これは、恋愛ストーリー?短編集

ネルネル

3月のクリスマスプレゼント(脚本)

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〇川のある裏庭
太郎「俺は犬である・・・ご飯がまだ来ない」
太郎(最近、朝はバタバタしてるからなー)
「娘「おかーさん! 学校行って来るね 太郎も行って来るね」」
「母「行ってらっしゃーい!」」
太郎(あいよ。頑張ってな)
  朝早いので、吠えずに尻尾を振って見送る太郎
「母「私もそろそろ行かないとね。太郎、今日も朝と昼のご飯用意したからね。間違って両方食べないでね」」
太郎(あいよ)
  これにも、尻尾で答える太郎。太郎の頭を撫でてパートに出かける母親である
太郎(さて、ご飯ご飯)
  ご飯はドッグフードと肉の缶詰が混ぜてあるのと、ドッグフードのみの2つが用意されている。
  太郎は迷わずドッグフードと缶詰が混ぜてあるのを食べた。
太郎(さて、ご飯も食べたしもうひと眠りしよう)
  眠りにつく太郎。眠りから少しして
「父「太郎は寝ているな。そーっと玄関を閉めてっと。それじゃ行って来るよ」」
  ふせの格好で、眠りながら尻尾をゆらゆら振る太郎であった

〇川のある裏庭
「うーん・・・よく眠ったなー」
太郎「・・・・・・ん? 何かおかしい・・・・・・?」
  眠りから覚め違和感を感じる太郎。窓ガラスに映る自分の姿が見え
太郎「・・・・・・ふごー?!! な、な、な、何これ?! えっ誰?!」
太郎「何が起きた?!・・・えっ? 何があった? ん?」
  窓ガラスの前でわたわた慌ていた太郎の足下に1枚の紙が落ちてあった
太郎「紙? あっ文字が読める。なになに」
太郎「『太郎へ これを読んでいるなら、無事に人間になれたようだね」
太郎「日頃頑張っている太郎に、おじさんから少し遅いが、クリスマスプレゼントをあげよう。お爺さんではなくおじさんだからね」
太郎「そこ、1番大事だからくれぐれも間違えないように。では、本日の17時までだけど楽しんでおいで」
太郎「サンタクロースより PS→リビングの、緑色のタンス下から3段目左奥を見てごらん。良いものが、入ってるよ』」
太郎「サンタのおじい・・・?! 今何かの気配が?!・・・サンタのおじさんがしたのか、サンタクロースはパパさんじゃなかったのか」
太郎「それと、タンスの中か・・・家の中に入るには・・・えっと、確かここら辺にあったはず」
  サンタを、お爺さんと言いかけて視線を感じ慌てて辺りを見回す太郎
  だが、直ぐに落ち着きを取り戻す太郎。家の中に入るため自身の小屋に接する縁側の下に入り奥の方に手を伸ばす
太郎「あ、あった。玄関の鍵~では、中に入りますか。靴を脱いでっと、おー視線が高い。リビングの緑色のタンスはあれだな」
太郎「・・・?! これは、お金ってやつか? どうやって使うんだ? 使い方書いてないかな」
太郎「・・・裏に書いてた。どれどれ~~ ふむふむ、ほーーっん?!・・・なるへど~まっ、何とかなるしょ」
太郎「それじゃ行きますか! 玄関と門は鍵をかけて・・・よし! いつも何でか左にしか行かないから今日は右に行ってみよう!」
  満面の笑みで見よう見まねにスキップしながら行こうとして・・・ずっこけた
太郎「痛っった~普段後ろ足で立ったりしてたけど、感覚が違うな。慣れるまで、普通に歩こう」
  スキップは止めて歩きだして太郎。少し慣れては走って転けて、ジャンプしては転けてを繰り返しながら散歩をする太郎である

