稀に痛みの分かる人間がいたのでした。心を残し痛覚だけを取るのは残酷です。神様(脚本)
〇未来の都会
──西暦2107年 我々人類は痛覚を感じぬ体へ進化を遂げた
麻酔、鎮痛薬等は消え、手術も出産も 談笑して為せる
〇水の中
そんな時代
〇おしゃれな通り
フタバ「昔は血が出たり~骨折ったりすると痛かったらしいよ」
スバル「らしいな。身体的な痛覚だけ無くなったのが進化ね・・・ いい事ばかりだと思うか?」
〇おしゃれな通り
フタバ「・・・ 愚問(ぐもん)よ。なんで心の痛覚は残したんだろう」
〇おしゃれな通り
スバル「・・・ 昔に比べてはるかに治安は悪化しているとさ」
〇おしゃれな通り
フタバ「虐待、暴行、虐め・・・」
〇おしゃれな通り
スバル「痛覚が無いから、身体的な加虐に罪が無くなった。殺人さえしなければな・・・」
〇おしゃれな通り
フタバ「そりゃ治安は悪くなる一方・・・」
スバル「自殺も当たり前の時代。死に際の痛覚さえも無いらしいから恐怖心が薄まっているんだ」
フタバ「ほんとに矛盾よ・・・心の痛みに耐えかねないから自殺するんじゃないのかしら」
スバル「あぁ、殴る蹴るの事実は変わらないんだよな」
〇センター街
フタバ「罪にならないなら・・・!!」
スバル「あぁ、こちらはこちらのやり方がある」
フタバ「私の類稀なる力はこの時のためだったのかなと感じるのよ」
スバル「可愛いツラして俺と対等だもんな。 いやきっと越えるだろうな。 負けてられねぇな」
フタバ「ふふ、さて越えられるかしら? 3日前とうとうお父さんをぶん投げたわよ!」
スバル「なっ!あの熊みたいな親父を!? お前のそのほっそい体で? まじかよ・・・ゴリラと熊のハーフなのか?」
フタバ「ぶん投げられたいようね?スバル? いつでもいけるわよ? ぽーんとボールみたいに投げてあげる!」
スバル「冗談だって!いや・・・冗談?ぁー・・・ (まじで片手でぶん投げられそう)」
フタバ「カッコのなか声にでてるわよー? スーバールー?」
スバル「待て待て!俺はべつにそんな・・・ !! 見ろ。フタバ。2時の方向だ」
〇センター街
フタバ「!!!! なんて酷いの・・・見るからに複数人からの暴行よ!!」
スバル「・・・脈はある。病院へ運ぶぞ! 救急車呼ぶより早い」
フタバ「私が運ぶ。この子なら抱えて走るくらい出来るわ!」
スバル「あぁ。任せた。俺はまだそう遠くない くそ野郎たちを追いかける!!」
フタバ「ええ。この子送り届けたらすぐに 追いつくわ! 絶対に絶対に許さない」
〇東京全景
スバル「あぁ。後悔させてやる! 一生・・・忘れられないくらいの」
フタバ「ええ。同じような暴力じゃない・・・」
俺たち(私たち)のやり方で!!!
〇ビルの裏
社会的に生きていけなくする
暴力は異常だと
世間が忘れぬように
END
痛覚の消滅が社会に引き起こす問題や危険性にフォーカスした内容で興味深かったです。無痛症の人は実際に自殺しやすいというのは聞いたことがあります。たとえ痛みですら、人が人らしくあるためにはある程度は必要なものなんだなあと痛覚、じゃなくて痛感しました。
痛覚がなくなったら、腹痛や頭痛、生理痛もなくなるからとても助かる部分もありますが、人の痛みもわからなくなってしまうのは、よくないですよね。
何事も良い部分と悪い部分があるんだなあと思いました。