Distorted

びわ子

注がれるグラス(脚本)

Distorted

びわ子

今すぐ読む

Distorted
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇空

〇綺麗なダイニング
深井 緑(ミドリ)「雨、強くなってきましたね・・・」
深井 緑(ミドリ)「どうぞ・・・」
甘味 橙吾(トウゴ)「いや、すいませんね」
多賀 一 (タガ ハジメ)「ありがとうございます」
多賀 一 (タガ ハジメ)「・・・甘味さん本当に話していいんですか」
深井 緑(ミドリ)「ご心配なさらずに、大丈夫ですよ」
甘味 橙吾(トウゴ)「ん──、おほん!」
甘味 橙吾(トウゴ)「この度は、ご家族にとって非常に辛い出来事が起きてしまいました」
甘味 橙吾(トウゴ)「今から事件の内容についてお話をさせていただきたいと思います」
甘味 橙吾(トウゴ)「今回はとても複雑で整理するため、 5つの死亡事件に分けてお話しします」
深井 緑(ミドリ)「はい・・・」

〇流れる血
  今回お亡くなりになられた方は
  美空 真白28歳
  赤坂 緋色22歳、木ノ実 黄花20歳
  月島 雪36歳
  炭川 茶助28歳
  双葉 紫音28歳
  以上6名

〇テクスチャ3
  第1の事件
  美空 真白の直接的な死因は農業を営む
  沼田 小豆70歳による轢き逃げです
  旅行前日、散水タイマーの入れ忘れに気づき
  急いで向かう最中に
  何かをハネたと認めています
  しかし、前日に炭川 黒男49歳に真白さんは連れ去られ乱暴されており
  心身喪失状態で路上で解放されて運悪く沼田に轢き逃げされたのです
  炭川 黒男に命令した人物は息子の茶助
  さらに茶助に命令したのが双葉 茶花ですが本人は否定しています

〇綺麗なダイニング
深井 緑(ミドリ)「真白はどこで連れ去られたんですか?」
多賀 一 (タガ ハジメ)「監視カメラの映像を調べた所、丸一日録画が止められた形跡がありました」
多賀 一 (タガ ハジメ)「おそらく、その日に会社駐車場から連れ去られた可能性が高いです」
甘味 橙吾(トウゴ)「監視室のロックを外せるのは監視室の社員と副社長・・・そして社長だけになる」
甘味 橙吾(トウゴ)「社長以外はアリバイがとれているので、ほぼ社長で間違いないでしょう」

〇モヤモヤ
  第2の事件
  赤坂 緋色と木ノ実 黄花の死亡原因は練炭による一酸化炭素中毒
  殺害実行犯は炭川 黒男と息子の茶助
  茶助は緋色と黄花に2人に撮影があると黒男が待つ車に乗せて睡眠薬入りのドリンクも渡していました
  炭川 黒男は茶助の指示で石炭を他県で購入したのがわかっています
  その茶助に指示を出したのは双葉茶香です
  また、この日も監視カメラの映像が無く録画がされていませんでした
  シオンから緋色に『 真白をホテルに連れ込んでる所をみました』と言われ金銭を要求されたのを聞いて
  問題を解決するため茶香が茶助達に殺人を依頼したと言われてます
  ですが証拠がなく、
  こちらも茶香は否定しています

〇綺麗なダイニング
深井 緑(ミドリ)「シオン君は、いつそんな関係に・・・」
多賀 一 (タガ ハジメ)「・・・シオンさんの手記と真白さんの日記を照らし合わせると9/18となっています」
多賀 一 (タガ ハジメ)「その日、灰原 灰斗副社長と赤坂 緋色がホテル”スター☆ゲート”に入室しており、そこで赤坂 緋色に目撃されています」
多賀 一 (タガ ハジメ)「監視カメラに2人に似た人物が隣のホテルに入っていくのが映っているので間違いありません」
深井 緑(ミドリ)「黄花さんは何故殺されたのですか?」
甘味 橙吾(トウゴ)「おそらく毎週、木曜日に木ノ実 黄花と肉体関係になっているのが茶香さんには気に食わなかったのでしょう」
甘味 橙吾(トウゴ)「シオンさんの手記にも何故殺す必要があったのかと書かれています」

