読切(脚本)
〇マンションの非常階段
うららかな春の日差しが
あたたかく心地よい昼下がり。
小さな家のリビングにいる女性がこの物語の主人公。
ワタシ「私はとっても幸せな女なの! お話し聞いてくれるかしら?」
自分を幸せな女だと
そういう彼女は話し続ける。
ワタシ「あのね、このお家は小さいけれど家族と暮らすのにはちょうどいいお家。 そこに住めている私は幸せ!」
ワタシ「お仕事もやりがいがあるの。 みんなが頼ってくれるし、 やれることもたくさんあるの!」
ワタシ「旦那もね、お仕事は忙しいけれど、 ちゃんとお休みの日は家事を手伝ってくれるし、デートだってしてくれるの」
ワタシ「そうね・・・何かあるとすれば こどもが居ないってことだけど、 でも授かりものだし、 夫婦二人水入らずってのも素敵な時間」
ワタシ「ね? 私ってとっても幸せでしょう☆」
これは遠くて近い
茜色のオフィスの話
職場の女性「アノヒトって誰でもできることしかできないから 雑用しかお願いできないんですよね」
綺麗な女性「ん-・・・それでも 居なかったら困るから、ね??」
職場の女性「それはそうですけど・・・ でもいないよりはいいくらいで・・・ もっとできる人だったらいいのに」
綺麗な女性「でもいないよりはいたほうがべん・・・ うぅん、どんな人だってできることを精一杯するのが大事でしょ?」
職場の女性「あー先輩だって今便利って言いかけましたよねー?」
綺麗な女性「ん-もう。まぁ仕方ないわね。 でも、あんまり言っちゃだめよ?」
職場の女性「はーい! じゃぁ今日は帰って、明日はアノヒトにいろいろやってもらってメインの仕事を頑張りますねー!」
オフィスの中の会話が終わり
ふわりと画面が切り替わる
日の沈んだ繁華街
夜の町の一角に
一組の男女
綺麗な女性「待たせたかしら?」
???「いいや、全然待ってないよ。 今日も残業だって言ってるから ゆっくりキミとの時間を過ごせるよ」
???「それに、 この前の日曜日は家事手伝ったし。 問題ないよ」
綺麗な女性「そんなこと言って。 バレたら大変なんじゃないの?」
ダンナ「別に何も問題ないよ。 それに・・・もう何年も何もないのに 愛が続いているって思っているのも不思議だよ」
ダンナ「それにそろそろ離婚の準備も整うから こうやってゆっくり夜に話すだけの関係もそろそろ終われるよ」
綺麗な女性「そうなの? それはうれしいわ。 あと少ししたら、あなたとちゃんと愛し合えるのね。楽しみよ」
ダンナ「うん、僕も楽しみだよ。 とはいえまだ今夜はこうやって ゆっくりと食事と会話を楽しもうね」
2人は
夜の繁華街の中
小さな洋食店へと入っていった。
ほんとうに
ワタシという女性は
「しあわせなおんな」
ですね
「しあわせなおんな」=「知らぬが仏」「おめでたい人」というお話でした。「職場の女性」も「綺麗な女性」も別の人や別の角度から見れば「しあわせなおんな」かもしれないし、読者だって例外ではないでしょうね。このストーリーの怖さは「明日は我が身」ではなく「既に我が身」のところかもしれません。
人の幸せが自分の幸せとも限らないし、その大きさも人それぞれですよね。私は幸せなんてずっと続かないもので、でも一度でも最高の幸せを感じられたら本望だと思っています。彼女に【しあわせ】のままいてほしいですけど。
なるほど・・・そっちの幸せな方だったのですね・・・
今後どうなっていくんですかね・・・
今後色々あるとは思いますが、試練を乗り越えて、一皮剥けて、本当の幸せな女になってほしいなぁーなんて思ってしまいました!!