最果てのアイランド

YO-SUKE

第六話「脱出(前編)」(脚本)

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〇牢獄
花笠亮平「くそっ! 舞が連れて行かれた!」
花笠海斗「恭介は、舞のことを清めるって・・・ 生贄になるのは明日の朝だって言ってた」
花笠海斗「それまでになんとしても助け出そう」
花笠亮平「でもどうやってこの牢を出るんだ」
花笠海斗「何か・・・なんでもいい・・・ 脱出に使えそうなものはないかな?」
花笠亮平「お前たちが来るまでに散々探したさ」
花笠亮平「あるのはあそこに転がっている 白骨死体だけだ」
花笠海斗「白骨死体・・・?」
花笠海斗「うわ・・・本物だ・・・ 調べたの?」
花笠亮平「調べるか。 おれはオバケの類が大嫌いなんだ」
花笠海斗「オバケって・・・大げさだなぁ」
花笠海斗「ねえ、それよりこの人の胸ポケット見てよ 何かある」
花笠亮平「やめろ! 呪われるぞ」
花笠海斗「ったく、オカルト小説の 読みすぎだから・・・ よっと──」
花笠亮平「ああっ! 舞といい、最近の若い奴は 怖いもの知らず過ぎる・・・」
花笠海斗「これ・・・メモ帳だ! すごい・・・二十年くらい前のものだよ。 日記みたいなのが書いてある」
花笠亮平「何?」
花笠海斗「〇月×日・・・さすがにもうダメだ。 麻衣子を助けられないまま朽ち果てるなんて、俺ほど情けない親父はいないだろう」
花笠亮平「麻衣子・・・名前にマイがあるな。 もしかしてこの白骨死体も、生贄に 選ばれた娘を助けようとしてここに──」
花笠海斗「お父さん、これ見て! 地図が書いてある! これ多分、ここの地図だ」
花笠亮平「なんだと!?」
花笠海斗「いつか自分と同じようにここに捕まった 人のためにこれを残す・・・だって。 ほら、ここ読んでみて」
花笠亮平「・・・生贄になる前に、洞窟内の小さな 泉で身体を清める風習がある・・・」
花笠亮平「ここなら警備も手薄で抜け道もある ・・・か」
花笠海斗「舞を助けるチャンスだよ!」
花笠亮平「ああ、だが問題はこの牢をどう抜けるか、 だよな」
花笠海斗「うまくいくかはわからないけど・・・ 試してみたいことがあるんだ」
花笠亮平「試してみたいこと?」

〇牢獄
花笠亮平「だ、誰か!! 誰か来てくれ!!!」
門番「何してる?」
花笠亮平「む、息子が急に倒れたんだ! 頼む、助けてくれ!」
門番「ふん。どうせお前たちはそこの 白骨死体と同じ運命になるんだ」
門番「今更助けたところで意味などない」
花笠亮平「今日は何月何日か知っているのか?」
門番「当然だ。今日は6月5日。 そして明日は6が並ぶ」
門番「この島で最も忌むべき日に お前の娘を生贄に捧げ、浄化するのだ」
花笠亮平「もう日付をまたいで、今は6日だ」
門番「!」
花笠亮平「こんな日に生贄以外の死者を出したら 生贄の儀式が穢されるんじゃないか?」
花笠亮平「お前がマイ様に祟られるかもしれないぞ」
門番「くっ・・・!」
花笠亮平「早く! 息子が危ない!」
門番「手間のかかるやつらだ!」
  鍵を開けて中に入って来た門番に
  海斗が突然起き上がりしがみつく。
門番「なにっ!?」
花笠海斗「お、お父さん、今だ!」
花笠亮平「うわぁぁぁぁぁ!!!」

〇暗い洞窟
花笠海斗「ね! うまく行ったでしょ!」
花笠亮平「あ、あんなことは二度とごめんだ!」
花笠亮平「俺はガ、ガ、ガイコツの頭で 人を殴ったんだぞ!」
花笠海斗「大丈夫だよ。 あそこで死んだ人も逆に浮かばれるって」
花笠亮平「くっそ~、舞を助けるためとは言え、 なんでこんなことに」
花笠海斗「そんなことより、この地図の通りなら、 もうすぐだよ。急ごう」

〇滝つぼ
花笠舞「はぁ・・・最悪。なんでこんなところで 身体を洗わなくちゃいけないわけ?」
見張り「素早くお体をお清めください。 夜明けは近づいています」
花笠舞「うるさいわね。分かってるわよ」
見張り「向こうでお待ちしています」
  壁面の高い場所にある横穴から
  亮平と海斗が顔を出す。
花笠海斗「舞!」
花笠舞「お兄ちゃん! お父さん! なんでそんなところに?」
花笠亮平「シー! 静かに。近くに見張りはいないか?」
花笠舞「多分、大丈夫。 ここに来るまで一本道だったし、さっき 向こうの入り口のところに行ったから」
花笠海斗「よし。ならこっちから脱出しよう。 なんとかしてここまで登るんだ」
花笠亮平「どっかに梯子とかロープとかないか?」
花笠舞「そんなのあるわけないじゃん!」
花笠海斗「どうしよう・・・」

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