〇テクスチャ
  第3の事件
  月島 雪の死因は双葉 シオンに喉を手で絞められたことによる窒息死になります
  加害者は双葉 シオン『性行為の最中に首を絞めて殺害してしまった』と
  本人から双葉 茶香に
  連絡したと手記に書いてあります
  この事件は双葉 シオンの性への興味から殺人につながった事件です
  絞殺後、シオンは茶香に電話をかけているのは通話記録にも残っています
  茶香は茶助を通じ黒男に遺体遺棄を頼んだ疑いがありますが、こちらも茶香は否定しています

〇綺麗なダイニング
深井 緑(ミドリ)「シオン君は月島先生とはどうやって知り合ったのでしょうか・・・」
多賀 一 (タガ ハジメ)「シオンさんは体調が優れない時に月島医院に点滴をしにいってたのは間違いないです」
多賀 一 (タガ ハジメ)「最初は先生と患者の関係でしたが月島 雪はシオンさんの声に魅入られてしまいます」
多賀 一 (タガ ハジメ)「その後、先生から誘われたと書かれています」

〇殺人現場
  第4の事件
  炭川 茶助の死因はナイフによる臓器の損傷の為、呼吸困難での死亡
  現場検証や死亡解剖の結果、本人による自殺と判断されました
  自殺の現場に茶香はいましたが、その場にいたというだけで殺人は否定しています

〇綺麗なダイニング
深井 緑(ミドリ)「自分で自分を刺すなんて本当にできるのでしょうか?」
甘味 橙吾(トウゴ)「私も自殺の現場を長年見てきましたが、あれ程躊躇いがなく胸に突き刺している人間は初めてです」
甘味 橙吾(トウゴ)「余程の覚悟があったのでしょう・・・」

〇不気味
  第5の事件
双葉 紫音(シオン)「双葉 シオンは深井 ミドリさんを庇って 茶香により刺殺されました」
双葉 紫音(シオン)「この件に関しては一貫して双葉 茶香はミドリさんに脅されたと話しています」

〇綺麗なダイニング
深井 緑(ミドリ)「どうしてそこまで・・・」
「・・・」

〇アクアリウム
  最後に──、殺人未遂として
  美空 青さんを襲った炭川 黒男が
  自ら海に飛び込んでますが
  今だに行方不明捜索が続いています
  また美空 青さんはナイフによる
  炭川 黒への軽傷を負わていますが
  正当防衛もあり刑罰の軽減や
  免除になると言われています

〇綺麗なダイニング
深井 緑(ミドリ)「青さん・・・」
甘味 橙吾(トウゴ)「以上です」
甘味 橙吾(トウゴ)「この事から自らの手を下してませんが双葉 茶香が中心にいた事は間違いありません」
深井 緑(ミドリ)「・・・」
深井 緑(ミドリ)「私の・・・」
深井 緑(ミドリ)「私のせいで沢山の方が・・・」
「────」
甘味 橙吾(トウゴ)「シオンさんが残された封筒には 自身の性について」
甘味 橙吾(トウゴ)「そして──母親、 茶香さんの生い立ち、そして──」
甘味 橙吾(トウゴ)「『母さんを責めないで』と書かれています」
深井 緑(ミドリ)「────」
甘味 橙吾(トウゴ)「少し双葉 茶香さんの生い立ちについて 話させていただきます────」

