〇観覧車のゴンドラ
　　緊張すると　ゴリラになってしまう・・・
　　今日はクラスメイトの光一君と
　　遊園地で初めてのデート。
　　どうにか、ゴリラにならずに初デートを
　　終わらせたい。
　　いつかは・・・
　　緊張するとゴリラになる体質を
　　話そうと思っているが、まだ早い。
　　ちゃんと恋人になって、
　　仲良くなってからゴリラになる体質を
　　話そう。
　　今日は人間として乗り切る。
　　イメージトレーニングはしっかりとした。
　　告白されても大丈夫。
　　急に手を繋がれても大丈夫。
　　手を繋がれて、ゴリラになって、
　　手を握り潰してしまうことを
　　何度も想像した・・・。
　　大丈夫・・・大丈夫・・・大丈夫・・・。
　　それに、今日は光一君のことを
　　バナナと思いこむことにしてる。
　　光一君はバナナ、光一君はバナナ、
　　バナナ、バナナ・・・
　　そんなバナナ・・・なんちって。
　　シャレも考えることが出来る余裕。
　　流石だわ、私。
　　メリーゴーランド、コーヒーカップ、
　　お化けやしき、ジェットコースター、
　　・・・なんとか乗り切った。
　　今は観覧車。これで最後の乗り物。
　　がんばれ、私！
光一「・・・・・・」
光一「そろそろ　頂上だね・・・」
奈々「うん・・・」
光一「えっと・・・ 伝えたいことがあるんだ・・・」
奈々（もしかして告白!?）
奈々（大丈夫。心の準備はできてる。 緊張してないわ！ 光一君は　バナナ！）
　　急に向かいに座っていた光一君が
　　隣に座ってきた。
　　ビックリしたが、
　　バナナが隣に来たと思ったら
　　落ち着いた。
光一「好きです。 付き合ってください」
奈々（きたー！ 「バナナ好きですか？」 の質問に変えて返事をすればいいのよ！）
奈々「はい、私も好きですバナ・・・」
　　「バナナ」の単語を言いそうになったが
　　抑えることができた。
　　そのとき・・・
　　急に手を握られた。
　　まさかの怒涛の展開。
　　ヤバい・・・。
奈々（落ち着け！　落ち着け！ 今ゴリラになったら　光一君の手を 握りつぶしてしまうわ！）
　　握り潰して、複雑骨折した姿を想像したら
　　落ち着いてきた。
光一「・・・・・・」
　　手を握られたまま・・・
　　目を見つめられ・・・
　　沈黙が続く・・・。
　　少しづつ顔が近づいてきた・・・。
奈々（まさか！ キキキキキ、キッス!?）
奈々（想定外！ 草食系男子と思ってたのに、まるで獣！ ゴリラを上回る肉食系男子だったのね！）
奈々（だだだだだ、ダメー！ 我慢できない！）
奈々「うぅぅ・・・・・・」
光一「ん？」
奈々「ウホー！」
光一「うわー!!」
　　ゴリラになってしまった・・・
　　しかし、不幸中の幸いで
　　光一君は気絶してしまい、
　　観覧車内での記憶はなくなった。
奈々（ゴリラの私でも恋愛したい。 次はもっと頑張るウホ！）