断罪対象である妹を助けたら百合と薔薇が咲いたっぽい

隍沸喰(隍沸かゆ/おかゆ喰)

1話 兄妹の仲直り(脚本)

断罪対象である妹を助けたら百合と薔薇が咲いたっぽい

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〇城の回廊
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「アゥルペロ、門の前に馬車が来ている 先に向かっていてくれ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「はい!」
  さて・・・
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「何か用ですかー・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「いや~バレてた? さすが特級騎士さま」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「用がないなら帰る アゥルペロが寂しがっているかもしれない」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「それはない」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ぐ・・・」
  確かにそれはない
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「どうした?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「はやく」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「あ~・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「突然どうしたのかなってさ お前そんなに妹想いな奴だった? ま、隠し事は手伝ってたみたいだけど」
  こいつは大公の子息で、あの悪役令嬢と恋仲になる予定の男キャラだった。というか一度目では既に婚約していた。
  俺とこいつは魔法学校で仲良くなったはずだったが・・・
  悪役令嬢に協力してアゥルペロの悪事の証拠を集めたはず。こいつ敵だわ・・・嫌いかも
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(それより、気になるのは・・・)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「どこまでいった?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「何が? 質問に答えろよ。急いでんだろ?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ああ、妹は守りたかっただけ それよりキスはもうしたの?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「ん?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「いやだから公爵令嬢とキスをし──」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「待て待て待て待て!?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「な、なななななんでお前がそんなこと知って──・・・!! いや違う、彼女とは何もない!!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「そういえば違う奴にエスコートされてたな・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(漫画では互いに気になる存在って段階だったような・・・)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(・・・で、ちょっと反撃された悪役令嬢を庇うように登場して余裕ぶっこいて去るんだよな)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(で、意識し合う関係になっていくと・・・)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(だから今は何も進んでない・・・ ・・・つまんね)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「じゃ、帰るわ」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「はあ!?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「おい待て!? 質問に答えてねえだろ!!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「答えただろ 家族を守りたかっただけ」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「今まであの女に冷たかっただろ!!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「反省している あんなドブを好きになってしまうほど、寂しい思いをさせたのは俺だからな」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「俺はこれから妹を守るために何でもする お前は敵だ」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「なんでそうなるんだよ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「自分に聞け」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「お前のためだろうが・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「これ以上あの女を庇い続けたら・・・お前は・・・」

〇黒

〇飛空戦艦
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あの・・・お兄さま」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「馬車を用意したのではなかったのですか?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「て、手違いで・・・ これも馬車みたいなもんだよ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(そう言えばこの頃は敵国に警戒してて、何かあったらどこからでもすぐに向かえるようにコレで移動してたんだった)
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あの・・・お兄さま」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「今までごめんなさい 私・・・迷惑をかけていたでしょう?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「先に謝らせてしまってごめん」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「今まで冷たく当たってごめん 長い間、苦しめてごめん」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「これからお前と向き合いたい」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「許します だからお兄さまも私を許してください」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「もちろん許すさ 例えお前が許さなくても俺が守ってやる」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ありがとう、アゥルペロ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「こちらこそありがとう、お兄さま」
エレエレ・テンテンポム「あの、ルゥラッハさま。旦那さまがお呼びです」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「え?」
  エレエレ。俺の側近だ
  戦闘は苦手だが頭が回る
エレエレ・テンテンポム「今日の説明と、侯爵家の戦闘用飛行艇で皇帝を威嚇したと言う噂が広まっているらしく、その説明もしろと」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「え、いや、それは敵国の動きが怪しいから・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「陛下にも乗っていいって許可はもらってるわけだし」
エレエレ・テンテンポム「許可をもらった・・・脅したの間違いでは?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「え、笑って許してくれただろ? お前も見てたじゃないか」
エレエレ・テンテンポム「いや・・・あの方はレバノスタン家を恐れているので」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「あー・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(そう言えば、威嚇の意味も込めて移動に使っていたんだった・・・)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ま、いいじゃん 馬車で移動するより便利だし」
エレエレ・テンテンポム「・・・な、なんか変ですよルゥラッハさま」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「だって陛下は公爵令嬢の味方だろ? 俺の敵じゃん」
エレエレ・テンテンポム「ちょ、ちょちょちょっと声を抑えてください」
エレエレ・テンテンポム「そのような発言、誰かに聞かれでもしたら・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「俺はアゥルペロに危害を加える奴を許すわけにはいかない」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「父上にも伝えてくる! はやく当主の座を譲れと!!」
エレエレ・テンテンポム「ぎゃああああああ!! やめてください!! 旦那さまは今顔を真っ赤にして怒ってるんですよ!?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お、お兄さま、私のためを思ってくださるのは嬉しいのですが・・・私はお兄さまが無理をなさるのは望みません・・・!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ど、どうか落ち着いてください」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「俺に何かあったら悲しいか?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「え、は、はい」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「我慢する」
エレエレ・テンテンポム「で、では行きましょう、ルゥラッハさま」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「行かないが?」
エレエレ・テンテンポム「いい加減にしてください?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「う・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(笑顔こわ・・・ エレエレには苦労をかけていると気付いてから・・・逆らえる気がしない)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「行くよ・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「アゥルペロは休憩室で休むといい エレエレは案内してやって」
エレエレ・テンテンポム「・・・・・・はい」
エレエレ・テンテンポム「お嬢さま、ご案内します」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ええ」