〇華やかな広場
太郎「こっちにも公園あったんだ」
太郎「おっ、あっちには桜? だっけか。いっぱい咲いてるな。桜かぁ~」
太郎「ご主人が『桜きれい』って言ってたから、人の姿になれば何か分かるかなと、思ったけど・・・・・・よく分からないや」
太郎「わっ?! 何? 花びらが、風がちょっ?!」
  突然、風が強くふいて桜の花びらが太郎の顔にかかった
太郎「はぁ~びっくりした。いったい何・・・・・・が・・・・・・」
  目を開いた太郎の先にあるベンチ。そこに
  1人の女性が座っていた
太郎(・・・・・・はっ?! あれっ? 何で、こんなドキッとしたんだ?! 中身は犬なのに、人の女性になんか)
  慌てる太郎。太郎と女性の視線が合うと
  優しく微笑んだ。その微笑みに誘われるように、顔を赤らめたまま近く太郎
太郎「・・・・・・あの、その、こ、こんにちは」
雪姫「はい、こんにちは。それと、初めまして」
太郎「あっ、初めまして。えっと、俺は太郎って言います」
雪姫「太郎さんと、仰るのね。私は雪姫と申します。そんなに慌てなくても大丈夫ですよ」
太郎「あっ、えっと~はい(・・・・・・会話、会話、何を話したらいいんだろう。)」
雪姫「・・・・・・ここの、桜」
太郎「えっ?! あっ桜? 桜ね、どうかしたの?」
雪姫「私、体が弱くて普段1人で外出したことがありませんの。でも、今日は調子が良くて初めてここの桜を見に来ることが出来ました」
太郎「そうなんだ。でも、1人で外出って体、大丈夫なの?(そう言う俺も、1人は初めてだけど)」
雪姫「お気遣いありがとうございます。大丈夫です。今は桜を眺めておりましたので」
太郎「もしかして、邪魔しちゃった?」
雪姫「いえ、そんな事はございません。お声を、かけて頂いて嬉しかったです」
太郎「グ──」
太郎「わっわっお腹が?!」
雪姫「ふふっ、そう言えばもうすぐお昼ですね」
太郎「もうそんな時間か~! ねぇ良かったら一緒に昼ご飯食べに行かない?」
雪姫「その、お気遣いは嬉しいのですが、あいにくお金を持って来ていませんので・・・」
太郎「それなら、大丈夫! お金ならあるから一緒に行かない」
雪姫「本当に宜しいのでしょうか?」
太郎「全然良いよ。それとも、迷惑だったかな?」
雪姫「迷惑ではありませんわ。ご一緒させて頂きます」
太郎「良かった。行こう!」
  手の平を上にして差し出す太郎
雪姫「はい」
  差し出された手をそっと摑む雪姫。太郎はゆっくり手を引いて雪姫を立たせた
太郎「体、大丈夫? 良かったらこのまま手を持ったまま行く?」
雪姫「はい、お願いします」
  手を繋いだままお昼ご飯を食べに行く二人でした

〇ファストフード店
太郎「えっと、本当にここでいいの?」
雪姫「はい。私、初めて来たので楽しみです」
太郎「そっか、俺も初めてなんだよね」
雪姫「そうなのですか?」
太郎「う、うん。たまたま来ることがなくてね(あまり変な事は言わないほうがいいな。気を付けよう)」
雪姫「でしてら、初めて同士楽しくお食事いたしましょう」
太郎「そうだね」
  お店に入り四苦八苦しながらも注文が出来た太郎と雪姫。因みに、商品を取りに行くときまで、手を繋いでいたの二人。
  それを、店員さんに言われて顔を真っ赤にしながら手を離したのは余談である

