読切(脚本)
〇体育館の裏
ある日の放課後。
急に、校舎裏に呼び出された。
密かに、想いを寄せていた、
しほ子から・・・
「・・・しほ子ちゃん・・・」
「こんなとこ、急に呼び出して ・・・何か用?」
しほ子「・・・・・・」
しほ子「・・・あのさぁ!」
ま、まさか・・・
好きなコに・・・
相手の方から、
告白されるのか・・・?
しほ子「あのさぁ!」
「な、何?」
しほ子「B組の諸橋さんっているやろ? あの人な、めっちゃおとなしいやんか」
しほ子「でもな、こないだ一緒に帰った時な、 諸橋さんがカバンからスマホ出してん」
しほ子「それチラッと見たらな、 諸橋さんのスマホの画面、 バキバキにヒビ入っててん!」
しほ子「ほんと人は見かけによらんよなー、 そう思わん??」
・・・どうやら、
告白じゃないみたいだ。
さすが、お笑い芸人志望・・・
放課後、わざわざ
校舎裏に呼び出して・・・
つくったエピソードトーク、
俺で、試してきやがった・・・
しほ子「・・・あたしね、ものまね できるんだ!」
「・・・はぁ」
しほ子「平清盛の、ものまねー!」
しほ子「・・・・・・ 源氏は〜絶対に〜許さ〜ん・・・」
「・・・ほ、本人に 会ったことあんのかよ!」
思い通りのツッコミに
しほ子も満足そうだ、
よかった・・・
いやいや!よくない!
「しほ子ちゃん! 呼び出された側だけど、 俺からも話があるんだ!」
しほ子「・・・何?」
「俺、前から、 しほ子ちゃんのことが好きで・・・」
「昨日あったサッカーの試合、 勝ったら告白しようって決めてて・・・」
「で、勝ったから 「よし!告白だ!」って 朝日、気合い入れて ヒゲ剃ってたら・・・」
「ほら、こんなに カミソリ負けしちゃって・・・」
しほ子「・・・・・・・・・」
しほ子「アハッ! いいネタ持ってんじゃん!」
「いやいや、実話だけど・・・ でも笑ってくれたってことは・・・?」
しほ子「いいよ」
「えっ! じゃあ俺・・・」
しほ子「今日からあたしの、 相方候補にしてあげる!」
「あ、相方候補!?」
「・・・・・・・・・」
・・・ま、いっか!
このベッタベタな告白シチュエーションにもかかわらず、全くそんな素振りもない彼女とドキドキの主人公、このミスマッチ感がイイ味出してますね。ニヤニヤしてしまいます!
お笑い芸人志望の女の子と校舎裏でネタを試される男の子というシチュエーションだけでほっこりニンマリしちゃいました。「相方候補にしてあげる」と言ったしほ子ちゃんに「夫婦漫才の相方やで」ってバッチリとシュートを決めてほしかったなあ。