〇黒

〇城の客室
  レバノスタン家
  〜アゥルペロの部屋〜
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「これはいったい何なの?」
ハグスタリ・ベラ「お目覚めですかお嬢様」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ベラ・・・この荷物はいったい誰から送られてきたの?」
ハグスタリ・ベラ「お嬢さまと婚約したい方はたくさんおります お美しいしお優しいし・・・」
ハグスタリ・ベラ「キャラバスティンさまと破局された件の噂を聞きつけたのでしょう」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「キャラバスティンさま・・・ あの方のように素敵な方からの贈り物はないのでしょうね」
ハグスタリ・ベラ「はい ここにはありません」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・」
ハグスタリ・ベラ「アゥルペロさまへの贈り物はすべて燃やされました」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・そう」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「って、え?」
ハグスタリ・ベラ「これらはルゥラッハ卿がアゥルペロさまにご用意されたものらしく・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・」
ハグスタリ・ベラ「隣の部屋に入りきらなかった分をお部屋に運ばせていただいたんです」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「と、隣の部屋?」
ハグスタリ・ベラ「はい。こちらです」

〇豪華な部屋
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あらあ・・・ まあ・・・」
ハグスタリ・ベラ「突然どうされたのでしょう 仲直りされたとしてもこの量は・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「全部開けて全部整理しなさいと伝えて! 私はお兄さまにお礼を言ってくるわ!」
ハグスタリ・ベラ「は、はい お嬢さま・・・!」
ハグスタリ・ベラ「・・・・・・」
ハグスタリ・ベラ「良かったですね お嬢さま」

〇王妃謁見の間
エレエレ・テンテンポム「こちらとこちらとそれからこちらとこちらにこちらです」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「うげぇ~だる~ 全部やってー・・・」
エレエレ・テンテンポム「どうしたのですか いつもならすぐ終わらせてしまうのに」
エレエレ・テンテンポム「今日は文句が多いですね 手も止まっているようですし・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「パソコンが欲しい・・・」
エレエレ・テンテンポム「迅速にぱそこんと言うものを手配します」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「え・・・いやはるか遠くの国の貴重なものらしくて、伝説上のものらしいからいい」
エレエレ・テンテンポム「伝説上の・・・そんな話をどこで?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「そ、そこらへんのガキから聞いた!!」
エレエレ・テンテンポム「がき?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「こ、子供のことらしい・・・はるか遠くの国の伝説上の言葉らしい」
エレエレ・テンテンポム「はあ、それも”がき”から聞いたんですか?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「そ、その言葉は今すぐ忘れなさい」
エレエレ・テンテンポム「・・・はあ、わかりました」
  お兄さま、私です
  入ってもいいですか?
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ああ、いいぞ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さま、贈り物のお礼を言いたくて来ました!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「気に入ってくれたか?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「はい! ありがとうございます!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ふふふ 聞いたかエレエレ」
エレエレ・テンテンポム「は、はい」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「アゥルペロが笑って、それも“ありがとう”って」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「癒される・・・ 俺仕事頑張る」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お、お兄さま お仕事中だったんですね ごめんなさい、夢中で・・・押し掛けてしまいました」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「気にするな 紅茶とお菓子も手配したから ベラと庭でお茶でもしてきなさい」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「は、はい・・・!! お兄さまもお仕事が終わったら来てくださいね! 待っています!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ああ すぐ行く」
エレエレ・テンテンポム「ハアア・・・あの方は苦手です」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「なんで?」
エレエレ・テンテンポム「以前の邪悪さが忘れられないと言うか 急に浄化されたと言うか洗い流されたと言うか・・・」
エレエレ・テンテンポム「暗い場所から急に明るい場所に出たような・・・感覚と言うか」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「むかしのあの子に戻ったと考えろ」
エレエレ・テンテンポム「・・・・・・あの邪悪さは母親譲りですよ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「それでも守るさ あの子はあの女とは違う」
エレエレ・テンテンポム「私があなたを守りますから」
  エレエレは一度目の人生でも、最後まで味方でいてくれた。
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・ありがとうエレエレ」
エレエレ・テンテンポム「う・・・」
エレエレ・テンテンポム「当たり前のことなんですから感謝は不要です」
エレエレ・テンテンポム「こちらとこちらとそれからこちらとこちらとこちらですからこちらが終わったらこちらを──」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「やんなきゃだめ?」
エレエレ・テンテンポム「お嬢さまが庭でお待ちですよ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・・・・やる」

次のエピソード:2話 熱を冷ます

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