双子のオニ専門解決屋

にーな

若頭(脚本)

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〇大きな日本家屋
文也「はい、ご依頼ですよね?」
雨井雫枝「え、ええ」
文也「どうぞ此方へ」
雨井雫枝「はい」

〇アパートの中庭
結音「うん、上手上手」
菖蒲「素敵な花冠です」
詩織「結音お兄教えるの上手」
結音「・・・よく作ってたからね」
雨井雫枝「!詩織ちゃん?」
詩織「あ、先生」
文也「え?先生?」
詩織「うん。担任の雨井先生」
文也「其れは・・・何時も妹がお世話になっています」
雨井雫枝「妹・・・え、あ、保護者の方、わ、私担任の雨井雫枝です!」
結音「・・・三者面談してないで、中に入りな?」
「はっ」

〇おしゃれな居間
「ご依頼は?」
雨井雫枝「私、詩織ちゃんの学校の教師をしているものです」
桔梗「へぇ、シオちゃんの先生」
鬼灯「可愛い感じだな」
雨井雫枝「はえ・・・・・・!?///」
桔梗「・・・・・・・・・・・・」
結音「鬼丸君は少し黙っててくれ。妖狐君は嫉妬しない」
鬼灯「え」
輝久「で、ご依頼は?」
雨井雫枝「あ、そ、それで、最近うちの生徒が夜の間に居なくなってしまうんです」
「居なくなる?」
結音「・・・詩織ちゃん、何か知ってる?」
詩織「うん。違うクラスの何人かが行方不明になってる」
結音「・・・・・・・・・・・・」
結音「その子供の特徴は?」
雨井雫枝「あの・・・所謂訳ありとか問題児でして・・・警察は家出の可能性もあると・・・」
結音「・・・成る程」
咲良「結音兄、分かったの?」
結音「察しはついた。桜良も知ってるタイプだ」
咲良「・・・・・・まだ分からない」
結音「誘うモノ」
咲良「!夢幻鬼?」
結音「そうだ」
桔梗「無限?」
咲良「夢に幻と書いて夢幻」
結音「その名の通り、夢や幻で獲物を引き寄せる。別名誘うモノ」
鬼灯「よく分かったな」
結音「夢幻鬼の好物は子供。特に詩織ちゃんくらいのな」
咲良「そして、現実に不満がある者程罹りやすい・・・条件に当て嵌まってる。でも、他のオニも・・・」
結音「夢幻鬼はその特徴から、夜にしか活動出来ない」
結音「加えて、詩織ちゃんの学校近くには夢幻鬼の封印場所がある」
文也「!?そんなものが近くに!?」
結音「封印自体は強固なもの。滅多な事では破れない・・・誰か封印を解いたとしても、其れだけで消耗する・・・」
結音「となると、一族に何かあったか・・・」
咲良「其処まで強固な封印・・・まさか、若頭?」
結音「かもしれないな」
鬼灯「若頭?ヤクザか何か?」
結音「外見が若い青年の姿をしたオニだ」
咲良「あまりにも強力なオニで、指を集めるのが趣味だからそんな渾名がついたって・・・」
「悪趣味・・・」
輝久「其れが夜な夜な」
咲良「子供を誘拐してるって事?」
結音「その可能性が高い」
鬼灯「けど、家出っつー可能性もあんだろ?」
結音「まぁな。菖蒲はどう思う?」
菖蒲「結音様の仰る通り、オニの気配が僅かにします。ですが、辿るのは困難かと・・・」
結音「・・・・・・今回は君達は留守番していなさい」
「!」
「!」
  結音は双子の頭を軽く撫で、そのまま出て行った。そんな彼を見送り・・・互いに視線を交わす。
「まぁ、行くしかないよね」
「だよなぁ」

