現実逃避の精霊 

ぽんたろう

最終話『現実逃避』(脚本)

現実逃避の精霊 

ぽんたろう

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〇古いアパートの部屋
  希望の業種とは違ったが
  どうにか就職することは出来た
  だが、現実と理想とのギャップ
  自分の実力の無力さに苛まれる
  日々を送っていた
和泉蓮「ただいま」
和泉蓮「1年近く経つのに、全く仕事覚えられない」
和泉蓮「やっぱ、俺はだめだな」
  しかし、以前のように
  返事をしてくれる同居人はいない
和泉蓮「スーパーの割引の弁当も これで4日連続か」
和泉蓮「前なら手作りの料理食えたんだけどな」
和泉蓮「やっぱり小説を書く気力も残ってない」
和泉蓮「土日は寝て過ごすだけだし」
和泉蓮「寝る時間まで少しあるな」
和泉蓮「掃除でもするかな」
和泉蓮「ん?」
和泉蓮「これって」
和泉蓮「確か、中学の時の設定資料じゃん」
和泉蓮「そういえば、どこに置いたか忘れてた」
和泉蓮「懐かしい」
和泉蓮「見るのなんて何年ぶりだろう」
和泉蓮「恥ずかしくて見れなかったからな」
和泉蓮「痛いな」
和泉蓮「目も当てられんな」
和泉蓮「でも、エネルギーと勢いだけは 一人前だったんだな」
和泉蓮「あの頃は馬鹿みたいに騒いで書いてたな」
和泉蓮「・・・・・・」
和泉蓮「小説を書いてる時の君が好きか」
和泉蓮「小説を書くことを 俺から抜いたら何が残る?」
和泉蓮「・・・・・・」
和泉蓮「何も残らねえよな!」
和泉蓮「やってやろうじゃねえか」
和泉蓮「考えるよりも先に行動して いつも失敗してきただろ!」
和泉蓮「何が怖いんだ!」
和泉蓮「結果なんてどうでもいい 自己満足でもどうでもいい」
和泉蓮「書いてやんよ!」
和泉蓮「見てろよ!」
和泉蓮「立派に現実逃避してやる!」

〇古いアパートの部屋
和泉蓮「頼む!力を貸してくれ!」
中田「久しぶりに連絡してきたと思ったら これか」
和泉蓮「この連休引きこもって 小説を完成させる」
中田「彼女とデートの約束、、」
中田「まあ、後で怒られるからいいよ」
和泉蓮「俺も一緒に土下座する!」
中田「絶対だぞ!」
中田「それで、どんな作品を作るんだ?」
和泉蓮「これだ!」
中田「それって、確か、、」
和泉蓮「そうだ、あのころ 皆で書いた資料だ」
中田「大丈夫かよ」
和泉蓮「これをベースに物語を書く」
和泉蓮「だから、口頭で追加の設定とかを言うから そのまとめと、文章の添削と校正を頼む」
中田「了解」
中田「で、どの賞に投稿するんだ?」
和泉蓮「いや、ネットに投稿だ」
中田「批判が怖いからネットは嫌だって 言ってなかったか?」
和泉蓮「いや、自己満足でいいんだ」
中田「・・・・・・・・・」
中田「なるほど、そういうことか」
中田「とことん付き合ってやるよ」
和泉蓮「ありがとよ!」

〇古いアパートの部屋
  そう簡単に結果には恵まれない
  だけど、和泉は書くことをやめなかった
  ネットの投稿サイトへ
  投稿を続けた
  なぜなら、やはり書くことが好きだからだ
和泉蓮「少しは読者が付いてくれるようになったな」
和泉蓮「意外と批判的なコメントは少ないし」
和泉蓮「なんか知らんけど 前よりも充実してる気分だ」
和泉蓮「仕事も少しは出来るようになったしな」
和泉蓮「やっぱり現実逃避は最高だな!」
和泉蓮「・・・・・・見てるか?」

次のエピソード:エピローグ

コメント

  • 社会人となった和泉くん、誰もが経験した滅入った姿から一転、情熱の滾る姿へと変化ですね!最高の「現実逃避」ができるようになった和泉くん、その一方で精霊さんの姿が気になって仕方ないですね!

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