〇山間の集落
  双葉 茶香の母親つるは
  農村で4人姉妹の長女として育つ
  いつもお腹を減らしている様な生活だったが両親を含め家族6人仲良く過ごしていた

〇戦闘機の操縦席(空中)
  そんなある日、
  つるが用を足しに外に出て
  少し散歩をしてから帰ろうと空を見上げると飛行機が飛んでいた

〇農村

〇村の広場
  前触れもなく村々に落とされた爆弾から
  逃げることも出来ず
  空襲による被害によって
  つる1人を残し家族全員の命が奪われた

〇源泉

〇源泉
  焼け残った場所に1人佇むつる──
  同じ様に家族を失った女性と共に街に向かう

〇荒廃した街
  彼女たちは何一つ金を稼ぐ全てが無かった
  ──ただ一つ自分の身体を除いて
  職業を選ぶ権利もなく街で出会った
  胴元によって売春婦となった
  過酷な労働条件や健康リスクにさらされることや、胴元に手を出されることもあった
  つるも、またその犠牲者の1人である
  ──そして茶香を孕った

〇飲み屋街
  やがて、つるは病気を患い
  売春組織から追い出された
  茶香が丁度、16歳の誕生日だった

〇狭い畳部屋
  死ぬ間際、彼女は茶香にこう伝えた
双葉 つる「茶花・・・コレだけは覚えときなさい、 私ら女が男に遊ばれてるのと違う」
双葉 つる「私らの掌で男を遊ばしてることを 忘れないことよ」
双葉 つる「そう考えたら何だってできるし 怖いものは無くなるわ」

〇飲み屋街
  一人になった茶香は
  母親の真似をして生活を始めた
双葉 茶香(チャカ)「お兄さん遊んで行かない?」
???「え!君みたい若い子と・・・」
???「じゃあこれで」
双葉 茶香(チャカ)「いや、これくらいじゃなきゃ 悪いけど他を当たってくれる」
???「うぅ・・・仕方ない・・・」
双葉 茶香(チャカ)「前金ですので」
???「わかったよ」
双葉 茶香(チャカ)「じゃ・・・」
  その後、
  彼女は金を貯めつつ自分を磨いた
  金持ちしか相手にしない
  高級売春婦になった頃
  一人のパトロンと出会う
  それが双葉 シオンの父親である
  シオンの父親は茶香の声に
  魅入られて会社を立ち上げることにした
  それが今で言うタップヴォイスである
  幼き頃から母親の背中を
  嫌でも見て育った茶香にとって
  彼女の中では男に抱かれることなど
  『握手のようなもの』であった
双葉 茶香(チャカ)(嫌いな人間でも 握手すれば意のままに操れる・・・)
双葉 茶香(チャカ)(握手なんてどれだけでもしてやる)
  自らの美貌と声で多くの人を魅了し
  タップヴォイスを大きくしていく茶香
  そんな彼女が26歳の時、未婚の母で出産したことは当時では珍しかった
  だが彼女のパトロン達は手切れ金とばかりに会社に仕事と金を与え離れていく
  そうしてタップヴォイスは
  大企業にも匹敵する会社になったのだ

〇タワーマンション
双葉 茶香(チャカ)「この世の男は私の思い通り・・・」
双葉 茶香(チャカ)「そして、この子も・・・」
双葉 紫音(シオン)「ダァ、ダァ・・・」
双葉 茶香(チャカ)「さぁシオン・・・早く大きくなって私と肉体関係になりましょうね──」

〇綺麗なダイニング
甘味 橙吾(トウゴ)「この事がシオンさんの手記に 書かれていました・・・」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

コメント

  • ささささ最後ーー!!
    ミドリさんには幸せになってもらいたいですー!!😭
    ともあれ、完結お疲れ様でした!

  • 完結お疲れさまでした。
    最後まで、茶香は憎しみから逃れられなかったんですね。明かされた生い立ちから考えると可哀想な面もありますが…。
    茶香が裏の主人公と言ってもいいほど、周りを巻き込んでいたこと、圧巻のラストに胸が締め付けられます。
    グラスに注がれた憎しみの演出が素晴らしかったです!

成分キーワード

ページTOPへ