〇ファストフード店の席
太郎「漸くひと息つけるね」
雪姫「はい、そうですね。あの、ごめんなさい。手を繋いだままで恥ずかしい思いをさせてしまいまして」
太郎「全然気にしてないから大丈夫だよ。うん、それより早く食べようよ」
雪姫「はい、いただきます」
  両手を合わせて言う雪姫を見習い太郎も手を合わせる。それぞれ、太郎はチーズバーガー、雪姫はフィレオフィッシュを手に取る
  包み紙をめくりおそるおそる1口食べる太郎と雪姫
雪姫「?! 美味しい」
太郎「こっちもおいしいよ」
  同時に顔を上げ見つめて微笑み合う2人。それから、食べ終わるまで無言のままで居る2人であった。
太郎「それで、これからどうしようか?」
雪姫「どうしよう、とは? 何かありますか?」
  食べ終わり太郎はウーロン茶、雪姫はミルクティーを飲みひと息ついた所で太郎が切り出した
太郎「後少しなら遊びに行けるけど何かある?」
雪姫「1つ行ってみたい所があるのですが、その、お金がかかりまして・・・・・・」
太郎「どこに行きたいの?」
雪姫「えっと・・・・・・その・・・・・・」
太郎「とりあえず行きたい場所を教えてよ。それから考えよう」
雪姫「分かりました。それは・・・・・・」

〇映画館の入場口
雪姫「ありがとうございます。見たい映画がありまして嬉しいです」
太郎「全然良いよ。見たい映画はこれ?」
雪姫「はい。『桜が舞う頃に』です。ある犬の家族がはなればなれになりますが、桜の木の元に出会うお話です」
太郎「なるほど。あっ、そろそろ始まりそうだね。急ごうか」
雪姫「はい」

〇映画館の座席
太郎「間に合ったね」
雪姫「はい、間に合って良かったです。始まりますね」

〇映画館の座席
太郎(こうして見ると俺って幸せなんだな~ ご主人と楽しく暮らせて、ご飯食べれて、好きな時に眠れて・・・・・・ん?)
太郎(泣いてる? ここは感動のシーンってやつだもんな。確か・・・・・・)
太郎「ハンカチどうぞ」
雪姫「あ、ありがとう・・・・・・ございます」
  ハンカチを受け取り涙を拭く雪姫。雪姫が左手にハンカチを持ち替えたとき右手を優しく握る太郎。雪姫も優しく握りかえした
  そのまま映画が終わるまで手を繋いだままでいる2人でした

〇華やかな広場
  映画館を出て、初めて出会った公園まで、戻った2人は桜の下に居る
雪姫「今日は、本当にありがとうございました。映画は素晴らしかったですし、お昼ご飯もとても美味しかったです」
太郎「喜んで貰えて何より」
太郎「でも、そろそろ帰る時間なんだ」
雪姫「そう・・・・・・何ですね。私も帰らないと行けなくて、寂しいです。あの、その・・・・・・」
雪姫「また、会えますか?」
太郎「それは・・・・・・その・・・・・・」
雪姫「あっ、ごめんなさい。わがまま言っちゃって・・・・・・さようなら」
  言い淀んだ太郎に作り笑いをして早口で別れを言って背を向ける雪姫。
雪姫「・・・・・・?!」
  雪姫の後ろから優しく抱きしめた太郎
太郎「・・・・・・いつ会えるか分からないけど、それでもいいのなら」
雪姫「はい。またお会いしましょう」
  太郎の腕に、下から手を回す雪姫。暫くの間そのまま雪姫を抱きしめる太郎
  その後、どちらからともなく離れ笑顔のまま公園を後にした2人なのでした

〇川のある裏庭
  あの出来事から数日がたったある日
  母「太郎、数日前のお昼残してから元気ないわね。お医者さんに診て貰っても異常がないし」
  娘「そうだね。だから、今日は少しでも元気になってほしいね。太郎!」
太郎(・・・・・・ん?)
  娘「今日はいつもと違う公園にお散歩に行こう。お弁当作ったんだよ。ちゃんと太郎の分もあるからね。どうかな?」
太郎(それで、朝早くからバタバタしていたのか。せっかくだし行きますか)
太郎「ワフッ」
  娘「行く気になった。よかった~、じゃあお母さん、お父さんちょっと行って来るね」
太郎(2人だけで行くのか)
  娘「いつもの反対の道に行くよ。楽しみだね」
  太郎を元気付けようと弁当を用意して一緒に散歩に向かうのでした