〇大きな木のある校舎
文也「結音さんいませんでしたね」
「そうだね」
鬼灯「おい、一応気を・・・」
鬼灯「・・・!!」
桔梗「っ!!」
「?」
文也「どうしたんですか?」
  鬼灯と桔梗は目を瞠き、体を微かに震わせて固まっている。
咲良「二人共?」
輝久「どうしたの?」
文也(鬼丸さんも妖狐さんも固まってる・・・!双子君も、それに驚いてるから・・・滅多に無いんだろうけど・・・)
若頭「おっと。随分美味そうな童が居るなぁ」
「!」
若頭「今宵は良い月夜。其に旨い肴が向こうから来るとは。ツイてるな」
「・・・・・・ヤバイ」
輝久「!」
若頭「はは、丁度いい火だ」
  輝久の放った炎が、着物の青年の持つ煙管に吸い込まれた。
「!」
輝久「桜!」
咲良「ん」
若頭「おお!」
  咲良が異能で青年を吹き飛ばす。
  其れに青年は楽しそうな顔をしつつ・・・
若頭「ほうれ、お返しだ!」
  先程煙管で吸い込んだ炎を咲良へと向けた。
文也「桜君!」
  そんな咲良の前に文也が出る。
  と、炎は文也に触れる前に消えた。
若頭「ほう?珍しいの。力を消す異能か」
咲良「・・・・・・・・・・・・」
輝久「・・・君が若頭」
若頭「ふむ。其れは彼奴が俺をそう呼んでから、外の者もそう呼び始めた名だな」
文也「彼奴・・・?」
若頭「あの異様な気配の若造。彼奴にいい様にやられた所為で封じられてしまってな」
結音「いい様にというか、単純に調子に乗ってただけだろ」
「!」
結音「大丈夫か?鬼丸君、妖狐君。やっぱり飲まれちゃったか」
  文也達の背後から現れた結音は、鬼灯と桔梗の頭を撫でて、前に出た。
若頭「・・・久し振りだな。お前さんの所為で封じられてしまったわ」
結音「俺より弱かったのが悪いんだろ」
結音「で、今時狩りをしてるって事は力の方は封じられたままって事か」
若頭「本当にお前さんは面倒だな」
若頭「・・・・・・まぁ、狩りをしてるのは真だが?」
  懐からまだ小さな指を出しながら不敵に笑う青年。
「うっ・・・」
結音「相変わらず悪趣味だな」
結音「・・・・・・今回ばっかは返せねぇな」
文也「!」
文也(今回の被害者である子供達は・・・もう・・・)
若頭「ふむ。やはり心に闇を抱える子供は美味い。其処の双子も美味そうじゃ」
輝久「・・・私が?美味そう?感情が分からないのに?」
咲良「・・・・・・・・・・・・」
若頭「何を言うておる。其れはお前さん達の闇そのもの」
結音「で?俺が喰わせてやるとでも?」
若頭「・・・儂としてはお前さんを一番喰いたいがな」
結音「ハハハ」
結音「・・・・・・気持ち悪」
「其れは同意」
結音「・・・さて双子」
結音「アレは強い。だが、今の双子よりは弱い。やってやれ」
「うん」
  其れからは異能と怪異のぶつかり合いだった。輝久が異能で生み出し、其れを咲良が操る。
文也「さ、流石双子」
「それな」
結音「・・・・・・まぁ、倒せないだろうけど」
「え?」
結音「今は夜だからな。彼奴は夜にしか動けない分、夜の間は死なない」
文也「じゃあ、どうすれば・・・」
結音「昔は弱体させてその間に封印してけどな。一族の方見たら当主が亡くなって、次代が幼過ぎて受け継げてなかったっぽい」
桔梗「其れを確認しに行ってたんです?」
結音「そ。まぁ、代わりは居なくはないけど・・・もう暦辞めたからなぁ」
鬼灯「つまり、暦のメンバーに居るって事っすか」
  そう話している一方で、双子が青年を追い詰めている。
若頭「チッ、力さえ取り戻せば・・・」
「!」
「!」
文也(女の子・・・!?いつの間に、双子君達の前に・・・!?今の鈴の音、あの子が持ってるヤツ・・・?)
結音(あの瞳の色に、あの鈴・・・まさか・・・)
少女「・・・お兄ちゃん、帰ろ?」
若頭「・・・致し方無し」
  若頭が少女を抱えると同時に消える。
「逃げられた」
結音「・・・・・・あの娘・・・」
文也「結音さん、知ってるんですか?」
結音「んー・・・微妙。正直、違うといいなぁという感じ」
「それって知ってるじゃん」
  彼等の問い掛けに結音は笑って誤魔化した。
結音「取り敢えず、あの先生には子供は喰われた事を報告しないとな。そうすれば、本格的な所が動くだろ」
文也「でも、奴が野放しに・・・」
結音「其処は双子にやってもらおう」
「?」
結音「菊君が強固な結界を創造して、其れを桜君が操作して強化」
「うん、分かった」

〇祭祀場

〇大きな木のある校舎
結音「・・・・・・さて、困ったな」

〇飲み屋街
  ──裏側“夜の街”
若頭「全く、勝手に出て来ちゃ駄目だろ。お嬢」
少女「お兄ちゃんが心配だったから」
少女「向こうに居たお兄さんがお兄ちゃんを弱らせて・・・お父さんを倒した人」
若頭「おう。親父は確かに彼奴に倒されたな」
少女「ふぅん」
青年「おや、お帰りなさい。旦那にお嬢」
青年「見られませんでした?」
若頭「見られたが大丈夫だろ。向こうは逸れ者だからな」
少女「逸れ者。あたしと同じ?」
若頭「ああ。出会いさえありゃ、こっち側だったな。まぁ、彼奴と親父が相性最悪だけど」
少女「ふうん。其れにしても、向こうの夜も中々だったなぁ」
青年「へぇ・・・僕も行ってみようかな」
若頭「精々ヤられない様に気を付けるこった」

〇おしゃれな居間
  翌日
雨井雫枝「そうですか・・・」
咲良「適切な所に報告する事を進めるよ」
雨井雫枝「・・・はい」
鬼灯「・・・あんたは優しいなぁ。居なくなった子供の事を想ってんだろ?」
雨井雫枝「え?は、はい・・・私、事情知ってたのに・・・何も・・・」
鬼灯「あんたの所為じゃねぇ。その分、今居る子供を頼むな?」
雨井雫枝「っはい!」
桔梗「・・・一応言っとくけど、鬼丸は僕のだからね」
文也「あ、あはは・・・」
結音「・・・・・・・・・」

〇空
  ・・・・・・夜が近付いてるな
  ・・・・・・夜が歩み寄って来る。
  終

次のエピソード:黄昏

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