二人は今日も「それな」と言う

はの

読切(脚本)

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〇教室の教壇
  放課後の教室の一室で、二人の男女が話している。
  とくに恋仲と言うわけではない。しいていえば腐れ縁というやつだろうか。
女「暑いー」
男「それな」
女「しかも毎日雨で蒸し蒸しするしー」
男「それな」
女「もう、汗ビチャビチャで、ブラもスケスケさ」
男「え!?」
女「・・・さっきまで、それな、しか言わなかった男が、なんともわかりやすい反応をしたね」
男「ぐ・・・」
女「ん?」
男「・・・男の本能なんだよ!」
女「それな」
男「あ!? 奪われた!!」
女「それな」
男「返せよー。それな、は俺のだぞ!」
女「それな」
男「あああああ!?」
女「それな」
男「君は美女」
女「そ・・・」
女「違うよ!?」
男「それな」
女「ああ!? 盗られた!?」
男「それな」
女「むう・・・やるじゃないか」
男「それな」
女「・・・君は、ぼくのことが好きだ」
男「そ・・・」
男「・・・好きじゃないよ!?」
女「それな」
男「ぬあ!? そう来たか! なんてずるい!」
女「それな」
男「おっぱいおっぱい」
女「・・・」
男「何も言わない・・・だと・・・」
女「それな」
男「きえええええ! これなら確実に反応すると思ったのに!」
女「それな」
  キーンコーンカーンコーン。
  最終帰宅時刻の鐘がなる。
女「どうやら、今日はここまでのようだね」
男「それな」
  二人のやりとりは、翌日へ持ち越された。

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