サイコロ・ライフ

YO-SUKE

第四話「裏切り者」(脚本)

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〇けもの道
向井俊介「くそっ・・・雨まで降り出してきた」
小湊「恵みの雨よ。 これで奴らも追ってくるのが難しくなる」
向井俊介(小湊・・・)
向井俊介(反サイコロ団体のリーダーでありながら、 一部の特権階級と同じように【アタリ】を買ったという──)
向井俊介(この女、信用して大丈夫なのか?)
小湊「何突っ立ってるの? 急いで」
向井俊介「あ、ああ・・・」

〇岩の洞窟
小湊「いいところが見つかって良かった・・・ ここなら一晩くらいは大丈夫のはず」
向井俊介(この女の付けている腕時計・・・ 確かに高級そうだ)
向井俊介(とはいえ1回5000万円の献金を 何度も続けられるもんだろうか)
小湊「その目は、私のこと疑ってるわね?」
向井俊介「! い、いや、別に──」
小湊「あなたの言いたいことはわかる。 確かに私自身に大した財力はない」
向井俊介「ならどうやって──」
小湊「実家が資産家なのよ。私の知らないうちに 親が家族分も献金していた」
向井俊介「そんなこともあるのか」
小湊「私は何も知らなかった自分を責めた」
小湊「だからせめてもの抵抗として、親の金を 使って【テンプク】を大きくしていった」
小湊「でも親の献金のことが仲間にバレて、 私は裏切り者扱いを受けているってわけ」
向井俊介「けどそれなら・・・そいつらとあんたの 目的は一致しているんじゃないのか?」
向井俊介「メモリースティックのデータを公表して サイコロ制度を廃止にするっていう──」
小湊「残念ながら・・・そうはいかない。 彼らはお金に憑りつかれてしまった」
小湊「データを利用して、政府や大見から 大金を巻き上げるつもりなのよ」
向井俊介「そういうことだったのか」
小湊「私の話はこれでおしまい。 どう? 少しは信用してもらえた?」
向井俊介「あ、ああ・・・」
小湊「それなら私にメモリースティックを渡して」
小湊「必ず世間に公表して、 あいつらの悪事を暴いてみせる」
向井俊介「・・・わかった。これだ」
小湊「ありがとう・・・」
向井俊介「これであいつも報われるな」
小湊「あいつ?」
向井俊介「メモリースティックを俺に託した男だよ」
小湊「あ、ああ・・・そうね。 あの男もきっと天国で喜んでるわ」
向井俊介「あの男・・・?」
小湊「さあ、今夜はもう休みましょう」

〇岩の洞窟
向井俊介(サイコロのアタリが操作されている・・・ そんなの一部の都市伝説だと思っていたのに、本当だったなんて──)
向井俊介(娘は・・・由奈はまだ4歳だったのに──)

〇無機質な扉
向井俊介「頼む・・・! 由奈、サイコロを振ってくれ」
向井由奈「やだっ! やだ!」
向井俊介「時間がないんだよ!」
スタッフ「残り1分です。それまでに賽を振らない 場合は自動的にアタリになります」
向井俊介「わかってる! いまやらせるから」
向井由奈「私はやらない!」
向井俊介「由奈! 頼む。サイコロを振ってくれ。 アタリは20分の1なんだ」
向井俊介「普通に振ればアタリは出たりしない。 頼むから」
向井由奈「・・・やだ」
向井俊介「由奈!」
スタッフ「残り30秒です」
  スタッフが銃を構え始める。
  向井は由奈の手を強引に掴んで
  サイコロを握らせる。
向井由奈「やめてよぉ!!!」
向井俊介「言うことを聞きなさい! すぐに終わるから!」
  向井にきつく手首を掴まれて、
  サイコロを落としてしまう由奈。
向井由奈「あ・・・あ・・・」
向井俊介「嘘だ・・・嘘だろ」
スタッフ「保護者の方、離れてください」
向井俊介「た、頼む! 俺が代わりになる! だからこの子は──」

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