読切(脚本)
〇川沿いの公園
彩純「間の悪い春の別れだよね」
彩純「私がおねだりしたせいで わざわざ四月に来てくれてありがとう」
彩純「でもいきなり仕事で引っ越すなんて言われたらワガママも言いたくなる」
彩純「一年以上貴方のことだけ見つづけてきたのに」
彩純「お店でコーヒー淹れる時だって いつも隠れてオマケしてたんだよ?」
俺「ありがとう」
彩純「とかいって」
彩純「プライベートで会うのは初めての」
彩純「おねだりして付き合ってもらった」
彩純「一夜限りの彼女だけど・・・」
俺「俺がカフェに通いはじめてすぐ よく声かけてくれるようになって」
俺「それからスタッフさんには ずっと元気をもらってたし感謝してた」
彩純「彼女のことスタッフさんなんて呼ぶ彼氏いる?」
俺「いない・・・」
彩純「アスミって名前で呼んで」
俺「わかった」
俺「カフェのドアを開けてベルが鳴ると」
俺「いつもまたアスミさんに会えるって ほっとした気分になってた」
彩純「またおねだり聞いてくれた」
彩純「私は貴方がお店に来るようになってから ベルが鳴る度にドキドキするようになってた」
彩純「明日からお店のドアベルが鳴っても もうドキドキしなくなるのかな」
彩純「ずっとこうやってお店の外で会えることを願ってたのに」
彩純「結局貴方は誘ってくれなかった」
俺「ごめん・・・」
彩純「それなのになんで」
彩純「こんなに私のおねだり聞いてくれるの?」
俺「・・・」
彩純「黙らないでよ」
俺「去る男が言えることは なにもないかなって」
彩純「意地悪いってごめんなさい」
彩純「身体には気をつけて!」
俺「アスミさんもだよ」
彩純「できるだけ自炊つづけてね!」
俺「もう慣れてるから大丈夫」
彩純「とか言って 誰かに作ってもらうかもしれない!」
俺「今まで俺を見てたアスミさんならわかるでしょ」
俺「モールのスーパーに毎日通ってたみたいに むこうでも同じだよ」
彩純「新しい土地で 素敵で料理が上手な人に出会うかもしれない」
俺「そんなことないよ」
彩純「なんて・・・」
彩純「一夜限りの彼女が そこまで言えることじゃないよね」
彩純「むしろこんなにワガママ聞いてくれてありがとう」
彩純「動画もおねだりした通り ずっと撮ってくれてるし」
彩純「でもあともう一つだけ 最期のおねだり聞いて」
彩純「この動画 お休みになる度にみて」
彩純「明日からもう彼女じゃないけど」
彩純「私は貴方に 彼女ができない呪いをかけつづけちゃうから」
俺「さよなら・・・」
この動画を
俺はもう何回みたんだろう?
一年前、俺は都落ちした。
すくなくとも俺はそう思ってて
大事な人になにも言えなかった。
でも一年たった今は違う。
今度は俺から彼女に・・・
「一夜限り」という仮初めの恋人関係、その中で思いの丈をぶつける彼女、とっても魅力的ですねー。そして、ドキドキ感を残すラスト、好きです!
素敵な未来を想像させる終わり方ですね!!✨😊
彼は彼女のところに行って、一夜限りではない彼女にしたのでしょうか・・・
離れてから気づくこともきっとありますよね・・・2人がうまくいきますようにと感じた作品で素敵でした!!✨