一生クイズを出してくる女

りるか

答え合わせはいつも待ちぼうけ(脚本)

一生クイズを出してくる女

りるか

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〇白
藍子「謎々です。1番北にある県はどこでしょうか?」
藍子「正解!『青森県』でしたー!」
藍子「『北海道』は県じゃないからね!流石にこれくらいはわかるか」
藍子「続いて第二問。キツい女が合体すると何になるでしょうか?」
藍子「時間切れよ。正解は『桜』」
藍子「『木』『ツ』い『女』。ほらね」
藍子「えっ。この間見に行った?満開だった?」
藍子「もー。この間って、一体いつの話してるのよ。とっくに過ぎてるわよ」
藍子「じゃあ次は、あるなしクイズ」
藍子「『ドン』にはあるけど、『リーダー』にはない」
藍子「『インナー』にはあるけど、『下着』にはない」
藍子「『に』にはあるけど、『ぬ』にはない」
藍子「さぁ、あるの共通点は何?」
藍子「えっ、わからない?ヒント?」
藍子「じゃあもう1つ」
藍子「『目星』にはあるけど、『検討』にはない」
藍子「さぁ、どうかしら」
藍子「ふふっ。お手上げね。いいのよ、大事なのはこうやって脳みそを鍛えることなんだから」
藍子「正解は、あるの方に『う』をつけると食べものになること」
藍子「うどん、ウインナー、ウニ、梅干し」
藍子「って、何だか旧に梅干しが食べたくなってきた?」
藍子「もう。ご飯ならさっき食べたばかりでしょ?」
藍子「じゃあ、最後の問題よ」
藍子「今までのクイズの答えを全部思い出して」
藍子「あの日、あなたが私に言ってくれた言葉はなんでしょうか」
藍子「──そうよね。覚えてないわよね」
藍子「ちょっとだけ、期待しちゃったの」
藍子「ちゃんとわかってた・・・はずなのになぁ」
藍子「ねぇ、今の私は、あなたにどう映ってるのかしら」
藍子「もしかして、学生時代の頃にでも見えていたのかしらね」
藍子「あなたが認知症になってから、こうやって毎日クイズをしてきたけど」
藍子「やっぱり、そう都合良く回復はしないわよね」
藍子「何を夢みたいなこと言ってんだろうね。変なこと言ってごめんなさい」
藍子「また、明日も来るからね」
藍子「──えっ」
藍子「随分と昔に、花見を・・・した?」
藍子「まだ寒い時に、ブルブル震えながら梅干しのおにぎりを食べた・・・?」
藍子「お弁当に入ってたタコさんウインナーが、本当はすごく美味しかった」
藍子「とても大事な人と過ごした。だから思い出せた」
藍子「本当にあなたは、いつも言うのが遅いのよ」
藍子「あの時だって、そうだったのよ。あなたの一言を、ずっと待ってたんだから」
藍子「お陰様で、待つのに慣れちゃったじゃない」
藍子「もう、謎々の答えは言えるわよね」
藍子「正解!!」
  完

コメント

  • クイズからのまさかの展開に驚きました!クイズを出題する藍子さんは、そして出題される人物は、、、と考えていたのですが、想像の何倍もステキなストーリーでした!心にジンッときちゃいました!

  • ありがとう❤️😊

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