読切(脚本)
〇謁見の間
勇者「いい加減にしろって何度言えばわかるんだ!?」
魔王「そんなに恐い顔をしてどうしたの?」
勇者「惚けるな! いつも俺が行くところに現れて何のつもりだ!?」
魔王「何って、あなたに会いたいからに決まってるでしょ?」
勇者「ふざけるな! お前が立場を考えずに現れるせいでお前の仲間だと勘違いされるようになったんだぞ!?」
勇者「せっかく聖剣に選ばれて勇者になれたのに今じゃ魔王と結託した史上最低の勇者扱いだ」
勇者「この責任をどう取るつもりだ!?」
魔王「だから私が結婚してあげるって言ってるじゃない」
勇者「そんなことできるわけないだろ!」
魔王「できるわよ。だって私たちはこんなに愛し合ってるもの」
魔王「そういえばこの間あげたチョコは食べてくれた?」
勇者「あんな訳の分からない毛が生えたチョコ食べられるわけないだろ! 一体何を混ぜたんだ!?」
魔王「私の髪の毛に決まってるでしょ?」
勇者「チョコに髪の毛を混ぜる決まりなんてあるか!」
魔王「血とどっちにしようか悩んだけど、やっぱり血は口移しで飲ませたいなって思って」
魔王「きゃー!」
勇者「何がきゃーだ! お前とまともな会話はできそうにないな!」
勇者「今日こそ俺の聖剣でお前を討つ!」
魔王「どっちかと言うと魔剣じゃないそれ?」
勇者「問答無用!」
魔王「ああ、怒ってるあなたも素敵よ」
勇者「何故だ!? 何故いつもダメージを与えることができないんだ!?」
魔王「もう、せっかく二人きりなんだからこっちの聖剣じゃなくてあっちの聖剣を振り回してよね」
勇者「聖剣にあっちもこっちもあるか!」
勇者「ぐわー!!」
魔王「嫌だ、ごめんなさい。そんなに強くしたつもりはなかったんだけど」
勇者「くっ、全部お前のせいだ」
勇者「お前が行く先々に現れるから仲間もできない。魔物と戦ってレベル上げもできない」
勇者「聖剣に振り回される人類を裏切ったレベル1の勇者。それが俺なんだ」
勇者「俺はこれからどうすればいいんだ」
魔王「そんな顔しないで。ほら私をよく見て」
魔王「あなたはもう何もしなくていい。私のことだけを考えていればいいのよ」
勇者「何も、しなくて、いい・・・・・・?」
魔王「そうよ。あなたが望むことは私が何でもしてあげる」
勇者「それで俺は、楽になれるのか?」
魔王「もちろん。さあ、望みを言いなさい」
魔王「私の血を口移しで飲ませてほしい。そうでしょ?」
勇者「それは普通に嫌だわ」
魔王「そ、そんな!? 私の魅了魔法が効かないなんて!」
勇者「やろうとしてることが狂気に満ちてるんだよ。せっかく可愛いのに台無し──」
魔王「!」
勇者「し、しまった!」
魔王「もう! そういうことは先に言ってよ!」
魔王「ベッドはこっちよ。ほらおいで!」
勇者「いや、今のは違くてだな」
魔王「チョコも用意してるから、ほら!」
勇者「いやチョコはもういいわ!」
このあと滅茶苦茶セックスした。
勇者「してたまるか!」
勇者と魔王を(一方的に近い)恋愛のようにするアイデアがとても面白かったです!
ストーリーも読みやすくて満足感がありました!
魔王と敵対するのも大変ですが、好かれるのも大変ですね……。
史上最低の勇者扱いされてしまっていますが、この勇者がいれば魔王が敵対しなさそうなので、実はありがたい勇者なのかもしれないなと思いました。
敵対しているということは、しょっちゅう相手のことを考えて分析して、いつも相手の居場所を探っているということだから、やってることは実は恋愛と物凄く似てるんですよね。第三者から見たら聖剣だか魔剣だか知らんけど勝手にイチャイチャしてろ、って感じで面白かったです。
チョコに自分の毛を混ぜたり血を口移ししようとしたり過激な愛がおもしろかったです!
私は、そこまではしないけれど、結構重いタイプなので魔王の気持ちが理解できる気もします😂❤️🩹