〇華やかな広場
太郎(ここは・・・・・・)
  娘「着いたよ。今日は、新しく出来たお友達と言うか何と言うか、男の子と一緒にご飯を食べる予定でして」
  娘「勿論、太郎も元気になってほしいのが、1番だよ!」
  雪姫と出会い別れた場所であるためか複雑な心境の太郎。
  娘「確かもう着いてるってLINEが来てたけど・・・・・・あっ! 」
来閒 開人「やあ・・・・・・結菜」
眞宮 結菜「お待たせ開人君。ごめんなさい、遅くなっちゃったね」
来閒 開人「・・・・・・・・・こちらが速く来ただけ。気にしないでいい」
眞宮 結菜「ありがとう。それとね、私の家族を紹介するね。太郎・・・・・・あれ太郎?」
  開人と話をした結菜は太郎を紹介しようとして不思議そうな顔をした。何故なら
  開人の横に居る1匹の犬に目が釘付けのなっていた
太郎(まさか・・・・・・まさか?!)
太郎「?!」
太郎「ワウ?(雪姫なのか?)」
雪姫「クウ~ン(はい、雪姫です)」
太郎「ワン!(雪姫!)ワウ(会いたかったよ)」
雪姫「クウ~ン(私もです。太郎さん)」
眞宮 結菜「2人ともお知り合い? でも会った事ないはず・・・・・・すごい仲良しだね」
来閒 開人「そうだな・・・・・・でも良かった」
眞宮 結菜「よかった?」
来閒 開人「・・・・・・雪姫は・・・・・・・・・雪姫はこの子の名前」
眞宮 結菜「うん、宜しくね雪姫ちゃん。って邪魔したら悪いね」
来閒 開人「で、続き・・・・・・・・・雪姫は小さい頃、母親と兄弟姉妹を・・・・・・・・・災害で亡くしてる」
眞宮 結菜「えっ? そうなんだ」
来閒 開人「・・・・・・・・それでも、大きくなって元気になった・・・・・・・筈だが、ここ最近元気が無かった。さっきまでは・・・・・・」
眞宮 結菜「うん。今は元気になったね。太郎も元気無かったけど、元気になったみたい。良かった」
眞宮 結菜「あっ、ご飯食べようよ。色々作ってきたんだ。太郎に雪姫ちゃんも食べられるご飯もあるよ」
来閒 開人「・・・・・・・・・・・・・・・ありがとう・・・・・・・・・・・・・・・何も用意してないけどいいのか?」
眞宮 結菜「いっぱい作ってきたから大丈夫だよ。太郎も雪姫ちゃんも一緒に食べよう」
太郎「ワフッ(すごいお腹すいてきた) ワン(雪姫も食べよう)」
雪姫「ワン(はい、食べましょう)」
  その時、少し強い風が吹き桜の花びらが宙を飛んだ
眞宮 結菜「わぁっ 風で桜の花びらが沢山、舞ってるみたい。綺麗だね」
  それは、3月に起きた素敵な奇跡。子犬の時、家族を失った女の子
  サンタのクリスマスプレゼントで、1日だけ人となり偶然の出会いから2度と会えないと思っていた待ち人と運命の再会をはたした
  亡くした家族とは会えなかったが、共に歩んでくれる相手と出会えた。
  
        桜が舞う頃に

〇川のある裏庭
  お・ま・け
  母「お父さん! 私のへそくり使いましたよね!」
  父「知らない! 知らない! そもそもへそくりあること自体知らなかったよ!」
  母「じゃあ誰が使うと言うんですか?!」
  父「“結菜は違うのか?」
  母「あの子はそんな事しませんよ! 娘を疑う何て! だからあなたは・・・・・・」
太郎(・・・・・・パパさんすまぬ)
  それから
  父「だから違うのに・・・・・・んっ?」
太郎「ワフッ!」
  父「この骨くれるのかい?」
太郎「ワン!」
  父「そうか、パパを慰めてくれるのか。ありがとう太郎」
太郎「クウ~ン」
  それから、暫くの間太郎がパパさんに優しくなったのは、また別のお話です

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