歓喜の女~女が喜ぶと書いて「嬉しい」と昔の人は言いました

Trevor Holdswor2

人の望みの喜びよ(脚本)

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〇シンプルな一人暮らしの部屋
歓喜を司る女神「女が喜ぶと書いて「嬉しい」そんな風に昔の人は言いました・・・」
小原尚美「・・・」
歓喜を司る女神「ですから、貴女の喜びは歓喜を司る女神たる私のエネルギーになるのです!」
小原尚美「(ため息)」
小原尚美「えーと、その大層な能書きは良いから、早くベッドの上から退いてくれる?」
歓喜を司る女神「ええ!?そんな簡単なことでいいんですか!?」
小原尚美「いいわけないでしょ・・・ 女神だか何だか知らないけど、どうぞお引き取り下さい」
歓喜を司る女神「そんなこと言われたの、この商売やってて初めてです・・・」
小原尚美「そこは女神の使命とかなんとか言いなさいよ・・・生々しい」
歓喜を司る女神「そういえば、女神が現れたっていうのに冷静ですね」
小原尚美「私は自分の目で見たものは、どんな馬鹿げてても信じることにしてるの」
歓喜を司る女神「ああ、それなら猶更話が早いです!」
歓喜を司る女神「一日限り、他人を不幸にすること以外という条件がありますが、どんなことでもかなえて差し上げますよ!?」
歓喜を司る女神「幸福で充実した日曜日にしたいと思いませんか!?」
小原尚美「えーとね。間に合ってるのよ。幸せだとか、充実だとかそーいうのは・・・」
歓喜を司る女神「そ、そんな・・・女神の厚意を押し売りみたいに言わないでください!」
小原尚美「アンタは現在進行形でソレよ・・・」
小原尚美(一日限り、他人を不幸にすること以外ねぇ・・・)
小原尚美「だとしたら、なおさら余所を当たった方がいいわね」
歓喜を司る女神「どうしてですか?」
小原尚美「何て言うのかな・・・ 私が嬉しくても、あの人がそうとは限らないかもなって」
歓喜を司る女神「あの人?」
小原尚美「まぁ、プライベートは細かく言わないけどね・・・」
小原尚美「人間の喜びってのは、一人や一日じゃ出来上がるものじゃないのよ。ごめんね」
歓喜を司る女神「そ、そういうものなんですか?」
小原尚美「少なくとも私の場合は、だけどね」
小原尚美「分かったらどうぞお帰り下さい女神様、素敵な日曜日を」
歓喜を司る女神「その、帰れません・・・」
小原尚美「何それ?まさか、契約取れるまで帰れないとか?」
歓喜を司る女神「じ、実はここに現れた時、想像以上にエネルギーを使い果たしました・・・」
小原尚美「ちょっと、計画性ゼロどころかマイナスじゃない」
歓喜を司る女神「うう、私はいったいどうしたら・・・」
小原尚美「しょうがないわね」
  尚美が二人分のコーヒーを淹れて運んできた。
小原尚美「砂糖とミルクはどうする?」
歓喜を司る女神「あ、ありがとうございます」
小原尚美「別にコーヒーの一杯くらい、なんてことないわよ」
歓喜を司る女神「まだ何もしてないのに・・・ こんなこと初めてです・・・どうして?」
小原尚美「あら、ちょっと前にアンタが自分で言ったじゃない」
小原尚美「女が喜ぶと書いて「嬉しい」そんな風に昔の人は言ったって」
歓喜を司る女神「あの・・・わたし、嬉しいです。今、物凄く!」
小原尚美「そう、私も嬉しいわ」
小原尚美「それともう少し、朝食くらい付き合ってくれると嬉しいかな?」
歓喜を司る女神「はい!」
  おしまい
歓喜を司る女神「ところで、あの人って誰なんですか?」
小原尚美「それは秘密」

コメント

  • 『嬉しい』という形容詞をこれから意識してしまいそうなほど、彼女達のやりとりからその言葉の意味がよく伝わってきました。悲しみや苦しみより、どれだけこの嬉しいを共有できるかで幸福感もかわりますね。

  • 尚美はタダ者じゃないですね。歓喜の女神に喜びを与えてもらうどころか一杯のコーヒーで女神を喜ばせて返り討ちするなんて、本当にかっこいいなあ。「話が早い」とか言っておきながら「帰るのが遅い」女神も相当な困ったちゃんで二人はいいコンビかもですね。最後のおまけシーンもしゃれてました。

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