいたけれど、あの二人に睨まれると黙ってしまう。
ミサコ(違う、庇ってほしかったんじゃない・・・ 私は、私が・・・自分で言い返せなかったことが辛いんだ・・・)
ミサコ(みんなだって、クラスカーストの頂点にいるあの二人が怖い)
ミサコ(それなのに私のために声を出してくれた・・・)
ミサコ(でも、私は黙ってることしか出来なかった・・・)
ミサコ(こんな自分・・・嫌い・・・)
  今までで一番強く、ミサコはそう感じた。 心の底から、自分を変えたいと願った。
  と、それを感じ取ったかのようにスマホが 震えはじめた。サエからの着信だ。
サエ「やっほ~もう家?」
ミサコ「あ、はい」
サエ「あれ? なんか元気ないね~ てか今日はメイクしてかなかったの?」
  そんなサエの問いに、ミサコは今日のことを話した。
サエ「そっか、メイクしてかなかったんだね」
サエ「んじゃさ、ウチが毎朝ミサコに憑依してメイクしてあげるよ! それで全部解決じゃん?」
ミサコ「・・・確かに、それが一番確実だと思います」
ミサコ「でも、私自身が変わらなきゃ・・・ 結局は何の問題解決にもならないんじゃないかなって・・・」
サエ「そりゃそうだけど・・・」
ミサコ「・・・だからサエさん、お願いがあるんです。メイクの特訓に付き合ってください!」
サエ「ミサコ・・・」
ミサコ「ダメ、ですか・・・?」
サエ「ううん! もちろんおっけー! ただ、驚いちゃってさ」
サエ「今までのミサコなら、やっぱり自分はダメなんだって落ち込んで終わってたでしょ」
サエ「それなのに自分からメイクの特訓したい、だなんてさ」
サエ「成長したね、ミサコ」
ミサコ「サエさん・・・」
サエ「よーし、それじゃあ特訓といきますか~。ちょうど明日は土曜日だしね」
サエ「土日つかって、カンペキに自分一人でメイク出来るよう頑張ろう!」
ミサコ「はい!」

〇学校の廊下
ミサコ(緊張する・・・)
  週明けの月曜日。ミサコは深呼吸をして教室へと足を踏み入れた。

〇教室
  ザワつく教室。一気に心拍数が上がる。
ミサコ(だ、大丈夫。 笑顔でおはようって言うんだ・・・!)
ミサコ「お、おはよう!」
クラスメートA「おはよう、ミサコ」
クラスメートB「今日もばっちり決まってるじゃん」
ミサコ「う、うん。頑張ってみたんだ」
ユキ「なーにが頑張ってみたんだ、だよ。 どーせ誰かにやってもらったんでしょ?」
ヒナ「明日になれば、また地味子に逆戻りだよね~」
  例の如く、二人が私に絡んでくる。
  私は意を決して二人の前に歩み出た。
ヒナ「は? なに?」
ミサコ「あ・・・お、おはよう」
ユキ「なに、おはようって。うっざ」
  ユキとヒナの冷たい視線が、ミサコに突き刺さる。
  が、ここで逃げては何も変わらない。
  ミサコは両手に力をぐっと込め、言葉を続けた。
ミサコ「今日はね、全部自分でやったの。 メイクも、髪型も・・・」
ミサコ「・・・大変、だね。 やり慣れてないからすっごく時間がかかっちゃってさ」
ミサコ「・・・二人は、毎日メイクしてヘアアレンジしてるんだよね。 それって、すごいことだと思う」
ユキ「は? は? なんなん?」
ヒナ「いきなり褒めだして怖いんだけど」
  そうは言っても、ユキとヒナはまんざらで もなさそうにしている。
ミサコ「・・・多分、二人も努力したんだよね。 メイク上手になるように、ヘアアレンジを上手に出来るようにって」
ミサコ「私は、勉強以外ちゃんと努力したことってなかったんだ」
ミサコ「暗い、大人しい自分が嫌で・・・ 友達作ろうとしても、混ざり方がわからなくて一人でいることを選んだり・・・」
ミサコ「地味から脱しようと思っても、メイクが上手くいかなくて諦めたり・・・」
ミサコ「でも、諦めないでちゃんと努力すればメイクもヘアアレンジも出来るようになった」
ミサコ「だからね、私はもう諦めない。 ちゃんとなりたい自分になれるように頑張るよ」
ユキ「・・・やっば、超はずかしいこと言ってんじゃん」
ユキ「けど・・・悪くないんじゃ無い?」
ヒナ「地味子らしくなさすぎじゃん。 そんなんじゃ、いじめる気もおきないわ」
ユキ「ホント。うじうじしてないし、 見ててイライラもしなくなったしね」
  嘲笑のときとは違う笑顔を浮かべたユキとヒナを見て、ミサコの心がほんのりと温かくなる。
ミサコ「もう、今までの暗くて地味な私には戻らないから」
  そんなミサコの言葉に、ユキ、ヒナならずクラスメート達も笑顔を浮かべたのだった。

〇女の子の一人部屋
ミサコ(放課後、みんなでカフェへ行ったり、コスメを見たり・・・楽しかったなぁ)
ミサコ(あ、サエさんに連絡しなきゃ。 きっと今日のこと心配してるだろうし)
  ミサコは慣れた手つきでサエに電話をかけ
  た。
サエ「もっしもーし」

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コメント

  • 素敵なラストありがとうございますm(*_ _)m
    ミサコが自分自身成長して勝ち取る感じがとても良かったです!!お疲れ様でした!

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