あいつの名前が長すぎて前口上が言えないっ!(脚本)
〇武骨な扉
サーセン「はぁ、はぁ、強かったぁ・・・。 なんなのよあれ~。 信じらんないくらいタフだったんだけど!」
彼女の名はサーセン。
回復魔法や蘇生魔法を操る高位僧侶で、我がパーティの生命線だ。
ユルッセ「あれはきっと守護者(ガーディアン)よ。 守護者が消えた今、行く手を遮る者はもういないはず。 覇王を打ち倒す絶好の好機ね!」
彼女の名はユルッセ
我がパーティの軍師であり、高位攻撃魔法を操る魔道士だ。
メンゴ「さーて! アイテムで回復も済ませたし、この扉を開ければ、遂に覇王の野郎とご対面ってわけだ! ふっふっふ、腕がなるぜ!」
彼の名はメンゴ
怪力自慢の戦士で、さっきの城門を護っていた守護者との戦いでは怪力を発揮して大活躍してくれた。
テヘペロ「えーっと、カーチス・・・ペロペロ・・・シコシコ・・・ポロロンティンコ・・・。 ・・・よし、覇王の名前を覚えたぞ」
テヘペロ「多分、これで大丈夫・・・なはず! いくぞ皆!この扉を抜けたら、最後の決戦だ!」
サーセン「頼むわよ、リーダー! 最後の戦いなんだから、バシッとカッコよく決めてよね!」
テヘペロ「あぁ、任せろ! さぁ、いくぜ!」
〇謁見の間
勢いよくドアを開けた俺達。
目の前にある玉座に、威厳を放つ男が座っている。
どうやら、あいつがこの城の主、覇王らしい。
カーチス(以下略)「騒がしいな。 ・・・そうか。守護者を倒したのは、貴様たちだな? この私に何の用だ」
テヘペロ「俺の名はテヘペロ! 世界の支配を企む貴様の野望を阻止するため、俺たちはお前を倒しに来た! 覚悟しろ!」
カーチス(以下略)「ふふふ、私を覇王と知ってここに乗り込んできたのか。 命知らずな奴らめ・・・」
テヘペロ「覇王カーチス=カチリア=レロレロリコーダー=シコシコティコリーヌ=ペロロンティンコ!」
テヘペロ「守護者なき今、お前を護る者はもういない! 世界の平和を護るため、今日こそ貴様をたお・・・!」
倒すと言いかけた所で、黙って口上を聞いていた覇王が口を開いた。
カーチス(以下略)「待て待て!違う! 我が名は覇王カーチス=カチリア=ペロペロリコーダー=シコシコシコリーヌ=ポロロンティンコだ!」
ユルッセ「さっきテヘペロが復唱してた理由が今わかったわ。 名前長すぎ・・・」
サーセン「あんな下品な名前でよく恥ずかしくないわね・・・」
カーチス(以下略)「おいこら、聴こえてるぞ貴様ら! 神聖な我が名を馬鹿にするとは許さん!」
カーチス(以下略)「特にテヘペロ! 我が名を間違えた貴様は万死に値する!」
テヘペロ「あぁん!? なんだよ!間違ってないだろ!」
カーチス(以下略)「全っ然違うわ! やり直しを要求する!」
テヘペロ「はぁ!?くそー、なんだよ! 覇王カーチス=カチリア=ペロペロリコーダー=シコシコシコリーヌ=ペロペロティンコ!」
テヘペロ「今日こそ貴様をたお・・・!」
カーチス(以下略)「だぁかぁらぁぁ! 違うと言ってるだろうが! なんだ、ペロペロティンコって! 阿呆(アホ)か、貴様!」
サーセン「聴いた? ペロペロティンコだって・・・❤」
ユルッセ「もう・・・やだぁ❤」
メンゴ「なにを妄想してんだ、お前ら・・・」
サーセン「え?あはは、なんでもないよ、ねぇ?」
ユルッセ「うん、えへへ」
テヘペロ「くそー、さっき頑張って暗記したのに、分からなくなったー! 名前、一から教えろ!」
カーチス(以下略)「ふん。 ならば、一から教えてやるから復唱しろ」
テヘペロ「よーし、望むところだ! さぁ、いつでも来い!」
カーチス(以下略)「カーチス=カチリア=ペロペロリコーダー=シコシコシコリーヌ=ポロロンティンコ」
テヘペロ「カーチス=カチリア=ペロペロリコーダー=ペロペロペロリーヌ=ポロロンティンコ?」
カーチス(以下略)「ちゃんと真面目に聴いてたのか!? ぶっ飛ばすぞ、貴様ァァ!」
テヘペロ「あー、もう! お前なぁ、名前が長すぎるんだよ! 話が進まないから、略称で良いだろ!」
カーチス(以下略)「ちっ、仕方がない奴だ。 良いだろう、許可する」
テヘペロ「我が名はテヘペロ! 覇王シコシコティンコ! 今日こそ貴様をたお・・・!」
カーチス(以下略)「こらこら!なんだその略称は! シコシコティンコだと!? ふざけてんのか! 響きが卑猥(ひわい)すぎるだろ!」
メンゴ「ペロペロティンコだって、充分卑猥だった気がするが・・・」
テヘペロ「だー、もう知るか! 覇王カチカチチ〇コ!覚悟!」
カーチス(以下略)「貴様ぁ!それわざとだろ! もう許さん!死ねぇテヘペロ! 従者ともども葬ってくれるわ!」
ラストバトルのごとき設定での、この寿限無的な要素、楽しすぎます!名前の絶妙な下ネタ具合もたまりませんね!このお名前を誇れる覇王様、ある意味尊敬します!
「ちょっとでも笑ってもらえたら」って、ちょっとどころじゃなく笑えましたよ。うちの近所の犬も落語の寿限無から始まる5行くらいの名前だったけどみんな「ムーくん」て呼んでた。略すときカーチスじゃなくて変なとこ切り取ったのがセンスありますね。テヘペロは。