魔法少女 ミラクル☆マジトロン

タトネ

はじまりは突然に(脚本)

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〇女の子の一人部屋
わたし「・・・・・・だよね! 数学のヤマシタったら、ほんとウケたよねー!」
  いつものように、友達と電話でだらだら話す時間。
  今日あった面白かったこと、ムカついたことをいつものようにユメと共有する時間。
  そんな、わたしの穏やかな日常は
  その日唐突に失われた。
「おい!そこのおまえ!」
わたし「・・・・・・?」
  どこからか、声が聞こえた。
「お前だお前!」
わたし「え? わたし?」
  聞き覚えのない声だ。
  とっさに声のした方を向いてしまう。
  振り返るとそこには、
  3本のツノをもつ、見慣れない小動物が宙に浮いていた。
「説明は後だ! とにかく、ついてきてくれ!」
わたし「えっ?ついていくってどこに?」
  突如現れた謎の小動物と会話できていることの異質さに気づく間も無く、
  わたしのまわりの空間がぐにゃりと歪んだ。

〇東京全景
  気づけば、わたしは夜の上空に浮かんでいた。
わたし「って、えっ!? 空!? 落ちる!!?」
  落下の恐怖に目を瞑るが、
  一向に落ちた感覚がしない。
「安心しろ。 浮遊魔法で浮かんでるから大丈夫だ」
  おそるおそる再び目を開けると、
  さっきと同じくらいの高度で浮き続けていることが把握できた。
わたし「わぁ・・・・・・綺麗・・・・・・」
  イルミネーションされたタワーと、その向こうに見える高層ビル。
  空から見下ろす都会の夜景に目を奪われてしまう。
「いいか、よく聞け。 今からお前には、オレと契約して戦ってもらう」
「契約すると、お前だけのユニークマギカが手に入るはずだ」
「それでヤツと戦うんだ」
わたし「奴? 戦う? 一体何を言ってるの?」
  わたしの視界には、都会の夜景とまんまるなお月様しか見えていない。
「ああ、もう。面倒臭えな! いいから契約だ!」
「オレの言う言葉を一言一句、 間違えずに繰り返せよ?」
  突然の出来事に冷静な判断ができないわたしは、
  言われるがままに言葉を繰り返した。
「天に瞬く星々に誓う。 我、自らを戦女とし、共に魁る者なり」
  言い終えると同時に、
  周囲が眩い光につつまれていく!
  手には光線銃のようなものが握られ、気づけば服装も変わっていた。
わたし「うえっ、なにこれ!? どうなってるの!?」
「契約が成功したんだ! お前は今から、魔法少女だ!」
わたし「え、もしかして、これがさっきのやつ?」
  さっきまで小動物から聞こえていた声が、手元の銃のようなものから聞こえてくる。
「どうやらこれがお前のユニークマギカに合う形態のようだな」
わたし「ユニークマギカ?」
  さっきも言っていたような気がするが、一体何のことだろう。
「お前だけの、特別な魔法のことだよ!」
「・・・・・・習うより慣れろだ! 行くぞ!」
わたし「行くぞ・・・・・・? 何が・・・・・・?」
  そう思って顔を上げると・・・・・・
わたし「うわああああああ!」
  異形の怪物が、タワーに絡み付くようにそこに居た。
「あれが、魔獣だ! ニンゲンには見えないけどな!」
わたし「え、それってもう私、人間じゃないってこと?」
  展開が早すぎてついていけない!
  誰か、実況と解説を!
「そんなことより、 早くあいつを倒さないと!」
「このまま放置したら、 少なくとも日本くらいは滅ぼされちまうぞ!」
わたし「え、そんなヤバいの!?」
  さすがにそれは見過ごせない。
わたし「どうしたらあいつを倒せるの?」
「今のお前は魔法少女として覚醒したはずだ!」
「お前の心に浮かんだ呪文を唱えれば、使えるはずだ!」
「お前の、ユニークマギカが!」
  どうやら、わたしは魔法少女になったらしい。
「オレをヤツに向けて、呪文を唱えるんだ!!」
  こうなったらやけっぱちだ!
  やるしかない!
わたし「マジトロン!フルバースト!」
  その瞬間、怪物はまばゆい光に包まれた。
  遅れて届く音、衝撃波。
  みるみる内に、きれいなキノコ型の雲があらわれ、
  タワーがあった地点には、ぽっかりと大きな穴が空いていた。
「おいおい、まじかよ・・・・・・」
  何が起こったか全く理解できない。
  一つ言えるのは、
  怪物は跡形もなく消え去ったと言うことだ。
わたし「た、倒せた・・・・・・?」
「倒した・・・・・・な・・・・・・」
  戸惑い、呆れるような声音で銃が答える。
わたし「あの穴・・・・・・、わたしがやったの・・・・・・?」
「そうだな・・・・・・」
わたし「・・・・・・やりすぎ・・・・・・た?」
「・・・・・・たぶんな」
  こうして、
  わたしの魔法少女としての初戦闘は終わった。
  多大な被害をもたらしつつも、
  怪物の撃退には成功した。

コメント

  • 吃驚仰天ですよ,正しく!

  • 突然の出来事に巻き込まれた彼女ですが、まさかここまで火力の高い武器だとは思わなかったですよね。笑
    これは地球を守ってるのか、壊してるのかわからない気がします。笑

  • 考える時間すら与えられない状況だったからゆえ、突然の指令にも関わらず思い切りよい采配ができたのでしょうね。日常がいきなり非日常になる様を共感できるファンタジー小説でした。

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