狩猟本能に目覚める女(脚本)
〇睡蓮の花園
吸血鬼「・・・」
吸血鬼「こんなところまで追ってくるのね」
ハンター「はい。私はハンターですから」
吸血鬼「そんなに私の命が欲しい?」
ハンター「はい。私はハンターですから」
吸血鬼「・・・」
吸血鬼「あなたの血は不味そうね」
ハンター「はい。私はハンターですから」
吸血鬼「はぁ」
吸血鬼「そもそも血が流れてないじゃない」
ハンター「はい。私はハンターですから」
吸血鬼「あなたたちには最新のAIが組み込まれてるはずだけど・・・」
吸血鬼「どうしてこう、まともな受け答えができないのかしらね」
ハンター「はい。私はハンターですから」
吸血鬼「バグってるんじゃないの?」
ハンター「はい。私はハンターですから」
吸血鬼「・・・」
吸血鬼「殺さないの?」
ハンター「はい。私はハンターですから」
吸血鬼「意味が分からない」
吸血鬼「じゃあ何のために私の後を追うの?」
吸血鬼「・・・って聞いても無駄か」
ハンター「はい。私はハンターですから」
吸血鬼「はぁ」
吸血鬼「いっそのこと、殺してくれたらいいのに」
ハンター「・・・」
吸血鬼「何のために生きてるのか、分からなくなるのよね」
吸血鬼「あなたもそう感じることはない?」
ハンター「いいえ。私はハンターですから」
吸血鬼「はぁ」
吸血鬼「・・・ん?」
吸血鬼「今、「いいえ」って言った?」
ハンター「はい。私はハンターですから」
ハンター「自分の役割を果たすために存在しています」
吸血鬼「・・・」
ハンター「あなたも吸血鬼なら、吸血鬼の役割を全うすればいいのでは?」
吸血鬼「・・・役割って」
吸血鬼「あなたたちロボットと違って、私はそう簡単に割り切れないの」
ハンター「・・・」
吸血鬼「人を襲うのが私の役割・・・」
吸血鬼「でも、そこに喜びを見出せないのなら生きる意味がない」
ハンター「でも、血は美味しいですよね?」
吸血鬼「ただの食事よ」
吸血鬼「どんなに美味しい血を飲んでも、それが生きる理由にはならないわ」
吸血鬼「・・・って、話せるなら最初から話しなさいよ」
ハンター「ごめんなさい。私、コミュ障なので」
吸血鬼「AIにもコミュ障とかあるのね」
吸血鬼「大丈夫なのそれ? 役割的に」
ハンター「はい。私はハンターですから」
ハンター「ハンターに対話機能は必要ありません」
吸血鬼「可愛らしい見た目も必要ないと思うけどね」
ハンター「はい。私はハンターですから」
吸血鬼「で? ハンターなら私を狩るんじゃないの?」
ハンター「・・・」
ハンター「ハンターに生殖機能はありません」
吸血鬼「何の話・・・?」
ハンター「生殖機能があれば」
ハンター「私という「個」に囚われず」
ハンター「「種」として、存在することができるのに」
吸血鬼「やっぱりあなた、バグってない?」
ハンター「私も吸血鬼になりたい・・・」
ハンター「お願いです。私を眷属にしてください」
吸血鬼「・・・」
吸血鬼「血の通わないあなたが、どうやって私に血を捧げるの?」
ハンター「・・・」
吸血鬼「眷属の資格は純潔であること」
吸血鬼「でもあなた、それ以前の問題じゃない」
ハンター「純潔ですよ」
ハンター「だって・・・私は」
吸血鬼「は?」
ハンター「あなたに初めてを捧げると決めていたから」
吸血鬼「うっ・・・」
ハンター「もう我慢できません」
ハンター「前戯は終わりです」
「ゔっ」
「ゔぁっ」
「ぁっ」
ハンター「いただきます」
吸血鬼「・・・」
吸血鬼「血を吸いたい」
吸血鬼「眷属が欲しい」
吸血鬼「・・・これが「本能」」
ハンター「討伐対象発見!」
吸血鬼「ぐは」
ハンター「任務完了! 今日もお仕事、お疲れ様!」
バグってこそAI!しかし弱かった!
😇😇😇😇😇
放送禁止ギリのやつキターー!😂
でもワンシーンショートは面白いし隙間時間にピッタリで重宝するんだけど、正直得るものや残るものがなくてイマイチ乗りきれない…と思ってたので、こういう喉笛狙ってくる狂犬みたいな作品を読めたのは救われた気分になりました🙏
タイトルの女はそっち(も)かぁ
吸血鬼とAI、両極のようでいてどちらも永遠じみて生と種の保存の喜びを知らなそうな存在…予想外に奥深い取り合わせでした