花。~オレにだけ見える花を咲かせている女の子がいました~

いとはと

[5-3](脚本)

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〇黒

〇階段の踊り場
???「凛!」
教師「大丈夫か!?」
知史 (さとし)「平良!」
平良 (たいら)「知史?」
  思わぬ知史の姿に平良は目を瞬かせる。
知史 (さとし)「なんか騒がしいと思ったら・・・マジか」
  言われて初めて、周囲に人が集まっていることに気がついた。
  さっきまではこんな状況ではなかったはずなのだが、誰かが気づいて一気に広がったのかもしれない。
知史 (さとし)「!!」
知史 (さとし)「おい、どうしたんだよ・・・」
  知史が服についた血に気がついたのか、顔を強張らせて平良へと駆け寄って来た。
  知史も体操着のままなところを見るに、おそらく保健室で別れた後、平良を捜していたのだろう。
  あの時は平良も動揺していた。その様子に放っておけないと思ったのかもしれない。
教師「おい、大丈夫か?」
平良 (たいら)「あ、はい これは鼻血なんで・・・」
教師「頭は?階段から落ちたって聞いたが・・・」
平良 (たいら)「特に強く打った感じはないです」
教師「そうか」
教師「歩けるのか?」
平良 (たいら)「はい」
教師「お前は?」
知史 (さとし)「クラスメイトです」
  平良も知史も顔は知っているが直接習ったことはない教師だ。
  名前もよく覚えていない教師に、知史はぽんと肩を叩かれる。
教師「保健室まで付き添ってやってくれ」
知史 (さとし)「はい」
  知史が即答すると、教師はその場を離れ、凛達に声をかけ始めた。
平良 (たいら)「・・・・・・」
平良 (たいら)「・・・肩」
  教師が離れていった後、平良は知史へと体を寄りかからせる。
知史 (さとし)「わ!なんだお前!」
平良 (たいら)「肩、貸してくれ」
知史 (さとし)「・・・鼻血、まだ出てんのか?」
平良 (たいら)「”また”出たんだ」
知史 (さとし)「あ~ついた~」
平良 (たいら)「・・・して欲しいことがあったら言えって言った」
知史 (さとし)「それ言うならお前、ないって言ったよな?」
平良 (たいら)「今出来ました」
知史 (さとし)「・・・ったく、お前は・・・」
平良 (たいら)「・・・保健室に行きたい」
平良 (たいら)「ひとりでも多分歩けるけど、足がちょっと」
知史 (さとし)「・・・階段、落ちたのか?」
  聞きつけた騒ぎとやらが「誰かが階段から落ちた」だったのか、今しがた教師がそう言ったからなのか、
  事実確認をしてくる知史の声は、いつもより少し低いトーンだった。
平良 (たいら)「落ちた」
  隠す意味もなく、平良は頷きながらそう答える。
知史 (さとし)「なんで ───」
知史 (さとし)「って、ああ・・・」
  知史の視線が、友達に付き添われて教師と話す凛へと向いた。
  ちょうど、教師と話し終えたらしい。
平良 (たいら)「─── あ、そうだ」
平良 (たいら)「彼女も一緒に行くから」
知史 (さとし)「あの子もケガしたのか」
平良 (たいら)「いや多分、怪我の方は・・・分からないけど」
知史 (さとし)「?」
凛 (りん)「喜多川くん・・・」
平良 (たいら)「保健室に行こう、里見さん」
凛 (りん)「うん・・・」
???「凛、ごめんね!」
???「あたしがスマホばっか見てて、具合悪いって気づかなかったから・・・」
凛 (りん)「ううん」
凛 (りん)「動画を見たいって言ったのは私だし」
???「でも、すぐ出せてたら・・・」
凛 (りん)「気にしないで」
凛 (りん)「私こそ、具合がおかしかったのに言わないでごめんね・・・」
???「びっくりしたよ~」
???「ひどい怪我しなくて良かった」
???「でも、顔色悪いよ」
???「行こう、保健室」
凛 (りん)「うん、ありがとう」
  ちらり、と凛がこちらを見た。
  平良はその視線に頷いて応える。
平良 (たいら)「・・・・・・」
知史 (さとし)「嬉しそうだな、お前」
知史 (さとし)「・・・なるほど、あれが里見さんなわけね」
知史 (さとし)「─── はあ」
知史 (さとし)「はいはい、わかりました」
知史 (さとし)「おら、支えてやるから歩け」
知史 (さとし)「鼻はしっかり押さえとけよ」
平良 (たいら)「ん・・・でも、もう止まったかも」
知史 (さとし)「そりゃ良かったな」
教師「ほら、お前達はもう教室に戻りなさい!」
知史 (さとし)「先生!オレ達、保健室に行きますね!」
  野次馬な生徒達に声をかける教師に、知史は4人分の動向を伝えた。
教師「─── ああ、頼む。私も後で行くから」
知史 (さとし)「行くぞ、平良」
平良 (たいら)「ああ ─── 頼む」

〇黒

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