俺氏、街コンで大炎上

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俺氏、街コンで大炎上(脚本)

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〇カラオケボックス(マイク等無し)
  クリスマスイブ。
  それは、恋人たちの特別な日──

〇カラオケボックス(マイク等無し)
俺「そんなのはリア充だけの話だろおおおお」
  俺はクリスマスイブの昼間に1人、カラオケボックスにいた。
  経緯はこうだ。

〇一人部屋
修一「なあ、クリスマスイブはどうするんだ?」
  友人の修一と話しているときふとそんな話題になった。
俺「特に予定はないが・・・・・・。お前みたいに彼女がいるわけじゃないし」
修一「だったら、クリスマスイブに街コンに行ってみるのはどうだ?」
  修一は笑いながらそう言った。
俺「なんでそんなピンポイントな時期に街コンに行くんだよ」
俺「まるで女に飢えてるみたいじゃないか」
修一「それがアカンねん」
  急に関西弁になる修一。
修一「自分から行動起こさんかぎり何も変わらんで」
修一「しかもイブに街コンに来てるような女は遊びやサクラで参加してるわけやなくて本気度が高いはずや」
修一「正直狙い目だと思うで」
  修一は自信満々に語る。
俺(でも筋が通っているような気もするな・・・・・・)
俺「じゃあ・・・・・・参加しようかな」
修一「よく言った!結果楽しみにしてる!」

〇カラオケボックス(マイク等無し)
  結果は惨敗だった。
  こうしてカラオケボックスにいるのは、街コン会場を1人で後にし繁華街を歩いて
  いたところ、
  街行く幸せそうなカップルにいたたまれなくなり、避難して来たのだ。
  アプリのメッセージ通知が来る。修一からだ。
  どうだった?
  俺はこう返す。
  大炎上
  これで失敗したことが分かるだろ。
俺(歌いすぎて喉が痛い・・・・・・)
俺(飲み物取ってくるか)

〇マンションの共用廊下
  飲み物を取りに行く途中女性とすれ違う。
  綺麗目な印象を受けたものの、泣いているようにも見えた。
  彼女は通り過ぎた後、俺の部屋の斜め前に入っていった。

〇マンションの共用廊下
  飲み物を取り部屋に戻る途中、先ほど通り過ぎた女性の部屋の前を通ると、大音量で歌が聞こえてきた。
  少しドアが開いているせいもあるだろうが、理由はそれだけでない。
  大声で叫んでいるからだ。

〇カラオケボックス(マイク等無し)
女「――――――――――――!♪♫#@%$」
  ・・・・・・要約すると女性はクリスマスイブの今日、振られたらしい。
俺(あまり部屋の前で聞き耳を立てるのはやめよう・・・・・・)
  そう思い、部屋に戻ろうとしたとき・・・・・・
女「!!」
  彼女と目があってしまった。
  マズいと思い、そのまま立ち去ろうとしたが・・・・・・
女「なに、なんで見てるの?」
  女性は少し怒ったような口調で話しかけてきた
  マイク越しなので声も大きく、正直すくんでしまう。
俺(ヤバい、明らか怒ってる。どうしよう)
  パニックになっていたそのとき、急に友人の言葉が思い浮かぶ。

〇一人部屋
修一「自分から行動起こさんかぎり何も変わらんで」

〇カラオケボックス(マイク等無し)
俺「・・・・・・良かったら僕と一緒にカラオケしませんか?」
  次の瞬間、俺はそう言っていた。
女「!?」
俺(しまった!)
俺(今はこんなセリフのカードを切るときじゃない)
俺(というかそんなセリフ言う度胸があるなら さっきの街コンでやれやあああああ)
  言った本人が動揺していると、女性がこちらへ向かってきた!
俺(ヤバい殴られる!?もしくは警察か店員へ通報!?)
  留置所でクリスマスも覚悟したその時・・・・・・
  彼女は俺の手を引っ張り、部屋に招き入れた。

〇カラオケボックス
  そこからお互い失恋ソングを歌いあう奇妙なカラオケ大会が始まった。
女「どうしてわたしじゃない~♪」
俺「それでも僕は君を忘れないよ~♪」
  正直、女性とカラオケなんて初めてで緊張しっぱなし。
  でももう行くしかないというノリだけだった。

〇カラオケボックス
  ひとしきり歌った後彼女と少し話をした。
  今日失恋したこと。
  大好きだったこと。
  誰かに慰めてほしかったということ。
  俺も友人の勧めで街コンで大爆死したことを伝えると・・・・・・
女「その友達も理にかなったようなこと言ってるけど、なかなか無責任だね」
  そう笑ってくれた。

〇カラオケボックス
  部屋の電話がなった。終了時間らしい。
女「じゃあ出ましょうか」
  彼女はそう言って立ち上がる。
俺「あ、もし良かったら・・・・・・」
  俺は彼女の方を見つめ
俺「今日この後もデートしませんか?」
  普段なら積極性がない俺が、スムーズに言えるセリフではないが、そう言っていた。
女「いいですよ。どこに行きましょう?」

〇ネオン街
  俺と彼女は繁華街を歩くカップルと同化した。
  数時間前では想像つかない逆転サヨナラ満塁ホームランだ――。

〇駅前広場
  1年後
  デートのため駅前で彼女を待つ俺。
  今日は12/24、クリスマスイブだ。
「お待たせ、待った?」
  そう言って彼女がやってくる。
俺「いや、待ってないよ。じゃあ行こうか」
  彼女と手をつなぐ俺。
梢「今日も寒いね~」
  そんなことを言いながら2人で歩く。

〇雑居ビル
俺(思えば1年前もこの繁華街を「別の」女性と歩いていた)
俺(あの後も何回か会ったりしたが、次第に疎遠になってしまった)
俺(「あの日傷心した男女」というのが2人を引き寄せていただけで、運命の人というわけではなかったのだろう)
俺(でもあの日彼女の前で行動を起こしたことで、俺は積極的に動けるようになった)
俺(そうして俺は今こうして彼女ができ、2人で歩いている)

〇ネオン街
  あの日行ったカラオケボックスの前を通る。
俺「あれが俺へのクリスマスプレゼントだったんだな・・・・・・」
梢「え、何か言った?」
俺「いや、別に」
梢「変なの」
梢「まあいいや、今日はずっと一緒にいるんだから!」
  そう言って彼女は笑う。
俺「そうだね」
  そう、
  クリスマスはまだ始まったばかり――。

コメント

  • カラオケ店で出会った女の子とカップルにならず、新しい恋を見つけたところにより作者からのメッセージを感じました。誰でも一歩踏み出す、勇気と努力は必要ですね!

  • てっきりカラオケの女性と付き合っているのかと思いました。笑
    でも、あれはきっかけのひとつで、自分から話しかけることができるようになって、今の彼女とカップルになれたんですよね。
    いいお話でした。

  • 色々逆転が多い展開でとても楽しかったです!
    完全にカラオケのあと付き合うことになる展開だと思ったのに!浅はかでした…。
    でも女性と楽しく話せる自信が付いたのが、一番のプレゼントですね!

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