〇教室
　　ー女子高生が教室で一人寂しく泣いている。泣き虫な私だ。水のように蒸発して、消えて無くなってしまいたい。
　　そんな事を思っていると、理科の矢部先生がやってきた。何かを言われると涙が出てしまう私と話なんかできるわけないのに。
矢部先生「斉藤、どうした？」
斉藤「先生、私・・・泣」
矢部先生「落ち着いて、深呼吸して話してみな」
　　私は深呼吸をした。そうしたら、状況が段々と整理できた。
斉藤「実は私、風間に振られて・・・」
矢部先生「そうだったのか・・・」
斉藤「風間に振られたは良いんだけど、その事で風間から脅されて・・・グループラインにも載せられて・・・」
矢部先生「先生が何とかしてやるよ。だから今日は、もう帰れ。いいな？」
斉藤「はい」
　　私は翌日から学校に行けなくなった。風間と目を合わせるのも嫌だし、みんなとも目を合わせるのが怖くなってしまったからだ。
　　そんなある日、先生から電話がかかってきた。
斉藤「もしもし」
矢部先生「もしもし、斉藤か？」
斉藤「はい・・・」
矢部先生「ちょっと、外出てみないか？」
斉藤「え、でも皆んながいると気まずいし・・・」
矢部先生「見た感じ、いなさそうだけどな」
斉藤「先生、今どこに居るの？」
矢部先生「お前ん家の真ん前」
斉藤「え...えぇ!?」
矢部先生「まじよ？ほら、カーテン開けて見てみな」
斉藤「本当た」
矢部先生「いや、お前びっくりしすぎw LINEじゃ無いんだからw 「本当た」ってwww」
斉藤「いや、誰でもびっくりするでしょ」
矢部先生「まあ良いや、早く来い。 寒いんだよ。こっちは」
　　私は階段を駆け降りて、先生の所へ行った。
斉藤「先生っ」
　　そこに先生の姿は無かった。
　　それが何日も続いたが、先生の姿は毎回見えなかった。
　　事実を確認しようと思って事実を確認すると、学校に行ってみた。
　　そうすると皆んなが一斉にクラッカーを鳴らして、「お帰りなさい」と言ってきた。
斉藤「え...？ あ、えっと、先生は？」
加代「あんたの隣にいるよ」
矢部先生「おはよう」
斉藤「わあ！びっくりした！」
加代「作戦、大成功だね」
　　そんな謎なことを皆んなが次々に言い出した。
斉藤「どういうこと？」
矢部先生「お前が帰ってくるために、どうしようか皆んなで考えてたんだよ」
風間「お、俺、脅したりなんかしてごめん」
斉藤「許さない」
風間「え、あ、そうだよね...」
斉藤「って言っても事実は変わらないわけだし。傷ついたけど、謝ってくれたのも事実だから、許す」
斉藤「謝ってくれてありがとう」
風間「うん...泣」
　　彼の目には、涙が溜まっていた。
矢部先生「じゃあ、朝礼始めるぞー」
斉藤「はーい」
　　こうして泣き虫な私の涙はどこかへ蒸発してしまったのだった。